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65.到着

誤字報告ありがとうございました。

これからもよろしくお願いします。

「テイル、この魔物って何だ?」


「えーっと、確か、ボアシシよ。」


 さて、この世界のお決まりより、地球と名前の似ている奴は食用という考えで行こう。イノシシは英語でワイルド・ボア。ボア・・・イノシシ・・・ボアシシ・・・うん。食える。


「テイル、素材で売るのは勿論良いけど、1匹は俺の昼ご飯な。」


「えっ?何で食用って分かったの!?」


 やはり予想は的中したようだ。ジビエってやつだな。


「よし、時間も時間だし、お昼にするか。」


「今ボアシシが通ってきた所が拓けてるから、お肉を焼くならそこでやりましょう。」


 今食べる為の1匹を残して、残りを無限収納(スナフ)にしまっておく。


「テイル、俺の魔法だと炎が大き過ぎて山火事が起こりそうだから、塊炎(ファイアーボール)頼めるか?」


「しょうがないわね。私にも少し頂戴ね?」


「え?でもテイルには携帯食・・・」


「勿論、携帯食は貰うわ。でも、ボアシシの丸焼きはとっても美味しいのよ?隣で食べられて、我慢できるわけ無いじゃない。」


 まぁ俺一人では食べ切れないから別にいいか。

 ボアシシの血抜きをし、内臓を慎重に取り出し、流波(フラッドヴォルナ)で一気に洗う。ボアシシがなぎ倒した木の枝を加工して丸焼きの装置的なやつを作っていく。他にも、小さな枝を使ってキノコも刺していく。

 テイルに塊炎(ファイアボール)を出して貰い、魔力を流し続けることで炎を維持する。何も燃やすものが無かったが、俺の魔力で代用したら焼き上がるまで何とかなった。

 テイルが言っていた通り、ボアシシの丸焼きは美味しかった。豚の丸焼は食べた事が無いが、おそらく同じ感じなのだろう。


 お昼ご飯を食べ終え、後片付けをし、先に進む。そこから麓までは4時間ぐらいかかったが、魔物は出てこなかった。王都には魔物避けの結界が張られているらしいので、その余波のせいだろう。


「ふぅ、ようやく着いたわね。」


「で、ここからなんだろ?」


「そうよ。気を引き締めていくわよ!」


 王都に入るために、最初にグルシュ王国に来たときの様に身分証明書を提示する。勿論止められる事もなく簡単に入る事が出来た。だいぶ遠くに王城の先端だけが見えるが、城が街の中心だとすると王都全体はよっぽど広いのだろうという事が想像できる。兵士、というか騎士というかが巡回しているのか、よく見かける。

 テイルによると、王都は王城を中心として円形になっており、外側が住宅地、内側に商業施設や娯楽施設などが集中し、城の周りに貴族街があるという。


「でもテイル、何でこんなに警備がしっかりしていそうなのに、その、裏があるんだ?」


「監視の強い場所ほど、その影に隠れているのよ。それに、そういう奴らがいる事は皆知っているんだと思うけど、単純にそいつらの戦闘力が高すぎて潰せないらしいのよ。騎士たちが派遣されたとしても目立つしね。」


「なるほど。」


「それと、王都の西側の一部には貧困層が溜まっているの。そこは本当に別世界の様な場所で、王城も干渉にかかる費用的な問題で放置している、と聞いた事があるわ。そういうところで、悪い奴らは動いているのよ。」


「それって王側にも問題があるんじゃ・・・」


「そうよ。ただ、今のグルシュ支部のギルド長は、西側の問題を重要視しているみたいなの。だからまずは、私の名前を使ってギルド長に会いに行くわ。」


 ギルドに向かって道を歩いていく。そこで、俺は何か違和感を感じていた。ナシヤットやフェルミと何かが違う。いや、どちらかというと懐かしい?あれ?


「テイル、そういえば獣人の人達を見ないな。」


「───グルシュ王国では亜人迫害の風潮があるの。魔物扱いをする人もいるぐらいよ・・・私は、亜人とも仲良くすればいいと思うんだけどね・・・」


「そう、なのか。」



 その後俺達は無言のままだった。しばらく歩いていたらギルドの建物の前に着いた。中に入っても勿論亜人は居なかった。ただ、そこを除けば作りはナシヤットの物と同じだ。


「何か御用ですか?」


「支部長と話がしたいの。通して貰えるかしら?これ、魔銅板。私の身分証明ね。」


「あっ、ロンド伯爵の・・・申し訳ありません。只今アルバートは外出中でして、明日には戻ると思いますので・・・」


「分かったわ。じゃあ、また明日来るわ。」


「申し訳ございません。」


 どうやら支部長の名前はアルバートというらしい。あれ?確かナシヤット支部長ってアルバルトさん・・・

 それに、ロンド家って伯爵位なのか。確かにそれなら、王都から離れた村を統制しているのも分かる。

 まぁとにかく、今は居ないようだ。とりあえず今日泊まるための部屋を借りる。テイルに任せたら、一部屋だけ借りてきた。テイルが良いなら俺は別に構わないのだが。


「じゃあハルカ、今日やる事無くなったし、買い物でも行きましょう。色々買っておきたいものがあるの。」


「分かった。じゃあ買いに行くか。」


 テイルが買いたいものというのは、残りがほとんど無くなっていた回復薬(ポーション)の補充と、追加で魔力用を数本、紙、携帯食、そして通話の腕輪だ。通話の腕輪はそれなりに高い魔道具で、1対80000シェルぐらいした。無限収納(スナフ)の残高=全財産も結構少なくなってしまった。


 買い物の後は俺の魔法の練習が始まった。ニックが使っていた気配と魔力を消す魔法と、相手の視界を奪う魔法、そして新しく、自分の姿を消す魔法を叩き込まれた。これらは空間への効果付与もできるので、俺が一回で効かなくなる事はない。


 魔力が尽きた後は文字の勉強、夕飯、風呂、就寝と、思っていたよりも忙しい一日だった。

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