表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/430

57.しらみつぶし

花粉、これで飛んでる量が予定より少ないなんてひどすぎません?

「おっと、ここで行き止まりだ。」


 進んできた道の先は塞がっていた。幅も一人通るのがやっとぐらいに狭くなって来ていたので、そろそろ閉じそうだとは思っていたが。

 ここまで入り口からはだいぶ進んだと思う。後は、まだ行ってない分かれ道の方も確認してゴブリンを討伐しなければいけない。


「テイル、そっち向きに進んでくれ。」


「分かったわ。一個前の分かれ道までよね?」


「そうだ。そこまで行けば、入れ替われる。」



―――つ!


 テイルを前にして進み始めてから直ぐ、前の方から何かが向かってくる魔力の流れを感じ取った。


「テイル!」


「ん?どうしt・・。いいえ。私も気付いたわ。」


 テイルは腰に付けていた流輝鞭(ルシ・ウィップ)を取り出し、構える。道が狭くて援護に行けないが、少し高さのある場所だったので、掌から使っていた灯光(ライト)無限収納(スナフ)から取り出した剣先に移し、剣先を上にあげる。


「ルイル、危なくなったら援護をお願い!ハルカ!ホブゴブリンよ!」


「分かったです。」


「テイル!気をつけろよ!」


 ホブゴブリンは剣の様な物を持っている。振り上げて・・・

「やっ!」


ピシィッ


 振り下ろされている途中の剣を、勢いの付いた鞭が弾く。


射氷(アイスバレット)!」


───GYIIA!


 左腕と左肩、右目に氷が刺さった。


「おりゃっ!」


 腕を思いっきり振り、ホブゴブリンを鞭で捕まえる。そのまま、一気に引いて叩きつける!


───GGYA!


 バチッ

      べチッ

           パチッ

   バキッ



「ふぅ、これくらい叩けばちゃんとダメージが入っているでしょ。」


「多分大丈夫だと思うです。」


 叩きつけたままの流れで何度も鞭で急所を叩いた。ピクリとも動かないので恐らく倒しただろう。


「じゃあハルカ、後は頼んだわね。」


 そう言ってテイルはホブゴブリンの死体を跨いでいった。ルイルも、血は流れていないとは言えど死体を前にして整然と通過していく姿には、どこか調子を狂わされる。



 その後は幾つかの分かれ道を虱潰(しらみつぶ)しに確認していき、残りのゴブリンを倒して行った。一つ炎がたまたま行かなかったのか、10匹ほどゴブリンが居る部屋や、マジックゴブリンが3匹通路を塞いだり、ナイトゴブリンに挟みこまれたりした場所があった。


「ここと、あっちがまだ行ってない通路よ。」


「ここは入口から考えて最奥です。最上位個体が居るとしたらこの奥だと思うです。」


「じゃあ気をつけながら行くか。後ろも気にしてろよ?」


「任せて!」


 その通路は人はぎりぎり二人入るぐらいの幅で、一本道だ。あまり地面や壁に凸凹が無く、曲がり角もほとんど無い、洞窟としては異様な場所に感じる。


 一本道をひたすらに進んだ後、少し開けた場所に出た。そこで俺達はあり得ないものを見る事になる。───え?勿体ぶるなって?分かった。では教えよう。

 そこには、扉があった。2mもうちょっとあり、横幅も人間が通るには少し広めだ。両開きで、材質は石でできているが、金属で綺麗めに装飾が施されている。


「扉だ。」


「扉ね。」


「扉です。」


 今までは部屋の様になっていたところも扉は無かった。もし木製だったとしたら炎で焼けた、と言う事も考えられるが、洞窟の形そのままに通路の横に入口より広い空間が広がっているだけだった。ただここは、明らかに洞窟が扉に合うように加工されている。でなければこんなにピッタリと扉がはまる筈が無い。


「開けるぞ。二人とも、気を引き締めろ。」


 俺は扉に手をかけて、両側を同時に押す。石の扉は重く、地面を少しこすりながら動いていく。



がち、ぎぎggががが・・・



───っ!

絶断壁(プロティシーマ)!」


 開けている途中にその僅かな隙間を狙って双閃雷(ツインライトニング)が放たれた。まさかゴブリンが上位魔法を使ってくるとは・・・防御壁(プロティーガ)だったら後ろに回られてテイルとルイルに致命傷が通っていただろう。それにしても凄い威力だ。


「ちょ、ちょっと!開けた瞬間に魔法放ってくるの!?卑怯じゃない!」


 いや、テイル。そんなこと言ったって、ねぇ・・・?扉の中には今の魔法を放ったと思われるマジックゴブリン一匹。その後ろにナイトゴブリンが一匹。ナイトゴブリンに護られる様にして椅子の様なものに座りながら、ひじ置きでほおづえをついてこっちを見ている奴が一匹。あいつは扱われ方と居る場所、態度と体の大きさ、魔力の多さ、そして放っているプレッシャー。ゴブリンロードだろう。キングかクイーンという可能性もあるが、キングとクイーンは常に一緒に居るので、ロードだと判断した。


「テイル、ルイル。」


「ええ。ロードね。」


「ハル兄、ロードは頼んだです。テイ姉、ナイトゴブリンはテイ姉の担当になるです。ルイは魔法対決です。」


「テイルはまだしも、ルイルは危なくないか?一匹ずつ倒して行った方が・・・」


「ハル兄はルイの事をみくびりすぎです!まぁ任せてくださいです。」


 幸いにもこの部屋は広い。3ヵ所で戦闘が起こっても十分な広さがある。ルイルの流れ弾がテイルに当たらない事を祈るばかりだ。

感想、誤字報告、ブクマ登録、高評価、お願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ