6.依頼の前に
YOPPYです。皆さん、睡眠はちゃんと取りましょう。
さて俺は、テイルの家で一晩を過ごさせてもらい、今は朝食までごちそうになっている最中だが・・・
「ハルカ、まさかその格好で依頼を受けるつもり?」
「あ・・・」
そういえば、今俺は学校の制服を着ている。というか昨日からずっとだ。着慣れた服なのであまり気にしていなかったが、この格好で運動するのはいささか問題がある。そもそも、浮いているのだ。この世界にも学校はあるが、それは基本、子供が行くものではなく、大人が戦闘の腕を磨いたり、技術の練習に行くような、いわばスクールといった感じのものであり、制服は存在しないのだ。
「確かに、この服だと動きづらいな。」
「じゃあさ、依頼受ける前に、まず服と装備を買いに行こう!」
「え、でも俺お金が・・・」
「良いって良いって。私が出すよ。」
「悪いな。いつか返すから。」
「い~のっ!私は、ハルカとパーティー組めただけでも、大きな利益なんだから。」
テイルはあんなこと言っているが、お金に余裕ができたらすぐにでも返そう。そういえば装備が必要だったな。無一文っていう状況で、焦りすぎていたみたいだ。テイルに感謝感謝。
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俺とテイルはギルドを出て、服と装備を買いに来ている。制服は目立つという理由で、先に俺の服を探しにきた。
「今日の買い物は、ハルカの服と、ハルカと私の装備!予算は3万シェルまで!」
シェルというのはこの世界のお金の単位らしいが、物価はよく分からない。
「うん。で、テイル。ここで一つ大変なことが起きているんだけど。」
「ん?なに?」
「俺、字が読めないんだけど。」
「( ・∀・)」
まあ普通そういう反応ですよね!なんかこいつ強いけど常識通じないなーまあ良いか〜って思ってたのが、『字が読めない』じゃあさすがにそうなりますよね!
「―――ハルカ、安心して。私が教えてあげるから。」
え?何その反応?ありがたい!ありがたすぎます!捨てられることも覚悟してたけど、予想の斜め上もうちょっと上を戴きました!
「本当か!?ありがとうテイル〜!」
「そっ、そんなに喜ばなくても・・・仲間なんだから、当然のことだよ。」
「よし、それじゃ、今日のところは俺何も読めないから、テイルに任せる!」
テイルに任せて選んでもらった服は、黒に黄色い線が二本だけ入ったものと、同じ柄で白に水色。そして紺のパーカー。ジーンズ生地の様な見た目だけど、凄いストレッチの効くズボンを二着。そして下着セットを二つ。まあ必要最低限だが、着心地もよく、サイズもぴったりだ。控えめに言って最高だ。
これで大体1万シェル。
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さて、テイルおすすめのお店に装備を整えに来たんだが・・・ここ、俺がこの世界に来て最初に入った店じゃね?―――なんか、安く良い物が手に入るらしい。
「いらっしゃいませー」
「「こんにちは。」」
「ハルカは、どんな武器を使いたい?」
うーん、やっぱり剣道をやってたから剣が良いな。あと、あまり重くないほうが良いだろう。筋力がある方では無いと思ってるし。―――壁に掛かってるのは高そうだから、あそこの箱に入れられた奴から探そう。
「これ、かな。」
俺が手にしたのは、細身の剣だ。思ったより軽く、振りやすい。気のせいかもしれないが、持ち手がほんのり温かくなり、剣の鼓動が聞こえてくるようだった。
「ハルカ、そんな安いので良いの?」
「ああ。なんだかしっくりくる。」
「そう?私はこれ。【傀儡師】用の流輝鞭」
【職業】専用の武器もあるのか。―――【旅人】用はどうせ無いんだろうな。
今回、武器は買うが防具は買わないらしい。なんでも、低レベルだと防具があっても即死するので、動きを軽くした方がいいのだとか。あとは、回復薬だ。
回復薬にはHP用とMP用があって、MP用はHP用に比べて3倍ほど値段が高いそうだ。特別、高、普通と、効果によって呼び方や値段が変わる。一般的に使われるのは普通回復薬だ。
結局、この店で買ったのは二人の武器と、HP用普通回復薬を20本。これで17000シェル。予算内に収まった。
「よし、これで買い物は全部だね。」
「悪いな。お金出してもらって。」
「気にしないでって!それじゃ、稼ぎに行きますか!」
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