79.ミアの急襲
ご指摘ありがとうございました。
『ヴァシリア北の森→デイラ領の森』に変更しました。
今後もよろしくお願いします。
デイラ領の森の中でレッサーグレイバスを見つけた。壁からは離れているし、優秀な警察、じゃなくて騎士?も多く居るだろうから王都は安全だろうが、デイラ領の人達にとっては脅威だ。依頼が来るのも頷ける。
俺の足元には蟻地獄の様に凹みができている。そしてレッサーグレイバスは真水に弱い。本当に、この生態は倒しやすくて助かる。仮に水が弱点だという事を知られていなければ別だが。
「塊水!」
―――ピギィィィィ!
浸水し始めて混乱と苦痛の中にいるレッサーグレイバスに向かって、自ら凹みの中に滑り込んでいく。
「さぁ、こいつは初お披露目だ!」
さっき買ったばかりの剣を掌に顕現させる。と言えば聞こえは良いが、無限収納の出口を掌に合わせるだけだ。
レッサーグレイバスは身に危険を感じたのか、足で攻撃を開始した。
「俺も最近、成長してるんでなぁ!」
両手でしっかりと剣を握り、頭上から襲ってくる足を丁寧に一本ずつ斬り落としていく。
「これで、終わりだ!超攻撃!」
―――PGyyi!
目の中間、脳の部分に剣を突き刺す。コイツとの戦いもそれなりの回数やっているので、慣れたものだ。剣に付いた血を振り払って、仕舞う。
何だか思っていた以上に早く終わってしまった。まぁ早く終わるに越したことは無いのだが。無限収納に仕舞ってから帰路に着く。
――――――――――――――――――
「あの、すいません。」
「はい。」
「依頼の達成確認をお願いします。」
「達成確認?数時間前に出たばかりじゃないですか。」
今の時刻は38時。確かに4時間しか経っていないが、まぁそんなものじゃないか?まぁ魔銅板を見せれば早い。
「これ、魔物討伐数。レッサーグレイバスが増えてますよね?」
D パウパティ:6 チェイス:8 レッサーグレイバス:2 ・・・・・
「あ、あぁ〜・・・確かに1から2になっていますね。分かりました。達成を認めます。―――こちらは報酬になります。」
「どうも。」
さて、一度テイルのところに行くか。
コンコン
「テイル?俺だが、良いか?」
「ハッ、ハルカ!?」
「ハルカさん!ちょっ、今は!」
「何だ?ミアもいるのか?何やってるんだ?」
がちゃ
「「駄目だってぇぇ!」」
ドアを開けるとこちらに全力で走ってくるミアと、その奥にはテイルがシーツに包まってベッドに座っている。―――そして目の前に掌が・・・
ばしぃ!
「うみゃっ!?」
ミアに思いっきり顔面を潰された。そのままの勢いで後ろに倒れた。今は、俺の胸の辺りにミアが馬乗りになっている状態だ。
「ハルカさん!目、瞑りなさい!もしくは潰します!」
「待て待て潰すな!落ち着け!そしてどいてくれ。」
ミアの腋を掴んで両手で持ち上げる。ミアは身長も低く、胸も未発達なので持ちやすい。筈だったのだが・・・
「ちょっ!///ちょっと!仮にも16歳の乙女のどこを触ってるんですか!?」
「いや、ちょっと暴れないでくれ。ほんt・・ブヘッ!」
暴れられて顎を蹴られた。身長が低いと言っても、俺が腕を伸ばして地面と水平にしたら、ギリギリ地面につかない程度だ。ミアを横に投げ捨てる。
「あっ・・・大丈夫ですか?」
顎を蹴られて悶絶している俺を心配してくれるのは嬉しいが、とりあえず何があったのかを説明して欲しい。
「ハルカ、大丈夫?ごめんね。今、私着替え中だったから・・・」
あー、そういうことでしたか。それでミアが俺を止めに来て、テイルは咄嗟にシーツで体を隠した、と。
「その、ごめんな。」
「見て、ないよね?///」
「そこに関しては大丈夫だ!神に誓って何も見ていない。」
神に誓うとか言いながら仏様のポーズをしている自分に疑問抱きながら、急いで部屋から出てドアを閉める。
少ししてからテイルが声を掛けてきた。
「ハルカ?もう入って良いわよ。」
「あ、あぁ。」
がちゃ
「さっきは、その、悪かったな。」
「そ、その話はもう良いから!で、何か話すことがあったんでしょ?」
「あぁ、そうだ。これを買ったんだ。」
そう言って俺は無限収納から新しい剣を取り出す。
「あ〜、そういえば折れちゃってたわね、前の剣。それにしても良さげな剣ね。高かったでしょ?」
「まぁ、それなりかな。」
「ん?なんか少し血生臭いですよ?」
「そう?私は感じないけど・・・狼の獣人は鼻が効くもんね。」
「ミア、正解だ。今レッサーグレイバスの討伐をしてきたところだ。」
「お金、少ないの?」
「多くはないな。依頼を受けてれば生活していけるけど、受けないとマズい。」
「もし足りなかったら私の家から・・・いや、それは辞めましょう。」
「そうだ、今俺の無限収納の中に大量に魔物の死体が入っているんだけど、素材と解体方法が分からなくてな。それらを売れば数千シェルは入ると思うぞ。」
「あ、じゃあ今から私がお手伝いするので解体しましょう?」
「え?ミア、魔物の解体とかできるのか?」
「えぇ、任せてください!」
近くで魔物の解体できる場所、と言ったら、ギルド内の訓練所だ。魔法を放っていい場所というのは地面を汚しても洗えば良し、死体の残りも燃やして良しだ。
ただ、ミアは亜人が居る事がバレると不味いので、俺が認識阻害魔法でどうにかする。さて、ナイフを片手に解体開始だ。
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