93.村人全員
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明らかに魔物討伐数が増えている。メディヴェド、という名前なのか。ランクは、見なかったことにしよう。とりあえず、倒せているのなら一安心だ。
「倒せたみたいだし、帰るか。」
「何で急に倒し方が分かったんですか?」
「いや、たまたまテイルから連絡があってな。あれは幸運だった。」
「ハルカ、背中の傷は大丈夫なの?」
「あー、まだ痛むかな。でも血は止まったし、あと数時間したら完全に治るよ。」
「一応森の中だし、変な病気にかかるといけないから、村に帰ったら解毒薬を飲んだほうが良いよ。」
確かに、そういうのは怖いかもしれない。レオムストロフの時はニックがすぐに治してくれたけど、それ以外に森の中で切り傷なんて作った事なかったしな。この森に住むリーアがそう言うんだから、素直に受け止めた方が良い。
死体は残らなかったので、特に回収したり燃やしたりすることは無い。ミアも普通に動けるまで落ち着いたので、ぱっぱと集落に帰る。
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集落に戻ってきた俺は、解毒薬を貰うためにリーアの家に来ている。
「はい、これ。」
「ありがとうリーア。これは、一本飲むのか?」
「そうだよ。小瓶一本で一回。結構強いから、眠くなるかもしれないけど。」
リーアに渡されたのは、濃い緑色の液体が入った小瓶だ。回復薬の色違いだな。
蓋を開け、中の液体を口の中に流し込む―――
「苦っ!にっが!何だこれ!うわ苦っ!?」
「まぁ美味しいものじゃないよ。ほら、苦味は良薬の証、って言うじゃん。」
何だか俺の知っていることわざと少し違うが・・・確かに苦いほど効きそうではある。まだ体の内側が少し痛むが、傷は塞がったみたいだ。
「ハルカ、私に感謝しなさい!私がたまたま連絡してあげたから、あんたは生きているのよ!」
「ああ。今回は助かった。ありがとう。」
「何か・・・素直に言われると・・・あれね・・・」
「でも、何で連絡してきたんだ?」
「そうよ!それよ!言う前に切っちゃうんだもん!あのね、遠くの場所まで行っていた人達が帰ってきたの。それで、ハルカに挨拶したいって言ってて。」
遠くまで行っていた人、というのは、族長交代の報せを遠くの集落まで伝えに行った人の事だろう。そういえば数人まだ帰ってきてないと言っていたな。
「その人達には、お昼の後に来てもらうように頼んだから。」
「分かった。そういえば、お昼はどうするんだ?またご馳走になるってのも気が引けるんだが・・・」
時刻はもう24時。かと言って、朝もご馳走になったのにまた、というのも良くない。
「それは心配しなくて大丈夫よ。私がちゃんと用意してあるから。」
流石テイルだ。こういうところは本当にしっかりとしている。見学の3人を家に帰した後、借りている家で今日の昼ご飯を作ってくれていたらしい。
リーアに解毒薬のお礼を言い、お昼を食べに帰る。
テイルが作ってくれたご飯は、昨日の夜に食べたような物だ。食料は村の人から貰ったらしいが、主食は麦と米の間のようなもの、主菜は蒸し鶏みたいな食感の肉、そして木の実と菜っ葉のサラダだ。
お昼を食べ終えてくつろいでいると、家の外から声がした。
「すいません、テイルさん、ハルカさん、いらっしゃいますか?」
さっきテイルが言っていた人達だろうか。帰ってきて疲れているところ、わざわざ来てもらっちゃって、申し訳ないな。
「はーい、居ますよー。どうぞー。」
「失礼致します。」
「失礼します。」
「失礼しまーす。」
おっと・・・三人いたのか。全員男性で、しかも顔が似ている。
「ハルカさん、はじめまして。タムといいます。」
「はじめまして。ティムといいます。」
「トムです。はじめまして、ハルカさん。」
「あ、えっと、ハルカです。わざわざ来て頂いて、申し訳ないです。」
「そんな!ハルカさんが謝ることじゃ無いです!」
「そうですよ。ハルカさんはお客様なんですし。」
「仲間を救って頂いた事も聞きましたよ。ありがとうございました。」
「い、いえ。」
何だか三人同時に喋られると、何というか、圧が凄い。
「三人は三つ子なんですって。全員ばらばらの集落まで行っていたらしいわよ。」
「それじゃあ皆さん、お強いんですか?」
「ハルカさん程ではないと思いますがね・・・」
「それに、リーアが居ますから。」
「そうそう、彼女の方が私達より強いですよ。」
本当にリーアは尊敬されているのだろう。それとも、リーアにボコボコにされた事があるのだろうか。リーアの名前が出てから、目に尊敬の光と恐怖の闇とが混ざっている。
その後少し話してから、タム、ティム、トムの三人は帰っていった。彼らとも模擬戦をしてみたいものだ。
「そういえばハルカ、ここにはいつまで居るつもりなの?」
テイルが唐突に言ってきた。そういえば考えていなかったな。
「あんまり長居しても迷惑だろうし、今日か明日にはナシヤットに向かうとするか。」
「そうね。さっきの三人が戻ってきて村人は全員らしいし、そろそろお暇しないとね。」
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