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47.再会

砂漠と言ったらサソリですね。

 サソリ―――スカラピアを倒した俺は、水分補給と昼食の後、方向を確認して歩いていた。日は地平線に差し掛かり、このままだと直ぐに寒くなってくる。と、そのとき、遠くに何か横長の物が見えた気がした。


暗視(ノクター)発動!───うぅっ・・・まだ少し眩しいな・・・」


 眩しいが、見られないほどじゃない。少し細目にして光を抑えつつ見てみると、ここからの距離を考えるとだいぶ高く作られた、夕陽に赤く色付けされた白色の壁が見える。ついにグルシュ王国の入り口が見えた。

 そこからの俺は早かった。今まではゴールが見えずにただ砂漠を歩き続けていただけだったが、ゴールが見えるとやる気と活気が出るものだ。



──────────────────



 ついに辿り着いた。壁は綺麗に白く塗られており、高さは約6mといったところか。魔物避けなのか戦争避けなのかは知らないが、フェルミから出るときは検問はあれども壁は無かった。壁の一部に検問の様な場所があり、そこから入るらしい。俺の前に馬車が一台居たが、こんな時間から出る人などいる筈もなく、直ぐに順番が回ってきた。



「こんにちは。身分証はお持ちですか?」


「冒険者ギルドのでも良いですか?」


「勿論です。───はい、御預かりいたします。」


 ちょっと覗いてみると、トレーの様な形をした魔道具だろうか。その上に魔銅板を乗せると、魔銅板から青い帯状の文字が空中に広がっていく。それを確認しているのだろうか、おそらく表示に魔法が掛ってないかとか調べているのだろう。しばらくすると、トレーから魔銅板を取って返された。


「ハルカ・タチバナさんの入国を許可します。ようこそ、グルシュ王国へ!───そういえば、馬車とか護衛の方も確認しないといけないのですが・・・」


「いや、無いですよ。」


「つまらない冗談は辞めてください。規定なんです。」


「いや本当に無いですって。一人で来たので。」


 そのあとギルドに連絡されて色々あったが、40時ぐらいには何とか入る事が出来た。夜はギルドで泊まることにした。空き部屋があって良かった。

 俺が最初に着いた街はピルネと言うらしい。グルシュ王国では国の直轄地に大都市が形成され、それ以外の土地はそれぞれの貴族が所有しており、国の面積も広い。つまり、ロンド家の土地が分かれば、あとはその近辺で領主の家を探すだけだ。

 そういえばこの世界は貴族云々といった類の話のある世界らしい。つまり、苗字持ちは貴族の家系というわけだ。日本から来たままの感覚で、今俺苗字あることになってるけど、どうしようか。大変だ。実際、アルバルト支部長やソフィアさんやリリーは名前しか聞かなかったし、豪邸に住んでいたスーさんは苗字があった。まぁ今考える事じゃない。



──────────────────



───ぱちっ


 昔はよく寝坊していたが、こっちの世界に来て少し早く起きれるようになった。時刻は13時。最近携帯食ばかりだったので朝は食事処でちゃんとした料理が食べたい。

 部屋はいつものようなマンション式ではなくホテル形式で、なんだか旅行に来た気分だ。ギルドは一般客も受け入れられる態勢になっているのだから、凄いものだ。


 顔を洗い、服を着替えて、食事処に行く。チェックアウトは20時と言われているし、今日はゆっくりするつもりも無いので鍵を返しつつ食事処に行く。

久々の料理は凄く美味かった。ギルドの職員の人にロンド家の管轄地を教えてくれないかと頼んだところ、この街、ピルネから北東側に徒歩で半日はかかるらしい。地図を書いてもらい、すぐに出発する。



 途中何人かの冒険者がロンド領の手前、シータ領から魔物討伐依頼を受けて向かっていた。領内の整備は貴族の担当らしく、ギルドへの依頼の報酬はその土地の管理者が全額負担するらしい。貴族も楽じゃなさそうだ。


 シータ領を抜け、ロンド領に差し掛かったのが既に39時。この時間から行くのもどうかと思うが、周りには何も無い。とりあえず野宿確定だな。携帯食を食べ、寝ようとした時に、何で街でテントを買わなかったのかと後悔することになった。






───ハルカ



───ハルカ



───起きなさいハルカ!


『はい!起きました!』


『ここに着くまで結構かかったわね。そろそろ待ちくたびれるわよ。』


『そんなこと言われても・・・』


『確かに、最初は私もこんな事になるとは思っていなかったわ。でも、何ですぐ近くの馬車の中に居るのに気付かないの!?』


『あ、そうか、あの中に居たわけか。』


『そうよ!声が出せなかったから、私は必死にハルカの魂に呼び掛けていたのに、ハルカはずっとリリーって娘と話していたものね。』


『魂のつながりって・・・俺寝てる時にかろうじて感じるぐらいなんだけど。』


『手紙とかは!?ちゃんとあの手紙読んだ!?』


『あぁ、あれか?読んだぞ。確か、《大変だったかな?今日はお疲れ様。明日も帰れないかもしれません。ごめんね!凄い大変だと思うけど、明日も一人で依頼受けてもらっても良いかな?けど、私もできるだけ早く帰るから!私のランク昇格は保留にしてもらっておいて!》だよな?』


『やっぱり伝わって無かったのね・・・あれは、

大変だったかな?今日はお疲れ様。明日も帰れないかもしれません。ごめんね!

凄い大変だと思うけど、明日も一人で依頼受けてもらっても良いかな?

けど、私もできるだけ早く帰るから!私のランク昇格は保留にしてもらっておいて!

で最初の文字を縦読みするの!助けてって言ってるのよ!苗字とかも考えて、察しが良ければすぐ気付くでしょ!?』


『流石に無理があるだろ!』


『・・・まあ良いわ、来てくれたんだもの。ありがとう、ハルカ。』


『お、おう!明日テイルの家行くから!』


『分かった。私の家はここから北に10分位行けば見える筈よ。待ってるからね。』






───ぱちっ


 夢・・・か。夢の中で完全に会話が出来た。こんなに魂の繋がりが働いたのは初めてだ。携帯食食べて、水飲んで、直ぐに向かおう。

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