41.馬小屋
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俺の魔物討伐数を見たギルドの受付の人が慌てて支部長を呼んだ。まあEランク冒険者から不意打ちであんなもの見せられたら驚くか。―――でも支部長呼ぶ程じゃない気が・・・
どたどたどた
重い足音を立てながら走ってきたのは、ここナシヤット支部長のアルバルトさんだ。
「タチバナ君!また君なのか!」
「いや、襲われたら戦いますよ普通。」
「普通のEランク冒険者は戦っても負けるからこうやって私が出てきたんでしょう!?」
「そう言われましても・・・」
「しかもグレイバスはCランクとは言え、危険度をBランクに上げるかどうかと度々議論されているような奴だぞ!?」
「でしょうね。強かったですもん。」
というかEランク冒険者をそんな危険な奴がいる所に送り込んで謝罪の一つもないのか。ゲイビル真峡谷にはCランク以上の冒険者しか行けないとかにした方がいいんじゃないか?
「まぁ、生きて帰って来てくれて何よりだ。依頼達成の報酬と、追加で補償金を出そう。」
「あ、ありがとうございます。」
「そういえば、約束の7つだが・・・もう今日は4日目、最終日だが、どれくらい進んだんだ?せいぜい5つぐらいが限界だっただろう?―――ランクは努力を積み重ねて上げていくものだ。焦る事はないさ。」
いったい何を言ってるんだろうかこの人は。ふざけないで欲しい。まあ後回しにして7つめの依頼を達成しに行こう。
「アルバルトさん、ホーセの世話の依頼は、何処に行けば良いんですか?」
「ん?ホーセの依頼を受けているのか?そうだったのか、丁度いい。ついでに、案内しよう。とりあえず、今回の報酬だ。」
俺は受け取った3600+8000=11600シェルを無限収納にしまって、アルバルトさんにホーセの所まで案内してもらった。ギルドで飼っていて、貸し出し用馬車やギルド内の荷物を引かせるらしい。
ホーセは、ギルドの建物の裏にある小屋と言うには大きい建物にいる。結構広くて、ざっと見た感じ50匹ぐらいは居そうだ。その後ろにはさらにホーセが走るための敷地がある。他の冒険者だろうか、ギルド職員の制服を着ていない人が3人ほどいる。ギルド職員2人の5人体制だ。ギルド職員の一人がこちらに来て、仕事の内容を教えてくれた。
内容は、食べる為の干し草を絶やさないようにする事と、魔力が溜まってきて暗いオーラが出ているやつを走らせて発散させる事、適度に毛並みを整えてやる事の3つだ。
ホーセは魔力を体力に変換することで長時間動く事ができ、魔力の回復速度も早い。ただ、魔力はどんどん増えていくので、適度に運動させて発散させないと、暴れだしてしまうという。一匹暴れだしたら全部が暴れだすと思っておいた方が良い、と言われた。
俺の担当は8匹がいる区画で、今のところ全員安定していそうだ。少し干し草が少なめの所に注ぎ足して、全体が見渡せる場所から見守っている。
これを1時間続けるだけなんて簡単な仕事だな。Eランクの魔物を討伐しに行ってB〜Cランクの魔物と戦う必要が無いんだもんな。
その時、一人の冒険者が時間を確認してギルドの職員と短く話してからギルドの方へ戻っていった。俺は何時間くらいやっていようか。38時ぐらいから始めたので3とか4時間ぐらいかな。
―――基本ボーッとしているが、10分に1匹ぐらいのペースで魔力が過剰に溜まるので、撫でて落ち着かせてから柵を開け、留め具を外し、裏の土地で走らせる。
ギルドで飼育されていて色んな冒険者が担当しているからか、ギルドのしつけがいいのか、ホーセは素直に従ってくれるし、近付くのを嫌がる事もない。
俺は暇だったので、担当のホーセ8匹に名前、というかニックネームを付けることにした。
まず、黒色で首のあたりだけ白く輪になっているツキノ。
ツキノよりもどのホーセよりも黒が濃く、毛並みが綺麗なヤミ。
真っ白だがアルビノではないらしい。アルビー。
茶色、白、黒が混ざっているミケ。
走るのがあまり上手くないスキップ。
俺に結構懐いていて、毛並みが少し荒いブラザー。
干し草をずっと食べ続けてるヨコヅナ。
逆にほとんど食べずにボーっとしているムート。
かなり個性的なメンツだな。こうやって眺めているだけでも面白い。
───「こちらです。」
───「ここかい?今夜のn僕のステージはっ?」
また違う冒険者が来たのか。・・・っと、俺の隣の区画だな。
「き、み、ここを担当しているのかい?」
うわっと、あっちから話しかけてきた。何かヤバい雰囲気するけど大丈夫かなぁ・・・
「そうですけど・・・」
「ここでのn仕事内容をこのっ!n僕に伝えさせてあげたまうぇっ!」
何だこいつ・・・噛んだし言っている意味も分からない。いや、伝えたい事は分かったけどさ?
「えっと、干し草を絶やさないように補充する事と、ホーセに魔力が溜まってきて黒いオーラが出てきたらあっちで運動させる事と、適度に毛並みを整えてやる事の3つです。ギルドの人に言われませんでしたか?」
「言われたよ!言われたとも!忘れたけどnねっ!」
はぁ、駄目な人だこの人・・・
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