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51.ヘイル・ロンド

ルイルの年齢を変更しました。

「はじめまして。テイルの姉のヘイルです。あなたがハルカ君ね。」


 お、おぉ・・・4つ上っていうと結構お姉さん感があるな。テイルと同じブロンドヘアで、口元がそっくりだ。そして本当に美人だ。淡い紫色のドレスを着ているのが、また際立たせる。


「は、はじめまして。ハルカ・タチバナです。」


「話は聞いていr・・タチバナ?どこかの国の貴族の家系なの?」


「確かに、それは私も前から気になっていたわ。」


 テイルは俺が異世界から来たことは知っているが、姓の事とかは話してなかったな・・・どうしたものか・・・


「俺の地元は、平民も苗字を持っているんです。国が昔決めた方針で。」


「私は世界の事も勉強しているけれど、そんな国聞いたことないわよ?」


 やべぇ。ヘイルさんにこの話は通じなかったか。テイルは―――納得した顔しているな。俺が異世界人ということは、ヘイルさんには話さないほうがいいよな?どうしたものか・・・


「あー、基本は名乗らないんですけど、魂には刻まれて?いるんです。例えば、魔銅板―――ほら、これには書いてあります。」


「ふぅ〜ん・・・私もまだまだ勉強不足ね・・・ん?ちょっと待って。ハルカ君って【旅人】なの?」


「そうです。」


「明日は模擬戦って聞いているのだけれど・・・」


「そうですね。」


「勝てるの?」


「分かりません。」

「お姉ちゃん、ハルカは凄いのよ!明日見てみなさい!」


「わ、分かったわ。」


「―――ヘイルさんは、テイルが、妹が冒険者に成る事には反対ですか?」


 テイルの目が不安に染まる。ヘイルさんは少し考えてから、


「・・・そうね、私はお父さんやお母さん程反対では無いわ。ただ、テイルを任せられる仲間が居ないと、笑顔では送り出せないわね。」


「そうですよね・・・」


「私は、明日ハルカ君の模擬戦を見て、決めるわ。もしハルカ君が良い成績を残したのに、お父さんやお母さんが反対した時は、私に任せて頂戴。」


「ありがとうございます!」

「ありがとうお姉ちゃん!」



「そういえば、ハルカ君は相手が誰だか知っているの?」


「一人がニックだという事はテイルから聞きましたけど・・・」


「ニック?・・・あ、ニコラスさんの事ね。もう一人は、最近組んだニコラスさんのパーティーメンバーの女性よ。戦うところは見たことが無いけど、ニコラスさんのスピードに付いてきていたわ。」


 は?ニックのスピードに付いていける人?終わったわ、俺。というかヘイルさんはニックの事をニコラスさんって呼ぶのか。何だか優越感。


「ニックもやぁっとパーティーを組んだのね!アイツ、私が焚き付けてあげたからよ。私達も負けられないわよ、ハルカ!」


 テイルはやけに上から目線だ。戦うのは俺なのに、気楽なものだな。


「まあ、頑張ってね、ハルカ君。そうだ、魔法部屋にルイルが居るから、会いに行ってあげて。」


 ルイル、ルイル・・・あぁ、5つ下の妹の。12歳か、育ち盛りだな。というか魔法部屋なんて物があるのか。ギルドにあるようなやつかな?


「テイル、ルイルちゃんにも挨拶しに行きたいんだけど。」


「そうね、ルイルは冒険者が大好きだから、喜ぶと思うわ。」


 ヘイルさんは勉強をするために自分の部屋に、俺達は魔法部屋とやらに行こうと部屋をでたら、ちょうどスミさんが階段を登ってきた。


「あっ、お嬢様方、ハルカ様、お食事の準備が出来ております。」


 俺の分も用意されているのか。ムーディさんもアイリスさんも、本当に良い人達だ。感謝感謝、と。


「ありがとうスミ。じゃあまずはお昼ごはんね。その後にルイルの所に行ってあげて?」


「え、ルイルちゃんは?来ないんですか?」


「多分あの子は魔法部屋に篭ったままだと思うわ。ホントに、しょうがない子よ。」


 そうなのか。しょうがないと言いつつ優しい笑みを浮かべるヘイルさんは、本当に良いお姉さんだと思う。・・・ルイルちゃんはテイルを見て育ったせいでテイルに似てしまったのだろう。可哀想に。



 食堂には既にアイリスさんが居た。日本で言われるメイド服と全く同じ物を着た二人が、次々に料理を運び込んでいる。


「アイリスさん、勝手に来たのに、何から何まですいません。ありがとうございます。」


「いいえ、気にしなくていいわ。今はお客様であり、娘のご友人なのだから。」


 アイリスさんもムーディさんも、本当に優しい人達だ。最初の様な緊張感も薄れてきて、俺も少しずつこの屋敷に慣れてきた。といっても、まだまだぎこちない部分があるが。


 少しすると、ムーディさんが来た。食堂に待機しているのは若い方の執事───名前はグリルと言うらしい。


「グリル、ルイルは来ないのか?」


「はい。ルイルお嬢様には何度も申し上げたのですが、『しつこい!あっち行け!』と言われてしまいましたので、執事という立場ゆえ、引き下がるしかありませんでした。しかし、お嬢様も自立心が芽生え始めるお年頃でございます。どうか、このまま・・・」


「ふぅ・・・本当に困った子だ。このままではテイルの様に屋敷を飛び出して冒険者になってしまう。」


「良いじゃないのお父さん。冒険者の何が悪いのよ。」


「冒険者は悪くない。貴族の家系ゆえだ。それに、冒険者は危険すぎる。」


「そんなの関係無いわよ!私は私のやりたい事をするの!」


「二人ともうるさいわよ。落ち着いて。お客さんが居るんだから・・・」


「あ、あぁ、すまないヘイル。」

「ごめんなさい。」


 俺はあまり気にしていないのだが、まあいいや。ムーディさんを説得するには、まず明日の模擬戦に勝ってからだ。色々対策をしないといけないな。

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