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ビアンカ 6

「それで、どうだったんだ?」

「そうだのう…何からかの。

…まず記憶喪失についてだが、海に落ちた衝撃によるものとは考えにくいなあ。目立った外傷もないし、それに保護魔法の跡があったわい。海に落ちてこんなに体調が良いならよほど強かったんだろう。おそらく記憶は精神的なものだろうなあ」

「衝撃じゃなかったんだね…よほど酷い目にあったんだねおねーさん」

「そうなのかもね…覚えてないけど」


「そしてもう一つ、ビアンカは陸ではなく空の民と思われる」

「「「えっ」」」


これには全員驚いた。何故ならビアンカが黒髪だからだ。陸の民で黒髪は珍しくないが、空の民は総じて白や銀、薄い灰色の髪を持つ。黒髪などほとんどいないのだ。


「なんでですか…?」

「空の民が黒髪の人間結婚すれば黒髪の子は生まれるのだよ。全くいないわけではない。少数だがね。それに、ビアンカの背中には翼の跡があった。自分では気づいていなかったようだの」

「背中なんて全然見なかった…」

「まあ、分かって良かったな、ビアンカ」

「ええ…そうね」

「でもおねーさんの謎がもっと深まったね!」

「ビアンカ、無理して思い出さなくて良いからな。叔母さんもいつまででも暮らして良いと本気で思ってる。だから、安心してゆっくり過ごすんだぞ」

「そうそう、それがいいぞ。医者の私が言うのだからな」

「…先生ありがとうございました。そうしますね」


食事を終えリシャは診療所へ帰っていった。


「アルトさんリオくん、今日はありがとう」

「気にするな。ビアンカのおかげで家も前よりか綺麗だし食事もリオが喜んでる。こちらこそ助かってる。…アサタ叔母さんにもよろしくな」

「うん。本当にありがとう。明日はお仕事でしょう?頑張ってね」

「ああ。気をつけて帰れよ」

「おねーさんバイバーイ!また明日ねー」


ーーー


「ほらね、陸に送らないで良かったよ!」


夕食後、ビアンカが今日のことを話すとアサタは一番にそう言った。


「空の子を陸に間違えて送るなんて…ここに留めて正解だった。それで、ビアンカ。…空に帰りたいのかい?」

「…ううん。記憶がないのにこんなこと言うのはおかしいんだけれど、全く帰りたいと思わないんです。むしろ嫌悪感に近い感情さえあるんです」


ビアンカは俯きながらそう答えた。


「そうかい」

「だから…もう少しここに置いてもらえませんか?」


なんて自分勝手だろう。ビアンカは声を震わせながらそう頼んだ。

するとアサタは立ち上がってビアンカの方に周ると俯いたままの彼女を抱きしめた。


「ビアンカ、最初に言っただろう。いつまででも暮らして良いって。そりゃまあ会ったばかりだし信用できないかもだけど、私としてはこのままいて欲しいよ」

「…アサタさん!」


ビアンカは涙を零しながらアサタを抱きしめ返した。

しばらく涙が止まらなかった。


「ほら、泣き止んだかい?」

「はい…ありがとうございます」

「良いんだよ。泣ける時に泣くのが1番なんだから」

「本当に、ありがとうございます。これからもよろしくお願いします」


そう言ってビアンカは深々と頭を下げた。


「こちらこそ、よろしくね!」


アサタはニッコリと笑って答えた。


ーーー


そして


ビアンカが海底に落ちてから1年が過ぎた

空の民


空に国があります。

海の民が足を変化させられるように翼を出し入れできます。

黒髪など珍しい髪色の空の民は攫われて売られることもあります


※ちなみに陸空海どこの国でも人身売買は禁止されてます

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