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56.ゴブリンの巣穴

誤字報告ありがとうございました!

今後もよろしくお願いします。

 ゴブリンはEランクの魔物だ。ただ、群れの中には他とは違う特色を持った強い個体が生まれる事がある。そういった強者はDランク相当であり、群れの中で高位に付く。種類として、能力が底上げされたホブゴブリン、耐久力が発達したナイトゴブリン、魔力が発達したマジックゴブリンがいる。さらに、ゴブリンキング、ゴブリンクイーン、ゴブリンロードといった、更なる上位個体が居る可能性もあるらしい。これらの個体はCランク相当にすらなる。

 ゴブリンは非常に頭が良く、石や金属、木などをを加工して武器を作ったり、罠を作ったりする。上位個体が低位個体を統べ、群れによっては法の様なものも存在するという研究結果がある。


「二人とも止まって。巣穴の近くまで来たと思う。」


 俺は小さな声で後ろに向けて言いながら、獣道から少し外れた草の間からそっと奥を覗いてみた。


 その奥は少し開けていて、さらに洞窟がある。そして、洞窟の入り口の側には緑色の二足歩行をしている魔物がいる。その姿はまるで見張りだ。


「巣穴は見つかったけど、入り口にゴブリンが2匹居る。たぶん見張りだ。」


「見張りです?なら、かなり大きな群れの可能性があるです。」


「巣穴の入り口の大きさはどれくらいなの?」


「結構でかい洞窟だぞ。入り口は俺の2、3倍の高さはあると思う。」


「こんな近くにそんな物があるなんて、知らなかったわ。ここら辺は山奥過ぎて、山菜や薬草の採集に来る事もないから、あまり調べられていなかったのよ。」


 まぁ今はどう攻略するかだ。まだ畑や家畜だが、最悪子供が連れ去られたり、数匹に囲まれれば、村の大人でもあっさりと殺されてしまうだろう。そういった被害が出る前に、ここのゴブリンは全滅させる必要がある。

 ただ、洞窟の中は入り組んでいる可能性が高い。相手が普段生活している環境に突っ込んで行くのは、あまり得策ではない。


「ハル兄、一発どーん!と大きい魔法を入れてしまうのはどうです?」


「その後に突撃するのね?」


「ハル兄、ルイ、テイ姉の順番で入っていけば、前は進めて、後ろからの襲撃も何とかなるです。」


「まあ相手の情報が無い状態で考えてても仕方ないしな。それでいくか。―――俺が魔法使っても良いけど、ルイルやらないか?」


「ルイです?ルイは後での援護のために残しておきたいです・・・」 


「そうか?じゃあやるか。さっき覚えた炎の殲滅魔法でも使ってみよう。」



 俺はそっと開けた場所に出る。入り口のゴブリン達は談笑していて俺に気付いていない。


 炎の殲滅魔法、爆燃翼飛獄フェニック・ディ・ディアスを使うには、上位魔法炎獄(ヘルフレイム)を使えば良いだけだ。

 魔力の動かし方は、真ん中から八方向に分かれて、曲げて上、下、反時計回りに広がって、渦。

「地獄の灯火よ、全てを飲み込み灰と成せ!」


 俺の剣先から放たれた殲滅魔法は、洞窟の中に入り込んでいった。これで幾らか倒せただろう。勿論見張りの2匹も焼け死んだ。素材云々では無く、灰すら残っていない。まぁこの近さで放たれたら流石に無理があるな。


「二人とも、もう出てきていいぞ。」


「ハル兄・・・やっぱり凄いです・・・」


「やったわねハルカ!ほら、魔銅板見てみなさい。既にゴブリン53、ホブゴブリン12、マジックゴブリン8、ナイトゴブリン17を討伐しているわ!」


 それは嬉しい。というか、それでも全部じゃないのだろう。結構大きめの群れのようだ。


「じゃあ中に入るぞ。」


 ゴブリンとの戦闘は基本剣を使えばいいだろう。最上位種以外の攻撃を防ぐときは、防御壁(プロティーガ)で十分だろう。



 洞窟の中は、まだ炎の熱が少し残っている。中は暗く、ずっと灯光(ライト)を使っている。入り口付近は一本道だったが、途中から分かれ道や横への道があったりした。テイルが地図を描いてくれているので、帰りに迷う事はない。どんどん進んでいく。


―――何か来る!


防御壁(プロティーガ)!」


 飛んできたのは射氷(アイスバレット)だった。俺はチート能力のお陰で、一度喰らったことのある射氷(アイスバレット)は効かないが、後ろ二人、特にルイルは護ってやらなければいけない。


「マジックゴブリンか?」


 光の当たる場所まで出てきたのは、普通のゴブリンより一回り大きく、魔力量が多い個体だ。面倒くさい。一気にケリをつけよう。


「テイル!ルイルを頼む!」


 俺は地面を蹴って一気に近づく。無限収納(スナフ)から剣を一瞬で取り出して、下から上に振り上げる。



ぶぅん



 マジックゴブリンとの間に紫色の壁が出来た。どうやらこいつは防御壁(プロティーガ)も使えるようだ。だが、俺には関係ない!



パリン


ざしゅっ



 切り口から血が吹き出し、内臓が見える。目は朦朧とし、倒れ込んだ。―――あ!やべ!子供の前だった!

 急いで死体をそのまま無限収納(スナフ)に仕舞い込んで後ろを向くと・・・ナイステイル!ちゃんとルイルの目を隠してくれていた。良かった。


「ハルカ、何だか凄い強くなってない?動きが前と全然違うもの。」


「まあ俺も色んな魔物と戦ったしな。」


「次にゴブリンが出てきたら私にやらせて?」


「別に良いけど・・・キングとかクイーンとかロードは駄目だからな?」


「分かってるわよ。私が勝てるのはその一個下のレベルまでよ。」


 その後も順調に進んでいった。あんまり出てこないうえに、最初の殲滅魔法で死んだ奴は何も残っていないので、単に洞窟探検をしているだけになってきた。まぁそっちの方が安全で良いんだけど。

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