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間違って転生したら悪役令嬢?困るんですけど!  作者: 山春ゆう
第一章 〜出会ってしまえば事件は起こる〜
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13.真っ直ぐな目は何を思う

 【ババ抜き】ならぬ【魔物(デーモン)抜き】はとても好評だった。


 大人の男性陣の【魔物(デーモン)】を持っているときの分かりやすい顔。お兄様とお母様は完璧なポーカーフェイスで相手に【魔物(デーモン)】を引かせていた。

 作業員の人は順番に入れ替わってやっていたが終始ビビりまくってるし、ルトバーン会長は【魔物(デーモン)】が来るたびに「くそ」「うぅ」って呟くからすぐバレるし、お父様は「君を信じる」と言ってお母様に【魔物(デーモン)】だと言われたカード以外を引いたら【魔物(デーモン)】引くし、思って以上にわいわい楽しんでくれていたので途中から私も参加した。

 久しぶりのトランプは楽しかったー。




 そして神経衰弱も教えた。こっちも心理戦なので大人たちが駆け引きしながら楽しんでいた。



「いやーー!楽しかった!ドロレス様。久しぶりに仕事のことなんぞ忘れて息抜きになりました。これはぜひとも流行らせたいものですな!費用もそこまでかからないし、特に難しい作業もない」


「今日お伝えした【魔物(デーモン)抜き】と【神経衰弱】は紙に遊び方を書いて商品につければよろしいかと。文字を読めない方は、商会のスペースで体験会のようなものをやってみても良いかと思いますよ。あとは、一気にいろんな遊び方を教えず、後日新しい遊び方として安価で遊び方の書を売ればよろしいのではないかしら?」


「なるほどなるほど。そうすれば定期的に購入者も来店するでしょう。いやはや、素晴らしいアイデアを聞けてとても満足です」


 ルトバーン会長が完全に商売顔になっている。


「あとこれはお願いなのですが、平民はなるべく安価で。もし貴族に売るのなら、カードの裏側、つまり数字の無い方にその貴族に関わるものをハンコで押してみたらどうでしょう?ただし、寸分狂い無く押さないとダメです。少しズレたものが1枚でもあれば、それが何の数字なのかを記憶してしまいます。なので、貴族に売るならその技術料として高く取っても良いかと思います」


 貴族は貴族のプライドがある。性能云々よりいかに高価で希少価値があって特別感のあるものを好むのだ。そこを狙えば、富裕層の客をつかめる。日本でも、性能は一緒なのに、限定物としてダイヤモンドがついてるせいで倍くらい値段が違う腕時計もあった。でもお金がある人は高い方を買う傾向がある。

 要は見た目と価値なのだ。



「それくらいならうちの商会に契約している工場なら大丈夫です。やってみましょう!革命を起こして見せますよ!」


 ルトバーン商会長が一番乗り気である。開発者料ということで売上の1割を報酬でもらえることになった。割合としては最低限らしいが、それでも充分である。

 今まで家のお金しかなかったから、自分で稼いだお金って嬉しいな。単価は低くしてあるし、ちょっとしたおこづかいだと思っておこう。



「ドロレス、今月は初めての誕生日会があるだろ?その時にプレゼントしたらどうだ?」


 はっ!!誕生日会!そうだもう8月になったのか!私8月末に誕生日があるらしいんだった!忘れていたよ……。8歳になると貴族の子供達は自ら主導で誕生日会を開くらしい。


 8歳の子に責任重くない?!



 勿論やらなくてもいいらしいんだけど、そうなると今後の繋がりとかに影響が出たり、そもそも貴族のプライドに関わるため、親が裏で主導してでも開くのである。つまりは強制だ。


「あのー……あまり派手にはやりたくないので、出来れば今後良好な関係が作れそうな方々だけ呼べれば大丈夫なんですけど……」


 お父様お願いします!どこかしこの家からたくさん呼び寄せて、派閥的な争いはしたくないの!穏やかーに1日を終わらせたいのよ。


「わかった。私の方で選抜しておこう」


「あ、あのっ!!!」


 いきなりフレデリックが声をあげた。


「俺も……誕生日会に、行けるんですか?お祝いできますか?」



 ルトバーン商会長が手を顔に当てて天を仰いだ。


「フレッドよ。ドロレス様の誕生日をお祝いしたい気持ちはわかるが、貴族のパーティーだ。お前が参加などできない」


「でもっ、俺も……」


 うーんどうしよう。フレデリックの気持ちはとても嬉しいし、呼びたい。でもガチガチのお貴族会だよねきっと。なんとか呼べる方法はないかな。えーと……。


「フレデリックくん、娘の誕生日を祝ってくれるなんて私もとても嬉しいよ。でもね貴族のパーティーは、マナーや食事作法などとても厳しいんだ。ほとんど経験の無い君には、周りの人から嫌な目で見られてしまうかもしれない。それでも祝いたいかい?」


「はい。一緒にお祝いしたいです」


 フレデリックがまっすぐにお父様の目を見つめる。揺るがない視線をしばらく受けたお父様はフッと笑った。


「フレデリックくんありがとう。ドロレスは幸せ者だな!大丈夫。ルトバーン商会であれば、小さい貴族並のお金持ちだから参加したって問題ない。ではフレデリックくん、誕生日会を主催する公爵家からの要望を聞いてほしい。もし誕生日会に出たいのなら最低限のマナーを覚えなさい。70%でいいから。誕生日会以降は100%になるよう努力しなさい。空いた時間に教師をつけてあげよう。もちろん商会の仕事をおろそかにはしちゃいけないよ?出来るかな?」


 過酷だよお父様……。彼はまだ子供だよ。


「わ……わかりました!」


「フレッド。無理はしないでね……」



 フレデリックの過酷で過密な教育スケジュールが決まったのだった。


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