52.ルイル・ロンド
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PC不調再び・・・
昼食はそのまま何も問題は起きずに終わった。ムーディさんもアイリスさんも俺を一人の客人として扱ってくれたし、テイルが暴れる事もなかった。ただ気になった事は食堂の机が異様に長細いということだ。両脇の2脚とだいたい30対60脚ぐらいの椅子がある。客人用と言っていたが、そんなに来る事があるのだろうか。
ムーディさんもルイルちゃんと話して欲しいと言っていたことだし、早速魔法部屋とやらにテイルと向かう。
「魔法部屋はこっちよ。ギルドの魔法練習用の部屋と同じ加工がされているわ。」
「なんでそんな物があるんだ?」
「多分、お客さんに付き添いで冒険者が来た時の為じゃないかしら?あとは、私達も簡単な魔法は練習するからね。冒険者じゃなくても、日常で使える魔法や簡単な攻撃魔法は覚えておくのが常識よ。」
「なるほどね。テイルも、そこで練習したのか?」
「ええ。あ、ここよ。」
他とは一味違う、赤味がかった扉がある。ドアノブに手を掛けて、扉を開く。と、同時に俺を炎でできた大蛇が襲い掛かる。
「ハルカ!だっ、大丈夫!?」
―――いや、大丈夫な訳無いだろ。熱い。顔が物凄く熱い。・・・熱いが、HPは削られないな。
俺は掌で炎を掻き消して、この魔法の発動主であろう、部屋の中でワタワタしている女の子に目を向ける。
「いやぁぁぁ!!だっ、大丈夫ですか!?す、直ぐに回復薬を・・・あぁ!持ってないです!ごめんなさいです!死なないでくださいです!」
「いや死なねえよ。」
「―――え?生きてるです?」
「大丈夫、無傷だ。気にするな。」
「よ、良かったです〜」
「ルイル?なんでこっちに魔法が飛んでくるのよ!私だったら死んでたわよ!」
なるほど、この子がルイルちゃんか。まだ無職者なんだろうが、物凄く膨大な量の魔力を感じる。
「あ、テイ姉。この方は誰です?」
「俺はハルカ。よろしくな、ルイルちゃん。」
「あ、ルイル・ロンドです。よろしくです。あと、ルイの事はルイル、と呼んで下さいです。」
こちらも超絶美少女。そして綺麗なブロンドヘアだが、テイルやヘイルさんに比べてさらに白っぽい。身長は小さい方だろう。ただ、物凄い量の魔力を感じる。というか一人称『ルイ』とか、可愛すぎるだろ。・・・俺はロリコンでは無いからな?そこんとこ勘違いするなよ?
「ハル兄、なんでハル兄はルイの魔法を受けても無傷なんです?」
「ルイル、ハルカは凄く強い冒険者なのよ。」
「冒険者なのです!?」
ダッ!
うおぅ・・・凄い勢いで詰め寄られた。か、顔が近いですよルイルさん?それにしても輝かせた目をしているな。本当に冒険者が好きなんだな。なんだか嬉しい。
「まっ魔銅板!魔銅板見たいです!」
「魔銅板?別に良いけど・・・こんなもの見て楽しいか?」
「ハルカ、魔銅板は冒険者しか持っていないから、ルイルにとっては憧れなのよ。───そうだハルカ!私の進化したスキル、見てみてよ!」
「ん?あぁ、良いぞ。どう変化したんだ?」
「行くわよ・・・遠方移動!」
───っわおぅ!?横から引っ張られた感覚があった。実際2歩分ぐらい横に移動している。でも誰にも触られてないし・・・これがスキルか?
「これが私の進化したスキルよ。引き寄せるだけじゃなくて、少しの横移動もできるようになったの!」
「へー面白いな。」
「でしょでしょ?それと、他人の注意を引き付ける、集知波っていうのもあるけど・・・それは戦闘では使えないと思うわ。」
「ハル兄はどんなスキル使えるです?」
「俺か?ちょっと魔銅板確認させてくれ。増えているかもしれないから。───なんか、体温調節できるスキルが増えてるけど、まぁ野宿以外で使い道は無いな。後はこれ。無限収納って言って、別空間で物を保管できるんだ。」
そういって俺は剣を取りだしてみせる。
「凄いです!ルイもそのスキル欲しいです!」
「いや、あんまりお勧め、というか、このスキルを覚えられるようには成ってほしくないな・・・」
「どういう事です?」
「いや、俺【旅人】だからさ・・・。多分、ルイルの魔力量なら、【魔法使い】とかが当て嵌められると思うし、安心していいと思うけどな。」
ちょっとルイルが俯いちゃってるな・・・何でかはだいたい予想着くけど・・・
「でもハルカは強いじゃない。普通の【旅人】の比じゃ無いもの。ほら、殲滅魔法でも使って見せなさいよ。」
え?急に?室内で?無茶ぶりが激しいですよテイルさん?
「殲滅魔法が使える旅人なんて、存在するです?」
「・・・ああ。居るぞ。ここにな。」
「景気づけにドカーンとやっちゃって!」
「分かった。」
前に使った時の記憶と感覚を呼び起こす。魔力の動かし方は確か、まず左右の隅で上から下にジグザグ、で、それらが下の方で交わって二重螺旋を描きながらまた上へ、そこに星みたいな形で、ジグザグ、丸、ジグザグ、こっちいって、こんな感じだったかな?
「空を走り地を駆ける雷が与えし閃光よ。我の元より放たれよ!」
パチッ
ドォン! ピカッ!
! ガガガガガガ!
ピカッ! バリバリ・・・ !!!
「あー、こんな感じか?」
「うんうん良いよ!最高だよハルカ!」
テイルは喜んでるな。で、肝心のルイルは・・・口あけて茫然としてますね。はい。まあいきなりこんなもの見せられたらそうなるよな。衝撃とか大丈夫だっただろうか。
「ルイル?大丈夫か?」
「ほ、ほん、本当に・・・本当に殲滅魔法っ・・・っです・・・」
「ルイル、こんなもの、一生に一度見れるかも分からないわよ!ハルカも、ありがとう。」
「ハル、兄・・・凄いです・・・本当に凄いです・・・」
「ありがとう。でも、ルイルも練習すれば使える様になるさ。そんなに魔力を持って生まれてきたんだ。な?」
「そうです・・・ルイも、ルイももっと魔法の練習頑張るです!」
「ああ、その意気だ。」
笑顔が戻って良かった。美少女は笑顔が一番!それじゃ、俺も新しい魔法の練習をしたいな。
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