僕は怪盗 だけど正体がバレてしまった
「ねえ、怪盗」
彼女にそう呼ばれた時、僕は心臓が破裂するかと思った。
「か、怪盗って?」
幸い、僕は嘘が上手い方だ。だが意味はなく、
「はあ?わかってるんだからね。あなたが・・・モゴモゴ‼︎」
危ない危ない!僕は彼女の口を慌てて抑えた。今ここでそのことをバラされちゃたまらない。でも…
仕方ない。もう、バレたんだ。彼女には、本当のことを伝えてわかってもらおう。
深呼吸。よし!
「何故わかったんだ?僕が『怪盗DK』だって事」
彼女は表情を変えない。
「あの時に見たのが君か?1週間前に僕を見ていた奴がいた。あれは君だったのか⁉︎」
彼女は・・・しばらくすると、ゆっくりとうなずいた。
「そう、それが私。最初はあなたとは思えなくて、でもどう考えてもあの顔はあなた以外に考えられなかった」
か、顔を見ていた⁉︎
「その事、警察には・・・」
「言ってない」
あ、言ってなかったのか…。
なら、まだ望みはある。
僕は、簡潔に言った。
「お願いだ。警察には言わないでくれ」
僕の頼みに、彼女は応えてくれるだろうか。
…無反応。
彼女は、またもや表情を変えずに僕の顔を見つめる。
「言わないよ。言うわけないじゃん」
・・・エ?
「私、DK様の大大大ファンなのに?通報なんて・・・とんでもない!むしろお手伝いをしたいくらい!ねえ、何か手伝える事ない?私の父に言えば大抵のものは買ってくれると思うんだけど…」
彼女は僕の大ファンなのか?
ファン…ファンねえ………「‼︎」
慌ててにやけそうになった顔を元に戻す。
とにかく、彼女は僕の味方だということがわかった。しかも僕の仕事を手伝ってくれるだと?これほどいい話はそうそうない!これなら、今まで費用の問題で断念していた計画も実行できるじゃないか!
「‼︎」おっと。慌てて緩んだ口角をもとに戻す。
「それはとても嬉しい。是非お願いしよう」
////
次の日。
学校の前に来ると、警察が待ち構えていた。
「菅野 蓮斗、お前を窃盗罪で逮捕する!」
「ええっ⁉︎」
状況を飲み込めないまま無理やり手錠をかけられ、あたふたしているところに彼女がやってきて、呆然としている僕の耳に彼女はそっと囁いた。
「私の父は、警視総監なの。それであなたの事を父に言ったら『よくやった!来月のお小遣いを増やしてやろう』だって。私、あなたがテスト直後にカンニングするのを知ってたから『解答くれ』って言っただけなのに」
やられたーーー。僕が今までこんなに後悔した事はないだろう。
ちなみに、
僕視点
「ねえ、怪盗」
「はあ?わかってるんだからね。あなたが『怪盗DK』だってこと」
彼女視点
「ねえ、解答」
「はあ?わかってるんだからね。あなたがテスト直後に毎回カンニングしているってこと」
最後にクイズ!
DKとは何の略でしょうか?
(5秒くらい考えて)下へ!
『男子高校生』のことです。単純でしょう?