50.雑談
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テイルに連れられて、俺はテイルの部屋に来ている。2階にあり、階段を上がってすぐ左の部屋の右隣だ。左にあるのが姉、右は妹と言っていた。三人姉妹らしい。
部屋は凄く広く、豪華な装飾の付いた大きなベッド、大きな本棚、綺麗な白のテーブルと椅子。簡単なキッチンも付いている。それでもまだスペースが余る程だ。
テイルに言われて椅子に座って待っていると、紅茶を出してくれた。俺達はテーブルを挟んで久しぶりにゆっくり話す。
「来てくれて本当にありがとう、ハルカ。本当に、本当にッ・・・ひぐッ・・・」
「わ、分かった、分かったから泣くなって。な?」
「だって・・・嫌だったッから・・・ッ怖かったからぁ・・・」
「とにかく、会えて良かったよ。あとは、二人を説得して、テイルが冒険者を続けられるようにするだけだ。」
「うん、ありがとう。私ひとりじゃ、言いなりに成るしかなかったから・・・」
「でもさ、あの二人は親としてテイルが傷つくのが嫌なんだよ。そこは、理解しているか?」
「・・・うん。」
「じゃあ大丈夫だ。あとは俺に任せろ。」
「うん!───そういえば、ハルカはお父さんが信頼している冒険者の人達と戦うんだよね?」
「あー、そうだな。」
「二人のうち、一人は誰か分かるよ。シィ砂漠を渡る時に護衛をしてもらっていたの。」
「俺も知っている人か?」
「ええ。・・・ニックよ。」
おいおい嘘だろ・・・ニックは駄目だって。前回は魔力探知使われなかったから勝てたけど、もう無理ゲーだろ。そういえばレオムストロフに俺が襲われた時、依頼の帰りとか言ってたな。・・・移動速度速すぎないか?
「まぁ、ハルカなら何とかなるわよ。それより!私が何もしていない間に増えていった、経験値とレベルとスキルと魔物討伐数は何なの!?特に魔物よ!頭おかしいんじゃないの!?」
「いいや、俺はまともだ!ギルドが高ランクの魔物が居る所に低ランクの依頼を設定するのが悪いんだ!」
「あとさ!私のランクアップは保留にしてもらって、って書いてあったわよね!?」
「それは支部長が勝手に一瞬でやったんだよ!それと!よく平仮名書けたな!」
「ハルカが作った対応表を見ながら書いたからよ!今ここに持ってきてるわ!」
「何で持って来るんだよ!別に勉強してはいなかったけど!」
「勉強はしなさいよ!───はぁ、はぁ。」
「はぁ、はぁ、はぁ・・・何で俺達は叫んでいるんだ?」
「知らないわよ、そんな事。・・・ふふっ、何かハルカと居るって感じがするわ。」
「俺もだ。凄く楽しい。」
「よし、それじゃあ、何があったのか色々教えてよ?」
それから俺はここ5日間の話をした。勿論、俺が死にかけたことも。あの時、テイルも胸が締め付けられるような感覚がして深夜に起きてしまったらしい。悪い事をした。
ちなみに、砂漠を渡る時は決まってニックを呼ぶらしい。ニックが使う魔法で馬車を浮かし、馬車が風の抵抗を受けないように魔法をかけたら、ニックが走って横断するらしい。そのお陰で、フェルミで一泊した次の日にはここに着いて、さすがに驚きを隠せなかったとかなんとか。
話も一段落したところで、部屋に扉を叩く音が響いた。
「お嬢様、ハルカ様、今、よろしいでしょうか。」
「良いわよ。」
「失礼いたします。───ハルカ様、模擬戦は明日の午後となります。ご主人様より、本日は当屋敷にてお泊りくださいとの事です。もし宿の方がよろしければ、予約させて頂きますが、いかがいたしましょう?」
「では、ムーディさんのご厚意に甘えさせてもらいます。ありがとうございます。」
「いえいえ。では、お部屋のご案内を・・・」
「あ、はい。」
そして俺は老年の執事───スミさんに連れられて、俺が今晩泊めてもらう部屋に案内された。といっても、テイルの部屋の2つ右。つまり、ロンド家三姉妹の右隣だ。中はテイルの部屋と比べると少し狭いが、大きめのホテルぐらいある。ベッドと棚、テーブル、椅子があり、居心地よさそうだ。
その後はまたテイルの部屋に戻って、色々話した。
テイルには男兄弟はおらず、姉のヘイル、妹のルイルが居る。ヘイルは4つ上でロンド家の跡継ぎとなることが決まっており、日々勉強に明け暮れている。ルイルは5つ下で、こちらも貴族としての振る舞いを勉強しているが、テイルが昔冒険者に魔物から助けてもらった時に一緒に居たようで、冒険者にも、冒険者となるために家を飛び出したテイルにも憧れている。
ロンド家の領地に住む農民たちは恵まれており、農具は勿論、服や食べ物が足りないと判断された場合、屋敷からの施しがあるという。やはりあの二人は優しい人達なのだ。屋敷には執事が二人とメイドが二人、衛兵が三人居て、メイド二人は料理や掃除などの担当をし、衛兵は正門と裏門、休憩を三人で交代しながら受け持っているという。
ここは結構田舎で、買い物はピルネから定期的にやって来る商人から買うか、ピルネまで行かないといけないらしい。山脈を越えればピルネより近くに王都があるが、そこには高ランクの魔物がうじゃうじゃ居るので、農民は通れないらしい。テイル曰く、『ハルカと私なら余裕』。
まぁそんな感じで色々話していると、部屋の外から声が聞こえてきた。
「テイル?入っていいかしら?」
「あ、お姉ちゃん!入っていいわよ。」
どうやらヘイルさんが来たらしい。
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