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85.合流、そして

今年のゴールデンウィークは10連休ですね。毎日投稿は無休です!

「ミア!そっち頼んだ!」


「了解です!やっ!とぉっ!」

ドカッ!バン!


硬化(フィルト)遠方移動(チェイラート)!っりゃ!」

ざくっ


 次々出てくる魔物に対して、ミアは魔物を蹴ってはその反動で跳び、また蹴って・・・を繰り返す。テイルは弱いものを選んで引き寄せ、串刺しにしたり鞭で叩きつけたりしている。

 寄ってくる魔物は基本、パウパティ、イゼンポッド、そしてあの鳥だ。鳥はミアが、パウパティはテイルが対処してくれている。イゼンポッドは爆ぜさせられないので、俺が凍らせて止めている。


 しばらく戦っていると、急に魔物が来なくなった。というより、向かって来ていた奴も近くから居なくなってる。


「倒しきったのかしら?」


「いや、この空気、分かりますか?張り詰めています・・・」


「あぁ。それに静かすぎる。」


―――っ!何か来る!


閃r(ライトニn)・・」

「うわぁー!待った待った!ボクだよ!リーアだよ!」


 木の隙間から飛び出してきたのは、リーアだった。危なく殺してしまうところだったな・・・


「お姉ちゃん!」


「ミアの声が聞こえて、急いで向かってきたんだが―――周りを見る限りではお疲れ様と言っておいたほうが良いのかな?」


「まぁ、そうだな。」


「ねぇリーア。今、リーアが来たら急に魔物が来なくなったんだけど、何でなの?」


「それはボクが殺気を放ちながら来たからじゃないかな?というより、何でミアは殺気を放たなかったの?あんなに集まらなくて済んだのに・・・」


「私はそんなに強い殺気は放てないし、そっちに集中し過ぎちゃって戦いに支障が出ると良くないと思ったから・・・」


 殺気を放つ、ねぇ・・・狼の獣人はそんな能力もあるのだろうか。


「まぁ、無理はしなくて良いわ。テイルもハルカも、怪我はない?」


「あー、強いて言えばクモの毒が若干俺の体の中を回ってる、かな。」


「クモ?・・・あ、モウラヘイラの事ね。まぁハルカなら大丈夫でしょ。」


 やっぱり冷めた反応だ。もうちょっと心配してくれても良いんですよ?テイルに至っては毒について話すことすら無い。俺って結構雑に扱われてる?


「そういえば、何で全員バラバラになってしまったのかが分かったよ!」


 それが本当なら興味深いな。今後同じようなことが無いように対策も立てたい。


「バラバラになったのは、惑香花(ヨワシミ)のせいだったのよ!」


 ―――惑香花(ヨワシミ)?どっかでお世話になった事がある気がするな。


「普段は通らないような場所を通ったからだと思う。あんなところに生えてるなんて知らなかったわ。」


「そういえば、何だか甘い匂いがしてたわね。」


「あれが惑香花(ヨワシミ)の香り・・・初めて嗅いだわ。」


「頭がボーっとして、バラバラになっただけでも運が良かったよ。近くで嗅ぐと、最悪死んじゃうからね。」


 今回は皆早めに気づいたのだろう。前回は長く意識がおかしくなってたから、死の縁を彷徨っていたもんな。本当に運が良かった。


「とりあえず、先に進みましょう。リーア、方向は分かるの?」


「あぁ!ボクに任せてよ。来たことがないと言っても、空気の流れや臭いで大体の位置は分かるから。ミアも、特に臭いを良く覚えておくと良いからね?」


「了解お姉ちゃん!」


「それじゃ、行くか。リーア、頼んだぞ。」



 テイルの歩くスピードに合わせなくても、テイルがスキルを使えば良いという事にようやく気付いた俺達は、移動速度を最高まで引き上げて移動している。テイルは枝を上手に飛び移り、まるでターザンのように見える。


 速すぎるせいで魔物に襲われることも無く、2時間近く走り通した。


「皆、ストーップ!・・・着いたよ!」


 俺たちの前には、ある種異様な光景が広がっている。周りの木とは明らかに違う、人為的に形作って植えられた木が周囲を囲む村がある。


「この木はね、魔物避けの効果があるの。都市の結界みたいなものね。どんな環境でも育つから、世界中の狼の獣人に愛されているのよ。」


「さっ、入ってください。ここからはお客様ですよ!」


 リーアとミアに手を引かれ、俺とテイルは木の結界の内側に入った。狼の獣人の礼儀作法とか知らないが、大丈夫だろうか。

 中に入ると、リーアが軽く吠えた。すると、村全体から遠吠えが聞こえてきた。ただいま、おかえり、のようなものなのだろうか。


 村を見渡していると、長めの白い毛が生えた獣人がやってきた。すると、その獣人に向かってリーアとミアは膝を付いた。

 俺はテイルとアイコンタクトを取り、一応膝を付いておくことにした。


「村長。リーア、ミア、只今任務を終え、帰って参りました。」


「うむ。して、そちらの人間は?」


「あっ、ハルカ・タチバナです。」

「テイル・ロンドです。」


「この方々は、我々の命の恩人であり、我々が招き入れた客人であります。」


「お客人でしたか。顔をお上げください。お客人が膝をつく必要などありませんよ。」


「そ、そうですか。」


 俺とテイルが立った後、リーアとミアも体を起こした。どうやら客人として認められたようだ。

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