84.クモはBランク
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倒したクモ―――モウラヘイラを無限収納に仕舞い、でいるとリーア探しを再開する。解体に時間を取るぐらいなら、探した方が良い。
「ハルカさん、傷は・・・」
「心配するな。ちょっとかすっただけだし、すぐに治る。」
「いえ、モウラヘイラの足には毒が含まれているので・・・もしかしてハルカさんって毒耐性とか有ります?」
「ちょっと待てぇ!早くそれを言ってくれよぉ!毒耐性とか無いから!え?俺死ぬ?毒回って死んじゃう?」
「お、落ち着いて下さい。死に至ることは・・・稀ですから!基本はHPを持続的に削るものですから!」
「なるほど。それなら安心だ、ってなると思ったか?運悪ければ死ぬって事だよな?そもそもHP無くなったら動けなくなるんだが・・・?」
ミアは俺の言葉を無視して歩き出した。いや冷た過ぎません!?・・・まぁ俺はHPはある方だと思うから、動けなくなることは無いだろう。とりあえずテイルとリーアを探すのが先だ。
―――?何だかあっちに行きたい。
「ミア、あっちに向かおう。」
「えっ、別に良いですけど、何でですか?」
「・・・分からない。」
そう、分からないのだ。分からないが、あっちに向かいたい。特に理由は無いが、体が勝手に向かいたがっているのだ。
途中途中で曲がりながら、俺は俺の体に連れられて森の中を進んで行く。特に魔物は出る事は無かったが、どこまでも同じ様な森が続いているだけだ。
―――と、その時、魔力探知に急に反応が来た。細かく確認する間も無く、俺は不本意に横にズレ、その反応は俺がいた所をかすめて後方の木にぶつかった。
「テ、テイルさん!?」
「痛た・・・ハルカ、ぶつからなかった?というか、あんたが避けなさいよ!私がスキルを使ってあげたから良いものの!」
「急に飛んできたお前は何なんだよ!」
「あっ!そうよ!あいつをどうにかしてよ!」
テイルが指さした方を俺が振り向くと、そこにはテイルを追ってきたのか、パウパティが・・・
「おりゃっ!」
いや、ミアに顔面を蹴られて背中から木に打ち付けられているパウパティが居た。
「ミ、ミア凄いわね。」
「おいテイル。仮にもDランク冒険者だろ?パウパティぐらい倒せるようになれよ。」
「私は歩くので精一杯なのよ!低位魔法しか使えないし!あんなに早く動くパウパティと鞭一本で戦えって言うの!?無理にも程があるわよ!」
確かにテイルの言い分も分かる。そもそもそこまで実力が無いのに、俺のせいでレベルとランクだけ上がってしまっているのだ。こういう事の為にランクアップは保留にしてくれと言っていたのか。ようやく謎が解けた。
まあスキルで逃げ回れていただけでも褒めるべきだろう。パウパティから逃げるには、素早いスキル発動の切り替えと状況判断能力、空間認知能力が必要だしな。
俺が何か感じて動いていたのは、テイルの動きだったのだろう。魂の繋がり、というやつか。兎に角、これでテイルとも合流できた。後はリーアだな。
「ハルカさん、テイルさん。今からお姉ちゃんを呼びます。その代わり、魔物も寄ってくると思いますが、良いですか?」
「そんな事ができるのか!?是非頼む!魔物は倒せばいいだけだろ?」
「流石ハルカさん。頼りになります!」
「えっ?ちょっと待って?魔物が寄ってくるって言った?嫌よ!危険でs・・
「それじゃあいきます。―――ウワァオォォゥオゥオゥ!ウワァァオゥゥ!」
ミアが吠えた。声質が変わり、森中に響く遠吠えを上げている。急に狼になったように感じる。これでリーアが来る代わりに、魔物も声に集まってくるという事か。
徐々に周囲から魔物の気配がしてくる。その数は結構多く、物凄いスピードで、まるで獲物を追っているようだ。『キジも鳴かずば撃たれまい』という事だ。獲物が自ら位置を知らせてくれたのだ。集まらない訳がない。
「テイル、ミア、戦闘態勢!」
「ええ!」
「はい!」
近付いてくる・・・近付いてくる・・・最初に来る奴はどいつだ?―――そこだ!
「閃雷!」
―――キィャァァ!
剣先を向けて照準を合わせる。やはりただの双閃雷では無く、天から雷が貫いた。
「ハルカ!こっちに剣構えて!遠方移動!」
ぶしゅっ!
間を伺っている魔物を、テイルがスキルで引き寄せ、そこを俺が斬る。この連携技も結構使えるのだ。
「ハルカさん!上からも!」
俺が空を見上げると、鳥獣系、とでも呼ぶのだろうか。魔物が数匹、空を飛んでいる。まあ空を飛ぶ奴がいてもおかしくはない。
今の俺の魔法は、殲滅魔法の一歩手前まで成長する。物は試しだ。一つやってみよう。
「射氷!」
飛んでいる鳥全てに照準を合わせ、魔法を放った。すると、剣先から魔力が放たれ、鳥は氷漬けになった。成長成功だ。・・・この感じだと、氷系殲滅魔法は絶対零度の吹雪だろうか?
俺が凍らせて落ちてきた鳥は、ミアが跳んで空中で全て粉々に破壊してくれる。この魔法は使うと、破壊しようがしまいが素材が残らないな。以後使い時は考えよう。
まだまだ魔物はやってくる。さっさと全部倒すとするか。
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