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71.自己紹介

好きな事を、やり通す。

 地上までの通路には誰も居なかった。もしここで戦闘になったら狭過ぎるので面倒くさいと思っていたが、そんな事にはならなかった。


 階段を登り、扉を下から押し上げる。



―――ぎぃぃぃ



 最初に俺が登り、二人を引き上げる。ここまでずっと走って来たので話が出来ていないが、それは獣人の二人と同じだ。後でも問題ない。ちなみに少年は体がボロボロだったので俺が背負ってきた。まだ一言も発していない。


「ほら、外ですよ。」


「おぉ、久し振りの太陽だ・・・!スゥーハァ、やっぱり外の空気は違いますね。」


「それじゃあ、ギルドに向かいましょう。支部長と話をしないとですから。」



――――――――――――――――――



「すいません、支部長の所に通してもらえませんか?」


「あっ、ハルカ様。どうぞ、こちらになります。」


 ギルドの中でボロボロの少年を背負った俺とガタイの良いおじさんは目立つ。周りの冒険者からの視線が痛いが、奥に通してもらえばこっちのものだ。


コンコン

「アルバートさん、ハルカです。」


「ハルカ君か。入ってきてくれ。」


 応接室に入るとアルバートさんとテイルの二人だけが居た。


「ハルカ、結構遅かったわね。・・・その二人は?」


「地下で見つけた。多分今までに行方不明になっていた人達だ。アルバートさん、確認をお願いします。」


「お手数をお掛けします。」

「・・・・・」


「いえいえ、貴方達が生きて地上に帰ってきた事を喜ばなければいけませんよ。ハルカ君も、よくやってくれましたね。」


 二人はアルバートさんに連れられて他の部屋へと移った。健康診断と身分確認の為だ。俺はテイルと二人で部屋に残された。


「そういえば、ここに着いてすぐに、あいつらを捕まえる為に騎士の派遣をアルバートさんに頼んだんだけど、すれ違ってない?」


「いや、無いな。違う道を通ったかもしれないな。そうだ、獣人の二人は?」


「今、健康診断を受けてるわ。アルバートさんが亜人迫害思想じゃなくて本当に良かったわよ。ここに来るまでは布で覆ってたけど、流石に外さないといけなかったから。」


 ギルド支部長が他国から非難されそうな思想な訳が無いとは思うが、確かにそこは考慮していなかった。アルバートさんになら頼っても大丈夫と思いこみ過ぎていたかもしれない。



コンコン


「はーい?」


がちゃ

「ここで待っててくれって言われたのですが・・・」


 入ってきたのは獣人の姉妹だ。お風呂に入ったのか、毛がふさふさになり、艶も出ている。表情も晴れやかになって、地下で見た時とまるで別人のようだ。

 俺達が座っている反対側の長椅子に座った。


「改めてお二方、助けていただき、ありがとうございました。貴方がたは命の恩人と言っても過言ではありません。一生分の借りが出来ました。」


「いや、そんなに、ねぇ?」


「そうよ。そんなに気にすること無いわ。それより、自己紹介しましょう。良いコミュニケーションは相手を知ってからよ。」


「そうだな。俺はハルカ・タチバナ。ハルカって呼んでくれ。17歳で、Dランク冒険者だ。」


「私はテイル・ロンド。テイルで良いわ。私も17歳でDランク冒険者。ハルカとパーティーを組んでいるの。」


「あ、えっと、ボクはリーアと申します。17歳で、ここグルシュ王国の南の森で暮らしている狼の獣人です。この子はボクの妹です。」


「私はミアと言います。16歳です。よろしくお願いします。」


 ちょっと待て。リーア?・・・一人称・・・ボクっ娘なのか。ミアは一人称私なんだな。というかリーアは同い年だったのか。身長が20cmぐらい違うので、結構下だと思っていた。


「お二方はパーティーを組んでいらっしゃるのですね。道理で、コミュニケーションが速かったんですね。」


「リーア?同い年なんだし、敬語はちょっと・・・」


「でも!」


「俺達も敬語使われるのは、あんまりだからさ?」


「分かりましt・・じゃない。分かった。」


「私は、敬語を使います。良いですか?」


「あぁ、まあ。」


 リーアとミアはグルシュ王国とナシヤットに挟まれた大森林にある狼の獣人の集落から、グルシュ王国の北東にある集落まで使いに出ている最中で掴まったらしい。王国の外は魔物が多くて危険なので、こっそりと侵入し、王国内を移動していたという。一段落したらまずは北東の集落に行くらしい。

「そこでお願いがあるんだけど・・・」


「何だ?」


「命を助けてもらったのに、こんな事頼むのはどうかと思うんだけど、その集落に着くまで護衛してもらえないかな?勿論!お金は払うから!」


「俺は構わないぞ。特にやる事もないしな。」


「私も良いわよ。それに、友達の頼みは断れないしね。」


「友達・・・嬉しい事言ってくれるなぁ・・・人間の友達は初めてだよ。」


「勿論、ミアも友達だからな?」


「はい!」


 人間の友達は初めて、と言っていたが、隣の国に亜人迫害思想が根付いているのだ。初めてにもなるだろう。人間は皆が皆同じ考えではないという事を知っておいて欲しい。まぁ俺としてもケモミミの友達は初めてだが。


コンコン

「入りますよ。」


がちゃ


「ハルカさん、テイルさん。言われた通りの場所に行ったら、アジトを発見しました。倒れていた奴らも、全員捕縛したと連絡が来ました。それと、先程ハルカさんが連れて来てくれた二人の身元を確認したところ、今までの行方不明者リストに載っていました!本当に、ありがとうございました。」


 よし、これで一件落着かな?

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