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間違って転生したら悪役令嬢?困るんですけど!  作者: 山春ゆう
第一章 〜出会ってしまえば事件は起こる〜
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39.子供たちの商談はアイデアが豊富

 誕生日会が終わった後、私はフレデリックと二人で会う時間を作った。




「フレッド。この間は急にお断りの連絡をしてしまってごめんなさい」


 メイドが運んできた紅茶を口につける前に謝る。


「いいよ大丈夫。公爵様から内容は聞いたし、前回も同じようなことがあったからね。残念だったけど、でももう来年からは堂々と参加できるってことじゃん?それがはっきりしただけで俺は嬉しいよ。それに、この新しいフレンチトーストって食べ物、めっちゃ美味しいし!」


 今日はフレンチトーストを用意してもらった。本当は誕生日会でみんなと一緒に食べたかったのに。 


「またみんなでお茶会しましょう」



「うん、もちろん!あ、誕生日プレゼントなんだけど……冬が寒いって言ってたじゃない?だからこんなのを作ってみたんだ」


 そっと小さな箱を差し出す。そのふたを開けると、前世では当たり前の、この世界では見たことがないものが入っていた。


「手袋!!!!!めっちゃ嬉しいんだけど!!」


 叫ぶかのごとく大声が出た。そして前世の話し方になってしまった。はっ恥ずかしい。見なかったことにしてほしい……。


 手袋だ、しかもめっちゃ暖かそう!!

 この世界では、手袋は存在している。ただしそれはドレスに合わせた薄い生地のイブニンググローブだったりするわけで、防寒の手袋が存在しないのだ。最高すぎる!!

 ベージュ色の生地は柔らかく、厚めで手首の少し先の方まである。手首には細めのリボンがデザインとしてついている。裏側には綿のようなものがついていて、絶対に最高に間違いなく超暖かい!!


「私は今感動している……」


「だ、大丈夫?!」


 手袋を手に取り、感動のしすぎで体が震えている。そんな私を見てあわあわしているフレデリックなど目に入るはずもない。


「おーいドリー」


 正面から両肩をポンっとされてハッとなる。フレデリックの顔が目の前にあった。


「あっ!ごめんなさい、あまりにも感動しすぎて。これで私は今年の冬を乗りきれる!!!本っっっっっっっ当にありがとう!」


「そ、そっか、ちなみにリボンはドリーの瞳の色にしたんだ。なかなかなくてさ、喜んでもらえたならよかったよ。例の【ルームソックス】の生地でやってみたんだ。あっちの方がだいぶ難航してるみたいでさ、職人が『こんなの靴じゃない』って言ってて。靴じゃない素材で靴を作ることになぜか抵抗感があるらしい。何パターンかは作ってるけど」


 職人ってそういうところあるわよね。どこの世界も一緒なんだわ。だからこそより良いものが出来るんだけどね。


「じゃあ今年の冬は無理そうね。ねぇ、ちなみにその試作ってどの程度出来ているの?」


「何だかんだ文句は言ってるけど、職人が作ってるからちゃんとしたものになってるよ」


「それ、材料費に少し上乗せして私が買い取ってもいい?」


「可能だと思うけど、そんなの何に使うの?」


「私の友達に、今年の冬の期間中試してもらうのよ!」


 実際に使ってもらって、どこがいいのか悪いのか、話を聞きたい。私は前世の基準があるけど、この世界の基準が決して私と同じだとは言い切れないので、試してもらうのが一番だ。


「なるほど。それはうちの商会でも取り入れようかな。えーと……安価で売って、1ヶ月間使ってレポート提出をしてもらうとか」


「それもいいわね。じゃあ手配をよろしく。あと……まさかとは思うけどさっきの手袋、また寝不足とか怪我になってないわよね?」


「問題ないよ、手袋の型があったからすぐ出来た」


「ならよかったわ。じゃあこの手袋を今年の冬に売りましょう?」


「はぁ???」


「絶対売れるから!!絶対に!簡単なんでしょ?」


「う、うん、簡単ではあるけど、本気?……これは本気のやつだ」


「手袋は3色くらいにして量産。装飾をオーダーメイドにしてその分お金をもらえばいいんじゃない?万が一貴族に売れなくても、装飾なしなら安価で平民には売れるんじゃない?」


「なるほど、それなら手袋であの色だこの色だって面倒な生地探しの手間が省けるし、作っておくこともできるな」


「儲け話よ?」


「儲け話だな」


 二人で笑った。これを活字にしたらきっと『ウヒャヒャヒャヒャ』である。命よりもお金が大事な悪徳商人みたいな顔をしている。悪徳商人じゃないけどね。


「私は宣伝するわ。だから先に10組ほど装飾なしで作ってくれると嬉しい」


「了解!すぐできると思うよ。ってゆーかなんでドリーと一緒にいると商売の話ばっかなんだよ!面白いからいいけど」


「しょうがないじゃない、貴族のみんなといたら『貴族のドロレス』になっちゃうんだから。何の気兼ねもなく商売の話をできるのはフレッドくらいだわ」


「……嬉しい。俺だってこんなに商売に理解ある女の子なかなかいないよ。おまけに新しいことをたくさん持ってくるからね!ドリーが案を出してくれればルトバーン商会はいつでも動きますよ?」


 両手を胸の位置で横にしてスリスリする。ゴマすりポーズかよ。


「あら頼もしいこと。これからもよろしく頼みますわよ?」


「もちろん!おまかせあれ!」


 これは早速お茶会仲間にプレゼントしなきゃ。






 ルトバーン商会長からは即OKの返事が出たため、ルームソックスの買い取りと、商会で手袋制作に取りかかっていた。

 色は三色。黒、ベージュ、明るめの紺。サイズは3パターン。これなら、子供が大きくなったときに買い換えでまた購入が見込める。

 下手に赤とか緑にしちゃうと『赤があるなら青も』『黄も』とか始まっちゃうから無難な色にしたのよ。

 ここに、装飾や刺繍で別料金を払い取り付けるという流れに決まった。


 その後、試作で作った無地の手袋を10組ほど買い取ったので、ルームソックスとともにレベッカやニコル、エミーはベージュ、ジェイコブは黒、そして我が家3人には紺をあげることにした。お茶会メンバーには詳しいことを書いた手紙と共に送り、家族には夕食前に説明しながら渡したのだ。


「というわけで、絶対に冬に役立ちますので、寒くなったら使ってみてください」


「グローブがこんなに厚いのは見慣れないけど、ドリーちゃんの言うことだから間違いないわね」 


「あぁ。中がモコモコしてるから確かに防寒にもなりそうだ。あっ!それなら今月のクリストファーの誕生祭で渡すプレゼントと一緒に手袋をつけようか。その後の装飾代はこちらで持つようにして、お好きなときにルトバーン商会をお呼びください、最優先でやります!、ってね」


「あら、いい案ですわ!早速ルトバーン商会に連絡しなくては」


 夫婦二人でずいぶんと大きな話なってますわよ?またしてもルトバーン商会を巻き込むのね……。見なかったことにしよ。



 クリストファー殿下には私の手元にまだ残っている黒を渡すことにした。あの可愛らしい顔にビシッとした黒。ギャップがいいわー。おっと危ない、また画面越しの感覚になってしまった。













 そして迎えた第二王子誕生祭兼お披露目パーティー。

 これで王子二人がお披露目になるなめ、公務にもたくさん出ていくことになる。領地の視察など、遠方に行くことも多くなるだろう。


 それに今後は婚約者候補の選定が始まるため、令嬢は一層色めき立っていた。二人の見目麗しい王子がお披露目だ。

 次期国王確実のアレクサンダー。

 それに反する第二王子派が密かに国王にしようとするクリストファー。

 自分が選ばれて、王妃になれるのならこれ以上名誉なことはない。

 全員がそう思っている。


 ……私のお茶会メンバー以外は。








 馬車が会場に着き、ぞろぞろとホールの中へと入場していく。上位貴族が入場する前、声をかけられた。


「ジュベルラート公爵、お久しぶりです」


「おお、レイヨン公爵じゃないか!しばらく見ない間にまたしっかりと鍛えたのか?」 


 話しかけてきたのはオリバーの父親、レイヨン公爵だ。お父様が肩をポンポンと叩いている。なんかめっちゃ鍛えてる感が服の上からでもわかるわ。ボディービルダーじゃないよね?腕の部分がはち切れそう。


 ん、横の女性は……。


「実はな……後妻をとることにしたんだ。子爵家のモレーナだ」


「えっなんだって?!おまえがか??」


 口になにか入っていたら確実に吹き出すレベルの勢いでお父様が驚いていた。そして私も同じく。


「色々と事情があるからまた詳しく話すよ。ほれ挨拶を」


「レイヨン公爵家の妻になりましたモレーナです。よろしくお願い致します」


 顔つきは少しきつめだが、それに反するように静かにカーテシーをした彼女はおとなしそうな雰囲気である。20代半ばかな。この人がオリバーの諸々の原因になった人か。


「息子はアレクサンダー殿下の護衛に行ってるからいないんだ。息子の将来が楽しみだよ」


 そう言いながらレイヨン公爵は入場していった。






 なんと……ここでオリバールートの大イベントのフラグが立ってしまった。これは家に帰ったら私の秘密ノートに記さなければ!


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