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73.緊急

睡眠は健康のために重要です。皆さんしっかりと寝ましょう。

 壁は見えたが、検問所が見当たらない。とうとう壁の目の前まで来てしまった。


「全く、看板でもあれば良いのにな。魔力探知(ディテクション)発動!」


───人を見つけた。多分あそこだろう。


「よし、見つけた。こっちだ。」


「いや、ここまでで大丈夫だよ。日も傾いているし、目立たないと思うからここから行こうと思う。流石に、森の中まで来てもらうのは迷惑だと思うしね。」


「そんなこと無いわよ?」


「ううん。それに、森の中は安全だしね。」


「・・・そう?」


 まあ二人がそう言うなら良いだろう。ここでお別れか。


「いろいろお世話になったよ。ありがとう!」


「ハルカさん、テイルさん、またいつか会いましょう!」


「気をつけて行けよ?」


「じゃあね、リーア、ミア・・・」


「テイル、泣かないでって!また会えるよ。」


「・・・うん。」


「それじゃ!」

びゅぅんっ!


「あ、お姉ちゃん待ってよ~!」

びゅん!


 凄ぇ・・・ジャンプ一つで6m近くある壁を簡単に越えて行った。走っているときも思ったが、やっぱりあの身体能力はうらやましいな。

 壁の上部も二人の姿も見えなくなった。


「行っちゃったわね。」―――ぐすっ


「またいつか会えると良いな。・・・とりあえず、今日の夜はここで野宿かな?」


「え!?あ、えぇ、そうね。野宿ね。一番近くの街も結局ヴァシリアの近くだから、遠いしね。」


ピピピピピっ、ピピピピピっ、ピピピピピっ


「ん?何の音だ?」


「通話の腕輪の着信音よ!何ぼけっとしてんの!」


「あぁ、そうか。―――はい、もしもし。ハルカです。」


『ハルカくん!明日の昼までにギルドには来れるか!?』


「・・・急げば、何とか。」


『それは良かった。急いで来てくれ!細かい話はそれからだ。』ぶちっ


 一方的に切られてしまった。でも、何かあったのだろう。野宿なんてしないで急いで戻らなければいけない。


「と、いう事らしいから、行くぞ。テイル。」


「忙しいわねぇ・・・しょうがないわ。じゃあハルカ、走ってね。」


「結局俺が走るのかよ!」



 少し疲れも溜まっているが、少し休憩した後にヴァシリアを目指して南に走り始めた。テイルはスキルで俺にくっついてくるだけだが。

 途中から暗くなってきたので暗視(ノクター)を発動させて走り続けた。たまに馬車とすれ違ったが、特に話すことは無かった。というか、俺達に気付いたときは既に通り過ぎているからだ。


 44時過ぎにようやくヴァシリアの北門が見えてきた。煌々と灯りが点いている。



 窓口まで行き、入る手続きをしなければいけない。


「身分を証明できる物の提示をお願いします。」


「あ、はい。摩銅板です。」

「私のも。」


 何だか少しピリピリしているのは気のせいだろうか。兵も、いつもより明らかに多く居る。


「はい、ハルカ・タチバナさん、テイル・ロンドさんですね。お持ちの魔道具は?」


「えっと、この通話の腕輪だけです。」


「この、対になっていない物は?」


「ギルドグルシュ支部長のアルバートさんと繋げています。」


「・・・グルシュ支部長?確認させてもらっても?」


 眼光が鋭くなる。確かに、普通の、といっても苗字持ちだが、ギルドの重役と通話の腕輪で繋がっているなんて言ったら、怪しまれるのも当たり前か。腕輪を起動させてアルバートさんに繋げる。


ピーっ、ピーっ、ピーっ、ピーっ、ピーっ、ピーっ、・・・・・


「出ませんね?」


 さらに鋭くなった。いや、もうほとんど睨まれている。


「おかしいな・・・」


「そちらの腕輪、解析にかけてもよろしいですか?」


「あ、だ、大丈夫です。」


 まぁその方が怪しまれる事は無くなるだろう。それにしても最初に入ったときとは凄い違いだ。王都全体で警戒態勢なのだろう。これは本当に急いだ方が良さそうだ。


 少しして、役員の人が奥から戻ってきた。


「解析の結果、対の物はアルバートが持っている事が分かりました。こちらはお返しいたします。最後に、そこの黒いゲートをお通りください。」


「分かりました。」


 まずは俺が通る。───何も起きなかった。


「次は私ね。」


───何も起きない。大丈夫そうだ。


「では、お二人の門の通過を許可します。でも、なるべく外出は控えた方が良いですよ。それだけはお伝えしておきます。」


「そうですか、ありがとうございます。」



 俺達は急いでギルドへと向かう。時間が遅いというのもあると思うが、街には人が一切歩いていない。ギルドの入り口を入口を入ると、他の冒険者が居ない代わりに受付の人だけが居た。


「お二人共!お待ちしておりました。直ぐに、お通し致します!」


 応接室で少し待っていると、部屋の外からドタドタという足音が聞こえてきた。そして、


ばんっ!


勢いよくドアが開いた。


「あぁ、来てくれてありがとうございます。まさかこんなに早く戻って来るとは・・・」


「あ、アルバートさん落ち着いてください。」


「いえ、落ち着いている暇はありません。奴らが動き出しました。」


「こんな短時間でバレたか・・・」


「ええ。1、2時間前までは街中で暴れていました。とりあえず落ち着きましたが、次は何をしでかすか分かりません。何かあったら直ぐに動いて頂きたいのです。」


「任せてください。」


「ありがとうございます。それと、地下で拘束した組員を収容している建物の監視を頼みたいのです。」


「監視?」


「今まであいつらは、組員が捕まると、情報漏洩を防ぐために王城内にまで暗殺班を入れ込んできます。今回こそは、捕まえた奴らを殺されるわけにはいきません。勿論、常に見張って頂かなくても、建物の近くで休んでもらっていて大丈夫ですから。」


「分かりました。」


「では、早速移動して頂きます。付いて来て下さい。」

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