43.ナイト・オブ・イーストフォレスト
戦闘シーンの描写を上達させたい・・・アドバイスなどお願いします!
俺は灯光で明るくしながら、全力で東の森まで走った。パウパティに遭遇してもさっさと倒してしまえば良いので、森の中心を突っ切るルートで行く事にした。
パウパティを倒す時、本当は魔法を使いたいのだが、パウパティは死体放置不可魔物なので、回収しなければない。ちなみにクルモは死体放置可だ。なので俺は、剣で倒してそのまま触れて回収する事に決めた。
「着いた・・・待ってろよテイル!」
東の森の入り口に着いた俺は、そのまま止まることなく森の中へと入っていく。フェルミまでの最短ルートを通れば走って3時間ぐらいで抜けるだろう。
スライムやスライフをたまに見かけるが、無視して走り続ける。スレム大森林の奥地、すなわち中心部分はパウパティの生息域だと言っていたし、俺がここに来ると必ず出てくるので、パウパティとの戦闘を考えていたが、一切出てこない。
パウパティが出てこないに越したことは無いが、何だか不気味だ。
―――そろそろ真ん中ぐらいだろうか。ここまで一匹もパウパティに会わなかった。
空気は冷たく、澄んでいる。森の中は静かで、足音と呼吸の音だけが響いている。魔法で灯りは付いているが、足下と少し先しか見えない。どこまでも木々は続き、進んでいるのかすら分からない。
「うわっと!」
太めの木の根に引っ掛かって転んでしまった。ただ俺は、この木の根に感謝する事になる。
さっきまで俺の頭があった空間を巨大な爪が音も無く斬り裂いた。
―――っ!?何だ!?
木の根に引っ掛かっていなかったら、俺は殺されていただろう。音も無く近付き、魔力探知に気付かれることもなく襲撃してきたこの黒豹に。
闇に浮かぶスレンダーな影、光を反射して白く光る鋭い牙と爪、真っ直ぐこっちを見ている金色の目。そしてその大きさは2mを軽く超えるだろう。爪は俺の掌ほどの大きさがある。
―――クアァァァ!!
黒豹が鳴いた。―――増えた!?囲まれた!?・・・いや、幻影のような物か。魔力探知視点に切り替えてぐるっと見回すと、1体を除いて魔力が感じられない。つまりあれだけを追っていれば良い訳だ。どちらにしろ逃がしてくれる気は無さそうだ。
「灯光!」
俺は魔力を多めに使って強い光を作り、地面に固定する。
「塊水!」
囲まれた時はこれだ!・・・っと、全部空中に跳んで躱された。
―――クォァオォ!
ピカッピカッ・・・ドォン!
雷!?ギリギリで避けれたが、凄い破壊力だ。魔法なのかこの魔物が使える技なのか分からないが、魔力を使用していない場合は俺にダメージが入るだろう。不確定要素は避けた方が良い。
ではこちらも雷で。魔力の高い1体に照準を合わせて、
「閃雷!」
すかっ
当たらなかった!?あれは幻影だったって事か?魔力の高い奴が本物だと思ったが、頭が良いのかもしれない。厄介だな。
本体がどれなのかは分からないうえに、さっき流波を避けてジャンプしたまま、地面に着地せずに木の上を走り出した。俺の周りを物凄いスピードでグルグル回っている。俺は上に集中する。
―――クォァオォ!
ピカッピカッ・・・
また雷が来る!
「防御壁!」
ばちっバッ!・・・パリン!
駄目だ・・・こいつ、防御壁を破ってくる攻撃力を持っているのか。
「くそっ!閃雷!」
双閃雷の二重攻撃で手当たり次第に当てていく。この黒豹、幻影で隠れるくせに動きも素早い、さらに木の上を移動すると来たもんだ。しかも魔力を操作しているのか、本物の特定が出来ない。
ざしゅっ・・・
───何だ?横腹の辺りが熱い気がする。触ってみるとやっぱり熱い。何で、だ・・・
「ぐぁぁぁぁっっ!!───か、ぁっ───っ!」
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。焼けるように熱い。意識が朦朧とする。血が無くなっていくのを感じる。熱い、いや、寒い。足の力が抜けて倒れこんだ。
俺の右側の横腹は大きく抉られ、内臓が剥き出しになった。背中にも彫刻刀で彫ったような三本の抉った跡ができ、背骨や筋肉が剥き出しだ。血が一気に抜け、倒れ込んだ周りに赤い水溜りを作る。黒豹の爪にやられたのだ。移動による魔力の流れも、気配も完全に消して、上の方に夢中になっていた俺に近づいて一撃だ。───あぁ、俺はここで死ぬのか。生命を維持しようとする心臓のお陰で、どんどんと血液が無くなっていく。
「詠唱破棄!還刻限癒波!失せろ!聖燈威圧!」
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ん?ここは・・・俺は、どうなって・・・・・そうだ!黒い豹に襲われて、死んだ、のか?
目を開けても視界は暗い。鼻から吸う空気は冷たく、澄んでいる。首は、動く。手の感覚も、ある。考える事も出来る。
「おや、目が覚めたかな?」
人の声?いや、天界の神様か?
「タチバナ君?ハルカ・タチバナ君?自分の名前は分かるかい?頭は大丈夫かい?」
「言い方考えろぉ!」がばっ
「うん、大丈夫そうだね。安心したよ。」
体を起こして声の主の正体を見てみると・・・そこにはほとんど全裸のニックが居た。
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