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64.王都へ

投稿始めて2カ月ぐらいです。月日が経つのは早いものですね。

「もう、行っちゃうです?」


「冒険者として活動しないと、金が無くなっちゃうからな。またいつか、遊びに来るよ。」


 そういって泣き出しそうなルイルの頭を撫でてやる。抱き付いてきたが、できればあと5、6年後に頼みたかった。

 昨日の模擬戦の後、テイルの正式な門出としてパーティーが行われた。屋敷の中の人たちだけで行われたもので、食べ物も美味しく、楽しかった。

 医者の人に再度検査を掛けてもらったが、骨も完全にくっついたらしい。戦闘中にも回復していたようだ。


「ハルカ君、妹をよろしくね。」


「はい。」


「またいつでも来てくれ。テイル、頑張るんだぞ。」


「私も十分戦えるのよ!いつか魔王を討伐してみせるわ!」


 ん?魔王?大丈夫だ。俺は何も聞いてない。

 ムーディさん、ヘイルさん、ルイルが見送りに来てくれている。アイリスさんは昨日のパーティーで呑み過ぎたせいか、まだ眠っている。ちなみに今は19時だ。


「それじゃ、行ってきまーす!」


「テイ姉もハル兄も気をつけてですー!」


「ああ!ルイルも、魔法の練習頑張れよー!」



 そうして俺達はロンド家の屋敷を後にした。自然な流れでシータ領に向かって歩いているが・・・


「テイル、これからどうするんだ?」


「もちろん家には帰るわ。でもその前に私、昔からやりたかった、というか、やらなきゃいけないと思ってた事があるの。」


「うん。」


「少し危険だと思うし、ハルカに手伝ってもらう事になると思うんだけど、私に付き合ってくれる?」


「勿論良いぞ。で、それは何処で何をするんだ?」


「場所は王都。内容は、裏社会の取り締まりよ。」


 うわぁ・・・また変な事言い出したよ。裏社会!?でも手伝うって言っちゃったしなぁ・・・


 王都はシータ領の北西、ロンド領からゼイス山脈を挟んだ西側だ。俺は最初ピルネに行くものだと思っていたので南寄りに歩いていたが、王都に行くなら北側だ。ゼイス山脈を越えていくのが早い。



「ここがゼイス山脈・・・強い魔物が多いから、入っちゃいけないって言われてたのよね。」


「まぁ大丈夫だろ。前で止まってても何も起きないぞ。さっさと入って、さっさと抜けよう。」


 山を一つ越えるのだ。それなりの時間が掛かるだろう。方角だけでもしっかりしていれば、遭難することは無い。どこぞの森にあったような惑香花(ヨワシミ)とかいう花が無ければ大丈夫だろう。


 山の中は人が通るように作られておらず、自然のままだ。木の根を伝い、岩を登って行く。水分補給も忘れずにする。


―――っ!

―――来る。


「ハルカ!」


「分かってる。―――閃雷(ライトニング)!」



バチバチッ

    どさっ どさっ


「流石ね。どうやったらそんなに正確な位置に撃てるの?」


「う〜ん・・・感覚?」


「感覚って・・・」


 落ちてきたのは白く長い毛で体中が覆われている、アイツだ。しかも二匹。木の上を伝って襲いに来たらしかった。


「できるだけ早く王都に着きたいから、このパウパティの解体はまた今度にしましょう。」


「分かった。」


 無限収納(スナフ)にしまって、と。そういえば未解体の魔物を大量に持っている事を忘れていた。無限収納(スナフ)内は時の流れが止まっているとはいえ、いつかやらなければ。


「テイル、この山ってどれくらいで越えられるんだ?」


「急いで10時間ぐらいかしらね。昼過ぎには王都に着けるわ。」


「じゃあ昼ごはんは携帯食か?」


「そう、なるわね。まだ残ってる?」


「えっと───あ、一粒しか残ってない・・・」


「じゃあハルカのお昼ご飯は山の中で調達するしか無いわね。」


「・・・え?」


 何故かテイルが携帯食を食べる事になっているが、まあ良いか。山の中なら何かしら食べ物はあるだろう。


「それにしても、全く道の無い山道は、全く未知の無い山道より面白くて良い。・・・今俺上手い事言ったんじゃないか?」


「ハルカ。」


「何でしょう。」


「うるさい。」


「・・・はい。」


 とかいうやり取りもあったが、山を進みつつ俺の食料を探す。キノコや食べられそうな山菜は見つかったが、肉がない。いや、魔物は出てくるのだが、パウパティやイゼンポッドが中心なのだ。イゼンポッドは忘れかけていたほどに影の薄い奴だったが、テイルと二人になってアイツの厭らしさを沢山味わった。あの爆発するムカデ、食えないうえに素材もないのだ。

 空が見え、頂上と思われる所にも辿り着いた。今は下山中だ。


───!何か近づいてくる!


「テイル!横に避けろ!」


「わ、分かった!」


 何かが大量に物凄いスピードで山を下って来る。両手を山頂に向けて、その()()が見えるのを待つ。───見えた!・・・イノシシか?いや、大き過ぎるイノシシだ。それも25匹近くいる。木々をなぎ倒して走っており、どこまでも走っていく様な印象を受けた。そういえば登っているときに植物の無い道の様な場所があったけど、こいつらか。


射氷(アイスバレット)ぉぉ!!」


 魔力を多く使えばその分多く氷柱を作る事が出来る。20匹ぐらいは仕留められただろうか、串刺しになっている。それでもまだ近づいてくる。剣を抜き、一匹に照準を合わせる!


超攻撃(スーパーアタック)!」


ざしゅっ


 一匹切り裂いたら、振り切った剣先を微調整して・・・

閃雷(ライトニング)!」


 反対に体を捻りながらっ!もう一匹!


ざくっ


と、その時にはもう目の前にイノシシの牙!?不味い!避けn・・

遠方移動(チェイラート)!」


 イノシシがどこかに引かれていった。テイルの方を見ると、既に倒したのかイノシシが一匹倒れており、さらにもう一匹倒している最中だった。

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