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88.教訓獲得

最近暑いですねぇ・・・熱中症には気をつけましょう。

 土と藁の匂いに包まれて、俺の意識は戻ってきた。ただ一つ言いたいのは、俺の右腕が重いということだ。何故か動かない。あと横腹が強い力で押されている気がする。BPが高くいため、そこまで圧や痛みは感じないが、明らかに何かが押してきている。


ぱちっ


 俺は目を開け、状況を確認する・・・っておい。

 俺の右腕にはテイルが乗り、横腹は足で押されている。いや、蹴られている。どんだけ寝相が悪いとこうなるのだ。


「とにかく、コイツどかさないと起きれないぞ、俺・・・」


 右腕に力を入れ、テイルをどかそうとする。―――しかし、右腕が痺れて力が入らないのか、それともテイルが重いのか、ビクともしない。


「あーもうめんどくせぇな。超攻撃(スーパーアタック)!」


 腕が橙色に光り、力が強くなる。


「ふんっ!」


 それでも全く動かない。寝ている人間は力が入っていない為かとても重いのだ。こうなったらテイルを起こすしかないか。


「テイル、おいテイル。起きろ。」

ゆさゆさ


 ―――何だか横腹を蹴っている力が強くなった気がする。


「おい、起きろって。」

ゆさゆさ


 ―――あれ?やっぱり強くなってるよな?


「テイル、起きろってば!」


どすっ!


「痛ぇ!痛たたたたた!痛い!痛いって!」


 横腹に激痛が走った。そうだ。テイルに背中を叩かれた時も、ステータスとか関係なくめっちゃ痛かった。


「―――んぅ・・・何よ、うるさいわね。」


「よ、ようやく起きたか。とりあえず、そこ、どいてくれ。」


「何よ、どうしたの。」


「お前が重くてどかせないから俺の右腕が潰れそうなんだよ!」


「あー!今重いって言った!乙女に向かって重いとか言った!何よ!右腕ぐらいそのまま潰れてなさい!それとも虐めてほしいの?・・・あ、そっかー。そうよね。あんたはそういう人間よねぇ?」


 テイルの表情が赤から白に変わる。立ち上がってくれたのは良いが、その手には鞭が握られている。


「おっと・・・落ち着け?確かに、さっきのは少し言い過ぎた。悪い。」


「じゃあ私の眠りを妨げたのは?」


「いやだから俺の右腕が・・・」


「なるほど、私が重くて動けなかったのね。」


ばしぃっ!


「い、いや、ちょっ、ちょっと待って!プ、防御壁(プロティーガ)!」


パリン


 あ、俺の人生、ここで終わったな。


―――

――――――


―――――――――



―――――――――――――――



 俺は今日、一つの教訓を手に入れた。《女性には、想いはほどほど、重いは禁句。》


 着替えて家から出ると、昨日の宴の雰囲気はどこへやら、何も無い広場が広がっていた。

 そこに、ミアがやってきた。


「ハルカさん、テイルさん、朝ご飯は私達の家に来るといいですよ!お母さんも、そのつもりで作っていますから。」


「分かった。じゃあお言葉に甘えて、お邪魔させてもらうとするよ。」


 ミアの家に向かっている途中、ミアが話しかけてきた。


「そういえば、ハルカさんが稽古を付けてくれるって聞いたんですけど・・・」


「あぁ、そういえば昨日そんな事を言われたな。」


「何時ぐらいからやって頂けますか?」


「いや、俺は何時からでも良いぞ?」


「じゃあ朝ご飯食べたらすぐやりましょう!良いですか?」


「分かった。じゃあそうしよう。」


「よろしくお願いします!」


 家では基本、リーア、ミア、お母さん3人で暮らしていて、たまにお父さんが来るのだという。一夫多妻制であり、さらに村長の甥となると、色々と忙しいのだろう。


 ご馳走になった朝ご飯は、日本で例えれば一般的な洋食だ。フランスパンの様なものと目玉焼き、ミルクかどうか怪しいものなどなど・・・俺がこっちの世界に来て最初の方に食べていた、テイルに出してもらっていたものと同じ感じだ。


 食べ終わるとミアに急かされ、席を立つ。行こうとすると、リーアも一緒に稽古を付けてほしいと言ってきたので、まぁ一応了承したが、俺で間に合うだろうか?少し不安になりながらも家を出る。


「どこか動き回れるような場所はあるのか?」


「うーん・・・森に出るしかないですかね。」


「結界の近くなら、そんなに魔物も寄り付かないと思うよ。」


「じゃあそうするか。―――で、お前もついてくるのか?」


 俺はリーアとミアに稽古を付けてほしいと頼まれ、森に出る筈だ。それなのに、何故か俺を含めて4人居る。


「私も良いわよね?自分の戦闘力が弱い事を実感して、もっと強くならなきゃって思ったの。私は本気よ?」


「まぁ別に良いか。でも基本はこっちの二人だから、少しアドバイスするぐらいしかしないぞ?」


「ええ、十分よ。いつかハルカに勝てるようになってみせるわ!」


「ボ、ボクも!ハルカに勝てるようになる!」


「私はまずお姉ちゃんが目標かなぁ。でも、自分の身を守れるぐらいの強さは付けなきゃね!」


 リーアに関しては魔法無しなら負けると思う・・・って同じ事を考えた気がする。


 集落の隅に向かっていると、3人の子どもが走ってきた。子ども、と言っても俺とあまり変わらないと思うが。


「ミアー!どこいくのー?」

「あ!お客さんの二人ですよね?」

「リーアお姉ちゃんも一緒なの?」


 ミアの友達だろうか?


「今からハルカさんに戦いの稽古を付けてもらうの!」


「へぇー、私見に行っていいかな?」 

「あ!私も見てみたい!」

「私も!」


「ハルカさん、良いですか?」


「ん?邪魔しなければ大丈夫だぞ?」


 ミアが嫌じゃなければ別に良いだろう。


「ミアは強いのに、稽古付けてもらうの?」

「ハルカさんがそれだけ強いってことでしょ?」

「リーアお姉ちゃんとどっちが強いんですか?」


「ボクより断然、ハルカの方が強いと思うよ。皆も、森に何かを取りに行くとき、魔物にあったら戦わなきゃいけないでしょ?見るのも勉強になるよ。」


 結局、7人で森を目指す事になった。

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