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54.実戦

睡眠は必須条件である。○か✕か。

絶断壁(プロティシーマ)!」


 俺の視界が紫色に染まる。どうやら成功したらしい。


「テイル、何か魔法を撃ってくれ。」


「いくわよ。塊炎(ファイアボール)!」



ばぁん



 炎の球は紫色の壁に阻まれて消えた。しかも、熱が伝わってこない。よし、これ明日も使えるな。ただ、使用する魔力量から考えて、他の魔法を使わなくても14回しか使えないな。


「そうだテイル。魔力探知(ディテクション)の感じる精度を高めたいんだけど、どうすれば良いと思う?」


「そうね・・・目隠しと耳栓でもしながら戦えば?」


「誰と?テイルが相手になってくれるのか?」


「私でも良いけど、もっと強い人がこの屋敷には居るわよ。」


 そういってテイルはその強い人とやらを呼びに行った。今すぐここで模擬戦でも開くつもりなのか?



 少しすると戻ってきた。横には執事服を着たお爺さん、スミさんがいる。手には目隠しと耳栓まで持っている。


「さあハルカ!やるわよ!」


「ハルカ様。このような老骨で宜しければ、お相手させて頂きます。」


「あー・・・じゃあ、お願いします。スミさん。」


「ルイル、ハルカの戦い、見てみなさい!」


「ハル兄がスミさんと戦うです?見るです!見るです!」


 ルイルはテイルの横で一緒に観るらしい。これは冒険者として負けられないな。テイルによると、スミさんはテイルより強いらしいが、老体を木刀で叩くというのは何ともしがたいものだが・・・。


 魔法部屋で俺とスミさんは向き合って武器を構える。俺は普段使ってる剣と同じ様に魔法適性のある木刀を借りた。

スミさん達使用人は、門番などが突破された時の為に戦うことができるらしい。普段はナイフを使っているらしいが、今回は木製だ。

 俺は目隠しと耳栓をしている。


「では、始め!」


 そもそも始めの合図も聴こえないのだが、どうすれば良いのだろうか。魔力探知(ディテクション)に全神経を集中させる。



「行かせていただきますぞ!」


ひゅっ


―――っ!


 何とか避ける事ができた。まさか投げナイフとは思っていなかった。その為に大量に服の内側に入れていたのか。


ひゅん!ひゅっ!


 次々に飛んでくるナイフが起こす魔力の流れを感じ取って避けていく。ただ凄いスピードで投げてくるので、本気で避けないと直ぐに当たってしまいそうだ。―――そろそろ反撃に転じよう。

スミさんは強いので、その分MPも高い。すぐに場所が分かる。狙いをスミさんに合わせて・・・


塊炎(ファイアボール)


       ぱちっ

 ごぉぉぉ 

        ぱちっ


「上位魔法を使って戦うです!?」


 巨大な火柱がスミさんが()()()()()に建っている。


―――っ!後ろ!


すかっ


「ほぉ、今のを避けますか。流石ですな。」


「私には見えなかったわ。」

「ルイも見えなかったです・・・」 


―――もう後ろに回られてる!?―――くっ・・・耳をかすった。


「テイル、ルイル、気をつけろよ!塊水(ウォーターボール)!」


 洪水に巻き込まれて隙が出来れば・・・!


「悪い手では無いですが、私には通じませんよ。」


 どうやら洪水の中でもスミさんは立ち続けられているみたいだ。


―――また後ろに回り込んでいるな・・・飛んできた!


しゅっ


―――もう一本!

絶断壁(プロティシーマ)!」


「ハル兄、凄いです・・・ルイもまだまだです・・・」


 さっきからちょくちょく外野がうるさい。まぁ良いだろう。さて、スミさんを倒すには、直接木刀で叩きに行くしかなさそうだ。


「スミさん!叩いてしまっても大丈夫ですか!?」


「問題ないですよ。私は当てられませんからね。」


 あ、耳栓していて返答が分からない・・・いや、手で○を作ってくれているのか?魔力の高い部分は今まで結構ボヤけていたが、鮮明に見えるようになった気がする。よし、では本気を出すとしよう。膝を落として、地面を蹴る!一気にスミさんまで近づく!―――・・・目の前だ。


超攻撃(スーパーアタック)!」



すかっ



―――え?避けられた?


 スミさんはどうやって避けt・・

背中を物凄い勢いで悪寒が走った。身体をひねる!



「ほぉ、良く気づきましたね。」


―――ぐっ・・・横腹が痛い・・・もし普通のナイフだったら横腹に突き刺さっているだろう。しかも身体をひねったうえでここに当たったということは、動いていなければ心臓部に当てられて試合終了だっただろう。


「スミさん、強いですね・・・少し、失礼しますよ!重力指定(パルジート)!」


「っ!」


 よし!潰れない程度に重力を強くして、床に押さえつけられた。スミさんは膝をついて、こちらを見ているだけで精一杯のようだ。


 俺は一気に間合いを詰めて、木刀を優しく首に当てる。


「お相手、ありがとうございました。」


 俺は目隠しと耳栓を外す。


「勝者、ハルカ!」

「勝者、ハル兄!」


 ルイルまで審判に加わっているのか。魔法を解いて、スミさんに手を貸す。


「やはりお強いですな。私も、まだまだ鍛練が足りないようですな。」


「いえ、スミさんは強いですよ。あのスピードは、全く目で追えませんでしたし。」


「ありがとうございます。こんなもので明日の練習になりましたでしょうか・・・?」


「明日・・・新しく覚えた魔法も試合の中で使えましたし、動きが速い相手との戦いにも少しは慣れたかと思います。ありがとうございました。」

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