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72.壁、再来

書く時間がなかなか取れないです・・

「それでは、何かありましたら連絡させていただきます。」


「はい。俺達としてもお手伝いしたいので、いつでもお願いします。」

「勿論、私も手伝いますよ!ブラッドべムを根絶やしにすることが私の目標の一つでもあるので!」


「ありがとうございます。頼りにしております。」


「それじゃあ、お世話になりました。服も新しいものを用意して頂いて、ありがとうございました。」

「ありがとうございました。」


「いえいえ、今後は気をつけてくださいね。もう捕まってはいけませんよ?」


「はい、すいませんでした。」


「それでは、良い旅を。」


 俺とテイルは、リーアとミアの護衛として一緒に北まで行くことになった。護衛と言っても、ブラッドべムから守る、というより亜人だけでこの国を動くのは危ないという事だ。

 ブラッドべムに何か動きがあった際の戦力という事で、俺達はアルバートさんと対の通話の腕輪を持つ事になった。これでナシヤットに戻った後もすぐに連絡が来る。


 リーアとミアは、フード付きの新しい上着を貰った。フードが深いので耳と顔を隠す事ができ、尻尾も隠せるようになっている特別な形だ。


「それじゃあ、行きましょう。前には気をつけてね。」


「うん。テイル、ハルカ、よろしくね!」


「とりあえず王都の北門に向かうぞ。と言っても俺も分からないから、テイル、頼んだぞ。」


「えぇ、任せて。人の少ない所を選んで行くから、そんなにびくびくしなくても大丈夫よ、ミア。」


「び、びくびくなんてしてないですよぉー・・・」


 ミアはまだ街の人達が怖いみたいだ。リーアは完全に俺達の事を信頼してくれているのか、落ち着いている。今の時刻は28時、そういえばお昼をまだ食べていないな。

 王都には騎士が巡回しているが、特に怪しまれる事もなく歩き続けた。すれ違う人達も二人が獣人だと気づいていないらしく、大丈夫だった。


「テイル、お昼ごはんはどうするんだ?」


「あ、そういえば忘れていたわ!ヴァシリアの中で食べていきましょうか。」


「え、店に入るの?大丈夫かな・・・」


「私もそれはあんまり・・・」


「そんなに考えなくても大丈夫よ!いざとなれば、私の名前を出せば少しぐらい口止め出来るわ。」


「テイルが、そう言うなら・・・」


 結局ヴァシリアの中にあったファミリーレストランに入った。そこでも店員さんに怪しまれる事もなく、席に着けた。何事もなく、ご飯も美味しく、良かった。狼の獣人の舌にも合ったようだ。


 食べているときに聞いたことを少し話そう。獣人にも様々な種類があるが、狼の獣人は特に身体能力が高いらしい。さらに、夜間の月を見る事を条件にして、任意で身体能力をさらに高める事が出来るという。狼の獣人は、一つの森に一つの集落をつくり、生活する。同じ森に二つ以上の集落がつくられる事は無く、一つの集落の規模も様々だという。月に一度、新月の夜に集落の長同士が集まって会合を開くらしいが、その場所は代々語り継がれている長の家の者しか知らない。長が代変わりすると、全ての集落に使いを出す必要があり、リーア達もその仕事の最中だった。


 お昼代は俺が負担する事になった。ブラッドべムの件の功績はアルバートさんに押しつけたが、秘密裏にそれなりの礼金を貰っているので、残高が増えた。が、少ないのは事実だ。早いうちに依頼を受けなければいけないだろう。


 王都ヴァシリアに入る時は身分証明が必要だったが、出るときは必要なく、簡単に出る事が出来た。リーア達が入って来た時は夜だったため、壁を越えてもバレなかったらしいが、流石に昼間は目立つので幸いだった。


 ヴァシリアからグルシュ王国の北端、目的の狼の獣人の集落がある森までは、普通の人間で2、3日かかるらしいが、俺達は別だ。俺もステータス上昇と共に身体能力が人域を越え始めており、テイルはスキルで俺に付いてくれば何も問題は無い。リーアとミアも、目立つ事を考えなければ俺よりもよっぽど速く走れるので、人の少ない王都外での移動はとにかく速く済むのだ。


「ハルカ、普通の、人間なのに、中々、やるね!」


「リーア、息、上がってんじゃ、ないのか?」


 俺の全力疾走にリーアも付いてくる。通った後に風を起こしながら、物凄いスピードで北東へと走り続けている。


「二人共息あがってんじゃない。もっと体力付けなさいよ。」


「お前は引っ張ってもらってるだけだろ!」


「あれ、バレた?」


「お姉ちゃん、ハルカさん、ちょ、ちょっとスピード落としてください・・・」


 ミアも速く走れてはいるが、少し遅れ気味だ。相当辛そうな表情をしている。少しスピードを落とすか。


「ミア、今日もボクの勝ちだな!」


「お姉ちゃんに勝つのは無理だよ・・・」


「でも、歳も一つしか違わないんだし、頑張れば勝てるようになるって!ボクだって最初は遅かったんだから。」


 リーアとミアはちょくちょく競走しているのだろうか。ミアは年下を理由に半分諦めかけているようだが、ぜひとも、リーアに勝てるようになって欲しい。


 そろそろ日が傾いて来た頃、グルシュ王国の端、巨大な壁が見えてきた。今日は王国を出て少し移動したところで野宿になりそうだ。

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