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66.裏組織

平成に代わる、新元号発表です。

「おーいハルカ?そろそろ起きなさーい。」


───ん・・・朝か。テイルにしては優しい起こし方だな。


「ハルカ、朝ご飯食べに行くわよ。アルバート支部長の所には18時ぐらいに行きたいから、少し急いで。」


「はふぁ~、今何時だ?」


「15時よ。一昨日、昨日と、疲れてるのよね。私の荷物は机の上にまとめたから、お願いね。」


 まぁ確かに疲れが取れ切っていなかったのは事実だ。ちなみに荷物お願い、というのは、基本全ての物を俺の無限収納(スナフ)に入れて生活しているが、俺が出さないと使えないので、俺が寝てしまう可能性がある時間帯にテイルが使いたいものは先に出して置いているのだ。

 机の上の物をしまい、服を着替えて部屋を出ていく。


 朝食を食べ終え、チェックアウトし、俺達は再び依頼受付へ。ロンド家の名前は結構有用らしい。


「あ!ロンド様!わざわざ日を改めて頂いて申し訳ございません。今、奥にお通し致します。」


「ありがとうございます。こっちの冒険者は私の付き添いってことで良いわよね?」


「勿論です。一応、身分が分かる物をお願いします。」


「あ、ですよね。はい、魔銅板です。」


「ありがとうございます―――ハルカ・タチバナ様、ですね。これは、お返し致します。」


 魔銅板を返してもらい、受付の人に案内されて二人で職員側の奥に入っていく。応接室の様な、少し綺麗気な部屋に通された。

 少しすると、お盆にお茶を乗せた、アルバルトさんと瓜二つなおじさんがやってきた。


「はじめまして。ここの支部長を務めております、アルバートです。」


「ハルカ・タチバナです。」

「テイル・ロンドです。お呼び立てしてしまいすいません。」


「いえいえ、こちらこそ、昨日は外出しておりまして・・・あ、お飲み物を・・・」


「あ、ありがとうございます。」


「それで、私に何か用でしょうか。」


「・・・早速本題に入ろうと思うのですが、私達はアルバートさんに協力して頂きたいのです。」


「ほう。何をするのか、聞いても?」


「アルバートさんは、貧民街の問題を重要視されていますよね?」


「はい。」


「勿論、あの地域の回復を私達だけでできるとは思っていません。ですがその前に・・・ブラッドベムについてです。」


「なっ・・・あなた、何故その名前を!」


 ブラッドべムって・・・血塗られたべム。あの砂漠に居たヘビか。というか、これって俺が聞いて大丈夫なやつ?消されたりしない?


「ハルカ、心配しなくても大丈夫よ。」

───コイツ、心を読んだか?

「もうハルカも共犯者だから。」


―――駄目じゃん!?


「アルバートさん、私達はブラッドべムを潰したいんです。敵は私たちが倒すので、情報の提供と、その後の処理を頼みたいんです。」


「・・・君達の様な人が居てくれて、私は本当に嬉しいですよ。ただ、あなたたちの戦力は?本当にブラッドべムを潰せるんでしょうか?」


「安心してください。私も戦えますし、なによりここに居るハルカについては!ムーディ・ロンド伯爵と、()()伝説の勇者『トリプル』の孫の孫、ニコラス・フォースターが保証します!」


 そういえば改めて考えてみるとニックも苗字持ちだな。勇者の家系として貴族になっているのだろうか。


「ほう、それは期待できますね。でも、もし少しでも危険を感じた場合は、逃げる事を優先して下さい。私も、出来る事は手伝わさせていただきます。特に、情報面は私に任せてください。」


「ありがとうございます!」


 善は急げ、といことで、そこからは直ぐに細かい計画の打ち合わせだ。


 ここグルシュ王国の王都ヴァシリアの裏社会を牛耳っている組織『ブラッドべム』。その名前を知る者は少なく、王と一部の貴族、そしてギルド長だけが知っている。細かい組織内情は分からないが、人数としてはとても大きいと予想されている。軽犯罪から薬物などの重犯罪まで行っている。人身売買は王が最も厳しく禁止しているので、いくらブラッドべムと言えどそう多くは無い。が、被害は0ではない。

 活発的に活動しているのは西側の貧民街だが、アジトは未特定。戦闘力も高く、一度情報が漏れた際に王城から派遣された、普段は王を守る役割を担う近衛騎士のなかでもトップクラスの精鋭100人が、取引現場に居た組織員3人に全員殺されたなんて話もあるらしい。


 作戦は長期的なもので、張り込み→アジトの特定→情報収集→潜入→壊滅、といった感じだが、相手が尻尾を出さない限りは何も出来ない。さらに、王から申請が無い限りギルドからの密命として冒険者を使う事が出来ないが、王城への申告は作戦の強制中止を意味するため出来ない。アルバートさんも支部長として戦うわけにいかない。つまり、戦力は二人、目立つのは禁止、目立たれるのも禁止、という事だ。


 そういった内容を話し終えた俺達は、それぞれの仕事を始めた。アルバートさんは支部長権限で過去の犯罪情報を洗い直し、俺とテイルは貧民街へと向かう。張り込み、といっても最初は異常が無いか見回る程度しかできないので、戦力的な心配をすること無く個々でバラバラに動く事が出来る。通話の腕輪、水筒、携帯食をそれぞれ持ち歩く。さぁ、作戦開始だ。

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