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90.危険信号

誤字報告ありがとうございました!

今後もよろしくお願いします。

「よし、もう一回お願いします!」


「良いぞ、来い!」


 リーアはさっきと同じように、俺の周りを走り始めた。今回は見失わないように本気で目で追う。


 視界の隅で跳んでくるリーアを捉えた!まずは右の拳を流す!


「はぁっ!」


 着地と同時に、左足を軸に回し蹴りが放たれる。これは後ろに少し跳んで避ける!


 反撃しても良いだろうか?回し蹴りで体制が戻りきっていない状態の左足をはらう。

 しかし、手で制御しながら回転受け身をとられ、すぐに構え直された。これでは追撃も出来ない。


「やっぱり凄いな。まさか対応されるとは思わなかった。」


「いやいや、今の何なの。まさか攻撃されるとは思ってなかったんだけど?」


「だって、一方的に攻めるだけが戦いじゃないからな。」


「そうだけど・・・」


「次は、俺も動き回るから、頑張ってくれ。」


「分かったよ!やるよ!」


 リーアが動き始めると同時に、かかとを浮かして軽く足踏みをしておく。こうすると、足が地面から離れる一瞬のロスを無くせ、反射的に動けるのだ。


 ―――後ろ。右に少しズレて避ける。


「やっ!はっ!」


 連続で左足、右の蹴り上げ。ここは腕で受け止め、流す。放たれた右拳を避けつつ、しゃがんで腹に弱めにパンチ!


「ぐっ・・・」


 モロに当たった。俺が力を弱めてるとはいっても、リーアは俺と比べて小さく、軽い。数m先の木まで飛んでいった。―――が、上手く体を回転させ、幹を蹴って飛んで戻ってきた。

 って速っ!?


どごっ


 ただでさえ速いスピードを出す脚力に、反発力と若干の重力が掛かってやたら速い。反応しきれずに顔面に右の拳を頂いた。それも結構強い。ダメージは入らないが、首が後ろに落とされ、後ろ向きに倒れている最中だ。


「このまま攻めるよ!」


 リーアのスピードは俺に掛かる重力のスピードを上回り、倒れている途中の俺の腹にかかと落としが入った。その勢いで一気に地面に叩きつけられる。


 一瞬の硬直の後、俺は足を振り上げてリーアを遠ざけ、その勢いで立ち上が・・らせては貰えなかった。リーアの拳がまた、空中の俺を叩き付ける。


 うーん・・・俺は別に痛くないが、これを続けるだけじゃつまらない。重力反転(シュラシティ)でも掛けて空に落ちる感覚を味わわせてやろう。

 リーアが跳び、拳を構えている。今!


加重(セピア)!」


 てっきりリーアが空に落ちていくと思っていた俺は、少し期待を裏切られた感じがした。魔法を掛けた途端、リーアの動きは空中で止まった。いや、正確に言えば、まるで重力が小さくなったように、ゆっくりと落ちてくる。まぁその間に横に避ける事はできたのだが。


「今の何だ・・・?重力反転(シュラシティ)では無いよな・・・」


 俺が考え事をしている隙に、リーアが左拳を振ってくる。が、とりあえず右手で掴んで動きを止める。


「悪い、少し待ってくれ。」


 何故あんな事が起きたのだろう。・・・そういえば、最近の俺は低位魔法が上位魔法と殲滅魔法の中間ぐらいの威力になるんだったな。

 俺達のスピードに付いてこられずに目を回しているテイルに魔法辞典を渡す。


「テイル、重力系の殲滅魔法ってどれだ?」


「え?あぁ、ちょっと待ってて。―――これね。標定加反発リングディザス・コワン。重力を細かく動かして、相手の空間座標を固定する魔法ね。範囲が広ければ広いほど、使用する魔力量が増えるわ。」


「分かった、ありがとう。」


 つまり、さっき発動したのは上向きの力が弱い状態、未完成のものだったわけだ。塊炎(ファイアボール)といい、射氷(アイスバレット)といい、強化率が上がったみたいだ。


「リーアも、待たせて悪かったな。それじゃ、続きをやるとすr・・」


―――ウワォォーン!


 えーっと確か、何かあった時は吠えろってミアに言った気がする。これはマズい。


「テイル!その3人を連れて集落の中に戻れ!リーア、俺と行くぞ!」


「言われなくても、」

「分かってるわよ!」


 俺とリーアは遠吠えの発生元に向かって走り出す。方向は分かっているので、後は見つかるまで走るだけだ。それに、ミアが居る場所は俺が指定したコース上だろう。そこは俺の頭に入っている。


「リーア!何があったんだと思う!?」


「恐らく、よっぽど強い魔物にあったんだと思う!」


 ミアはモウラヘイラと遭遇した時、特に怯むことも無く攻撃を仕掛けていた。つまり、あのクモ以上。Bランク以上という事だ。そんな奴もこの森には居るのか。危険すぎないか?


「弱い魔物はボクの殺気で近寄らないと思うから、安心して!というかそもそも、モウラヘイラより強い奴がいるなら寄ってくるような魔物はいないと思うから!」


「分かった!」


 木々の隙間を通り過ぎた奥で、ミアを見つけた。ただ問題なのは、何だかヤバそうな魔物がミアを取り囲んでいるという事だ。しかもその数は5匹もいて、ミアが必死に抵抗して生き延びているという事だ。


 ミアの周りにいる魔物は、ヒグマの様ながっしりした体型と牙、アリクイのように長い爪、そして何より、足が地面と同化している。だが躊躇している暇はない。


「ミア!今助けるからな!」


 俺の声で3体こちらに注意を向けた。よし、こっちは俺が相手をするとしよう。


「リーア、この3体は俺が引き受ける!ミアの救出と、残りの2体を頼む!」


「了解!」

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