7.初☆依頼
マスクをすると呼吸困難に陥るYOPPYです。
装備を整えた俺達は、ギルドの受け付けに来ている。
「あの、依頼を受けたいんですけど。」
「お二方での取得でよろしいですか?」
「「はい。」」
「ランクの方は、いくつでしょうか。」
「ランク?って何ですか?」
「ランクは、その冒険者の強さを表します。レベルだけでなく、戦闘に適しているか、経験が豊富かなどの要素も加え、魔銅板にF~SSSで表示されます。依頼や魔物にもランクがついていて、自分と同じか、下のランクの依頼しか受ける事は出来ません。」
二人で魔銅板を確認すると、確かに書いてある。テイルは勿論、経験が無いので俺も最低ランクのFだ。
「えっと、Fです。」
「私も。」
「Fランクですと、現在こちらになります。」
そう言って受付嬢が渡してきたのは、ランク別の依頼が書かれたリスト表だ。内容、依頼主、報酬が書かれている。依頼主は大体ギルドだが、個人名が書いてあるところは報酬が高い。金持ちが依頼しているのだろう。
俺達はリストに目を通して行き、簡単で、報酬が高い物を探していく。
「ハルカ、これはどうかな?」
内容:スライムの討伐、場所:東の森、依頼主:ギルド、報酬:スライム一匹につき200シェル
スライムといえば、弱い事で知られている魔物だ。地球の考えがこの世界で合っているかは分からないが、テイルが選んだという事は安全なのだろう。なによりスライムが弱ければ、50匹倒すだけで1万シェルだ。これは良い。
「よし、それにしよう。」
「スライムの討伐依頼ですね。東の森の奥地にはDランクの魔物も生息していますので、あまり中まで入り込まないようにしてください。それでは、いってらっしゃい!」
「よしハルカ、早速行くわよ!」
「おう。」
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「そういえば、何匹討伐したとかどうやってわかるんだろうな。」
「魔銅板のデータに入るらしいわ。パーティーを組んでいても、そのパーティー全体での功績が書かれるみたい。経験値は、山分けになるわ。」
魔銅板というのは優秀だな。ここに通信機能と検索機能があれば、異世界のスマートフォンと言っても良いのかもしれない。それにしても膨大な量のデータがこのカードに入っているというのは、ハイテクすぎないか?―――というかどんな魔法を組み込んだらこんな事になるんだろう。
「あとね、討伐数に応じた報酬とは別に、売却できる部位は切り取ってギルドに持って帰ると、買い取ってくれるわ。スライムの場合は体全体が売れるから、できるだけ持って帰りたいわね。」
「テイル、ちなみに確認なんだけど、スライムは弱い魔物だよな?」
「ええ。弱い打撃でも倒せるし、移動も速くないわ。ただ、炎魔法への耐性があるのと、一匹倒すと群れ全部が集まって来るということ、あと核を潰さないと再生してしまうわ。囲まれると厄介だから、気をつけないとね。あと、HP切れは絶対にダメ。獣型の魔物は倒れていると襲ってこない可能性もあるけど、スライムは確実に捕食しにくるわ。」
そうだ、弱いとはいえ魔物なのだ。楽観視せずに本気で戦おう。核を潰せば討伐数に数えられるシステムだろう。
「着いたわよ。ここが、東の森の入り口。」
そこは、街から少し離れた場所で、森へと続いていた一本道が途切れ、道の両側に建つ二本の石柱があた。石柱には紋様が彫られていて、森の中は木が密集していて暗くなっている。
「よっしゃ、稼ぐぞー!スライム出てこいやぁー!」
「ちょ、ちょっとハルカ、置いてかないでよ!」
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森の中はところどころに光が射しているが、基本暗い。木も物凄く太く、俺が腕を回しても俺が3人必要そうだ。少し湿度が高くなっていたので、スライムが居そうな環境という事は分かった。
「ハルカ、ちょっと暗いから光源魔法を使うわよ。」
「ん?テイル、魔法が使えるのか?」
「ええ、簡単なやつだけね。魔力の動かし方さえ覚えれば、誰でも使えるわ。高位魔法は威力が高い代わりに、詠唱が必要になるし、魔力操作も難しいわ。」
そういうとテイルは流輝鞭を取りだした。
「今から使う光源魔法≪灯光≫は、簡単だし、魔力消費も少ないから、帰ったら教えてあげるわね。
灯光!
」
テイルが魔法を発動すると、鞭の先が光った。結構明るい。
ただ、光のせいか魔力運用のせいか、膝ほどの高さの水色の丸い魔物が大量に近づいて来ている事に、二人はまだ気付いていなかった。
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