83.合流後
いつのまにか、平成終了まで2週間を切りましたね。
俺は一人で居ることに気付いてから数分後、泣いているミアと合流できた。ミアは俺が来て安心したのか、泣き止んでくれた。それにしても・・・
「ミアもどっちに行けば良いのか分からないのか?」
「ごめんなさい・・・」
「いや、気にしなくて良いよ。どうやって二人と合流するかだな・・・」
「ハルカさんは一人だったんですよね?」
「あぁ。俺は気付いた時には一人だったな。なんか、頭がボーっとしてたからかな、はぐれたみたいだった。」
「あ!私も頭がクルクルして、視界がボヤーっとしてしまって、木から落ちちゃったんです。そしたら、周りに誰も居なかったから・・・」
ミアも頭がおかしくなっていたのか。というか、木から落ちたって、大丈夫なのか?―――俺やミアに起きた現象が、テイルやリーアに起きていないと考えるのは難しい。俺やミアは衝撃があったからこそ意識がハッキリしているが、他の二人は危険かもしれない。
「とりあえず、二人を探さなきゃだな。」
「そうですね。耳を澄まして探しているので、できるだけ静かに移動してくれるとありがたいです。」
「分かった。じゃあ簡単な合図は手で良いな?」
ミアが頷く。さて、俺も魔力探知を広範囲に掛けながら歩くとしよう。
―――魔物の反応。それも、かなりデカい。ミアの方を向くと、ミアも気付いているようだ。
前方から向かって来ているな。近付いてくるにつれて、魔力の反応とプレッシャーを強く感じようになる。そして、そいつが視認できる位置にやって来、る・・・
「ぇぁ・・・」
予想以上にデカい。高さは俺の4倍、横幅は・・・兎に角デカい。その体は黒い毛に覆われ、そして、俺達を睨む赤色の大量の目。そう、例えるならばクモだ。巨大なクモが、木々を薙ぎ倒して歩いている。
「ハルカさん!声を出します!コイツは本気で殺りあわないと死んでしまいます!」
「わ、分かった!本気出すぞ!」
無限収納から剣を取り出して構える。それにしても仰々しい見た目だ。クモの顔の拡大写真は見た事があったが、実際に見るととんでもなく気持ち悪い。まぁとりあえずは、
「ミア、離れてろ!塊炎!」
クモを中心にして火柱が上がる。・・・っと?ちょっと火力が強いか?ちょ、ちょっ!ちょっと!火柱が鳥の形してるんですけど!?あれって、確か殲滅魔法の・・・いや、何も見てない。俺は何も見てない。何も知らない。何も聞こえない。
「ハ、ハルカさん?あ、あれは、なん、何ですか?」
「あ゛ー、何も聞こえないー。」
まさか低位魔法が殲滅魔法に成り掛けるとは・・・もし本当に殲滅魔法に成長したら、魔法を戦闘で使いにくくなってしまう・・・いや、殲滅魔法を低位魔法に必要な魔力量で使えるのは凄いんだけどさ?ちょっとやり過ぎじゃないかな?
―――っ!
ざしゅっ!
「くっ・・・」
急いで横に跳んだが、少し横腹をかすった。クモが足で攻撃してきたのだ。それにしても、炎に焼かれて生きているとは、耐性でもあるのか?
「ハルカさん!」
「俺は大丈夫d、ミア!後ろ!」
「ハッ!」ぴょん
おぉ・・・凄い勢いで跳び上がったな。当たるかと思ってヒヤヒヤした。あの動きが出来るならそれなりに戦えるだろう。ただ、今攻撃してきたのはたったの2本。クモには足が8本あるのだ。
「超攻撃!ミア、俺は突撃する。援護は頼んだ!」
「分かりました!」
橙色に淡く輝いている剣を構える。剣先をクモに向けながら一気に懐に入る!
横から足が来る!
「うぉぉぉ!」
スカッ
空振りっ・・・!しっかりと合わせたつもりだったが、足は攻撃を中断して上に向かって行った。
次は後ろから来た、か。そんな単純な攻撃が、
「通じると思うなよ!おらっ!」
ざしゅっ
ん?無反応?・・・いや、足は切った。叫ばないのか?―――っ!上!
気がついた時には既に目の前に振り下ろされる足が・・・
「はぁっ!」
ドカッ
「ありがとうミア!」
ミアが横から飛び蹴りを入れてズラしてくれた。足は俺の横の地面に突き刺さっている!今だ!
ざしゅっ!
「これで、2本!で、閃雷!」
クモの体に向けて双閃雷を撃つ・・・つもりだった。掌から魔法が放たれることはなく、その代わりに、狙った箇所を天から雷が貫いた。・・・よし、魔法辞めよう。
効いてはいなさそうだが、少し怯んだようだ。今だ!
「斬り裂いてやる!超攻撃!」
クモのお腹に深めの切り傷を一本入れる。黒い毛を赤い血が染めていく。
「私も行きます!」
ミアは一回のジャンプでクモの頭上に跳んだ。足が狙ってくるが、体を捻らせて避ける。空中に突き出された足の上を走り、そのまま脳天にドーン!パンチを決めた。
ミアの攻撃が結構強かったのか、足が2本足りないクモは、少しよろけた。その隙を見逃す程俺は戦闘慣れしていないわけではない。
「これで、終わりだ!」
「私も!」
体を切り刻んだ最後、心臓部に剣を突き立てる。ミアも踵落としでフィニッシュだ。
「ハルカさん、お疲れ様でした。」
「いや、ミアも予想以上に戦えてて驚いたよ。」
「私なんてまだまだですよ〜。」
魔物討伐数
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B モウラヘイラ:1
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