36.アクアパッツァ
総合ポイント100、総PV数10000を突破しました!
いつも読んでくださっている皆さん、本当にありがとうございます!今後もよろしくお願いします!
さらに連載一カ月(31日目)をまわりました。時が経つのは早いですね。
リリーと俺はギルドへの帰途についている。
「ハルカはパーティーは組んでるの?」
「ん?ああ、組んでるよ。テイルっていう女の子とな。テイルも17歳だから、話が合うんじゃないか?」
「そっか、組んでるんだね、女の子と。その人は今日いないの?」
「そうなんだよ。何か知らないけど、用事があるっていう書き置きだけで、俺が起きた時には居なかったんだよね・・・いつの間に出てったのやらって感じ。」
「え・・・ど、同居?」
「同居っていうか、俺が居候させてもらってる感じかな。俺も自分の部屋を借りたいんだけどなぁ。」
「ふ〜ん、その人はいつ帰ってくるの?」
「多分今日いっぱいは帰ってこないと思うぞ。帰ってくるとしても深夜かな?」
「じゃあさ!今夜はうちに来n・・」
―――何か来る!俺が反応したのと同時にリリーも気が付いたみたいだ。
この動き、このスピード、東の森・・・あいつしか居ねぇ。
―――ギィエッキィィ!
―――ウェッキッウエッキィッ!
「お前らしつこいんだよぉぉぉぉぉ!!!」
いい加減にして欲しい。何回来るんだ?本日二回目で、しかも二匹か。うん、良い経験値稼ぎだな。
「またパウパティ!?さっきのお返しをしてあげましょうか・・・」
「リリー、震えてるぞ。大丈夫だって、ここは俺に任せて。」
俺はリリーの肩をポンと叩いて、前に出てリリーとパウパティの間に入る。
鞘から剣を抜いて戦闘態勢に入ると、パウパティも姿勢を低くして戦闘態勢に入った。もう今回は魔法解禁だ。速攻で潰そう。
「ハルカ!頑張って!」
「任せろ!射氷!」
ざくっ
二匹がいる場所に照準を合わせて撃った貫氷は、一匹には当たったが一匹には躱された。まあとりあえず一匹!
―――キィェェ!
跳んできたか・・・
「防御壁!」
ガキン!
そんな爪での攻撃じゃ、防御壁は突破できないぞ!次はこっちの番だ!
───エィキィッ!
こいつも魔法が使えるタイプか。まあ関係無いけど。
パリン!
ざしゅっ
───ギェェッェィイッ!
―――どたっ
ほい、二匹目。二匹共突き刺しているから体に穴が空いてそこから血が流れていく。―――あれ?こういう臭いに釣られて魔物が来たりしないよな?・・・なんか怖いから無限収納にしまうだけしまってさっさとここを離れよう。俺もテイルが使っている洗浄を覚えようかな。
・・・はぁ、さっきのってフラグ立てた事になっちゃったのかな。後ろからまた一匹近づいて来てる。どんだけ居るんだよ。
「す、凄いわねハルカ・・・一瞬でパウパティを二匹倒しちゃうなんて。」
俺達の所まで来て、跳んで、腕を振りおろす先にはリリーか。俺に話しかけてて気づいてないな。
「いや、三匹だよ。」
リリーに向かって振り下ろされた腕をまずは弾く。
「きゃぁっ!」
「リリーは影に隠れてて良いよ。」
おっと、次のターゲットは俺かな?木を使って凄い上まで跳んでいって・・・降りてきてる。爪で切るつもりか?それはそれは、ご苦労様でした。
「おりゃぁあ!」
ばきっ!───ぐしゃっ・・・
あんな高い所から落ちてきたから流石に衝撃が凄いな。剣で受け止めつつ斬れたけど、刃こぼれとかしなくて良かった。とりあえずこいつも無限収納に入れて、と。
「ほ、本当にハルカ、強いんだね。ちょっとまだ信じられてないわ。」
「まあな。俺もパウパティとの戦闘には慣れてる方だと自分で思ってる。」
「慣れてるって・・・ランク違うのに・・・」
「気にしない気にしない。」
「それと、なんで上位魔法が詠唱無しで撃てるわけ?そこが一番の疑問なの。」
「それについても俺も知らない。勝手に強化されちゃうんだよね、俺の魔法。」
「ふぅ~ん、もう理解するのは諦めるわ。・・・そうだ!さっき言いそびれちゃったけど、今日の夜うちに来ない?夜ご飯ご馳走するわよ。」
リリーの家か。どうせテイルもいないし夕飯は食事処で済まそうと思ってたけど、このお誘いに乗らない手は無いだろう。俺は二つ返事で誘いに応じた。
リリーの歩く速度に合わせていたので、森を出るまでに7時間かかった。それでも今の時間は39時過ぎだから、リリーの家に行っても明日の為に早めに寝る事は出来る。
リリーは一人でギルド内の貸し部屋に住んでいるらしく、なんと俺達の部屋の一個下の階の同じ場所だった。41時に行く、と約束して俺は依頼達成報告とスライムとスライフの素材売却、風呂に先に入って服を替えて、と。
ちなみに今日の報酬は20000+5600+118=25718シェルだ。
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コンコン
「はーい・・・あ、ハルカ!いらっしゃい。入って入って。」
「お、おじゃまします。」
「もう直ぐ夕飯出来るから、あそこの椅子に座って待っててね。」
「あ、ありがとう。本当にご馳走になっちゃって良いの?」
「良いの!ハルカが居なかったら、私もソフィアもパウパティに殺されてたかもしれないのよ?」
まあそうなんだけどね、とか言っちゃって。多分パウパティが出てきたの俺のせいな気がするから、逆に一回負傷させちゃってすいませんぐらいなんだが。
「そういえば、身体の調子は大丈夫なのか?傷は?」
「大丈夫。心配しないで。ソフィアの治癒魔法は凄いんだから!」
確かにどこも悪くなさそうだ。おっと、完成したのか。───おぉ!美味そう!地球で例えると・・・アクアパッツァ。魚介をトマト、野菜と共に煮込んだ料理だ。それとパン、に似たこれは、こっちの世界の主食だ。
「簡単なものしかないけど・・・」
「そんなことないって!めっちゃ美味そうだよ!」
「そ、そう?じゃあ、食べよっか。」
「いただきます。」
この世界には食前の挨拶は無いが、俺はやっぱりこれが無いと落ち着かない。
「何?それ。」
「俺の故郷の挨拶だよ。食材、栽培者、販売者、料理人、ごはんに関わっているすべてのものに感謝の気持ちを込めて言うんだ。」
「良い考え方ね。じゃあ私も。いただきます。」
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