39.発見
さて、今日も寝るか
まさかCランクの魔物なんて倒していない俺は、どんどんと降りてきていたが、道に霧がかかってきて視界が悪くなってきた。
「さて、ここまで目が浮いていることなんて無かったんだけど、どこに居るんだ?」
そうだ、魔物探しは魔力探知を使えばいいじゃないか。視界の悪くなってきた中で道の隅も分かる。踏み外して落ちたりしたら死んでしま、う、よな?
視界を切り替えてみると・・・?何も見えない?いや、全体的に魔力が多い、のか?どうなっているんだろうか。―――これだと普通に見てる方が視界が良いな。でも少し暗い。
「灯光!―――よし、これで良く見える・・って、う、うわぁぁあっ!」
俺は腰が抜けて地面にへたり込んだ。灯光を使って明るくしたら、急に目の前に目玉が二つあったらそりゃ誰でも驚くだろう。驚きというか、恐怖だ。
目が浮いてるってコレのことか!視界全体に魔力が高くて霧がかかってる、てことは、この霧がネブリア!?
え?吸ってるけど大丈夫なやつ?毒とかじゃないよね?
―――特に攻撃はしてこなさそうだ。目だけが浮いて動いている。目の動きに合わせて霧も少しずつ動いていると思う。つまり俺は今魔物の中にいるって事だ。中を通ってきているということは物理攻撃が効かないことを意味する。つまり・・・
「塊炎!」
俺の周りに炎ができると、一瞬でネブリアは消え、視界が急に良くなった。魔銅板を確認すると・・・うん、ネブリア討伐数が1になっている。今のがネブリアで、倒し方も間違っていなさそうだ。普通の霧も、気温が上がると空気が含める水分上限量が多くなるため消える。
そこからは早かった。どんどん進んでいき、霧がかかってきたら炎獄を撃つだけだ。簡単に倒せているからあまり感じないが、物理攻撃無効というものは意外に脅威だ。ニックの服も魔法耐性か魔法無効効果があったし、そもそもパウパティだって低位魔法無効だ。もし本当に魔王討伐とかするんだったら、今後こういった類の相手と戦わなければいけないかもしれないな。
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おっと、もう谷底か。ちょっと降りて来すぎたかな?討伐数は・・・11か。あまり居ないんだよなぁ・・・ん?今あっちの方で何か光ったか?洞窟の中?
近づいて覗いてみても何も無い。魔力探知視点に切り替えて見てみても、魔物の影は見えない。
───っ!!
「おらっ!」
すかっ・・
あれ?今後ろから魔物の気配を感じて剣を振ったんだけど・・・何にも当たらない。ネブリアが居る訳でもないし、今の何だったんd───っ!落ちる!?
ズザザザザザ・・
何だあいつ!巨大な蟻地獄みたいなところにはまった。いや、入れられた、といった方が正確だ。さっきまで俺が居た所は蟻地獄の中心、この罠の主がいる。見た目はアリジゴクと言うよりはタコだな。一瞬でこんなものを作るって、どんな風にやったんだよ!?
登ろうとすればそれだけ落ちていくので、俺はもがかずに剣先をタコに向ける。大口を開けつつもしかっりとこちらを見ている。良いだろう、その口の中に俺からのプレゼントだ!
「塊炎!」
よし!決まった!・・・ん?叫び声とか無いわけ?
ぶぅん
嘘だろ・・・タコが足を振ったら炎が消えてしまった・・・剣で戦うの!?あいつと!?いや無理でしょ!?───そうだ!一か八か!
「塊水!」
洪水を起こして砂を固める!───お、少し固まったか?今だ!
───ぴぃぃぃぃ!
ズザザザザザ
なんだこれ!?あいつが鳴いたらすぐに砂がサラサラになった!?あいつの特性か能力か。
これは剣で戦うしかなさそうだ。最初に頭を突くか・・・いや、決まらなかった時に危険だ。目を潰すか・・自分の知識をフル活用しろ!働け頭!昔覚えた何かを!───タコは真水に弱い。これだ!さっきは地面を固めるだけに留まったけど、あいつに向ければ!
「塊水!」
───pgopyiiiiiiph!!!
うるせぇぇ!あぁぁ!耳がおかしくなりそうだ。でも、効いていそうだな。・・・いや、効いてはいると思うけど、倒すまでは行かないか。やっぱりやるしかないか!
あっちから仕掛けてきた!足の一本が俺に向かってくる。
「超攻撃!」
ざしゅっ
よし!切り落とし、た・・再生!?もう足が元通りになっている。また来た!
「おらっ!」
ざしゅっ
切り落とせたけどあまり意味が無い。直ぐに再生した。足場も悪くて不安定だ。少しずつずり落ちて行ってはいるが、転んだら一気に落ちて行ってしまう。
───おっと、二本目、三本目が出てきたか・・・三本同時ねぇ・・・
「超攻撃!防御壁!っりゃっ!」
ふぅ、何とか凌いだ。やべ!もうこんなに落ちてきたのか!?直ぐそこに口がある。どうするどうする!?
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