必要性
私は、永遠の命を手に入れた。
それは自ら死を望まない限り行き続けることが出来る薬を飲んだのだ。
あらゆる病気に対応しており、鬱などの精神病にもならないので、死を望むことはあり得ない。
私は永遠といって良い体になったのだ。
もう何十年研究してきただろうか。私はもう長くない。
自ら実験台になり試してみるのにぴったりだった。
もうすることがなくなったとき、自殺未遂を遊びとしてするようになった。
死というものからかけ離れた今、何も楽しくないからである。
痛みはあるものの、恐怖は無く、どんどんエスカレートしていった。
ある日、彼は屋上にいた。そしてすぐ飛び降りた。彼の耳には風と悲鳴しか聞こえず、快感を感じていた。
一人の男。いや、肉の塊はまだ生きていた。
もう人間とは言えない、肉片達は永遠の命を憎んだ。
後悔や悲しみではなく、寂しい気持ちとこのまま生きていくことへの不安を感じていた。
それすらも時間と共に消えていった。
意識はあるが、何も考えられず、人々を襲った。
それはまさしくゾンビであり、人間の本能であった。