31.【旅人】【魔法使い】【影武者】
昨日は一日だけで1000PV越えて驚いています。何があったんでしょう・・・?
今後もよろしくお願いします!
出発すると言うのでギルドから出た俺達は、二人が乗るという馬車に圧倒された。ムーディさんが御者として、アイリスさんと二人で御者台に乗ると聞いていた、のだが、ギルドの前にいつの間にか停めてあった馬車は二人乗りにしてはゆったりと大きく、いくつもの煌びやかな装飾品、荷物が入っているのだろう外見四畳ぐらいの客車、そして毛並みの整った茶色の馬が二頭。明らかにリッチだ、これ。
護衛は基本歩いて付いていくので、体力と水が必要だ。無限収納の中に水筒は持ってきたし、HPには自信がある。そういえばこんな大きな馬車が東の森を抜けられるのか?と思って聞いてみたら、こっちに来る時に通ってきた、開けた道があるらしい。そんなに奥地まで入り込まず、スライムやスライフ、東の森の南側に生息するFランクの魔物『ハノコ』が居るぐらいだったそうだ。・・・ハノコとか知らないんですけど。
東に森に向かう途中の道で、俺とソフィアさん、リリーさんは色々と話をしていた。
「ハルカ君の職業は何なの?」
「【旅人】ですので、あまり期待しないでください。冒険者にも成り立てですし。」
初めて会う相手には、俺の強さは隠しておいた方が良いだろう。成り立て、というのは何も間違っていない。なにせ、冒険者になってからまだ4、5日目だ。
「そう、【旅人】なの。で、17歳ってことで良いかな?でも、Eランクなんでしょ?レベルは?」
「17歳で合ってます。今、レベル15ですね。」
「意外と低いんだね。いや、失礼。旅人はレベル25ぐらいないとEランクには昇格できないと思っていたのだけれど。」
───まあステータスが違いますからね・・・
「あー、リリー?喋る?」
「・・・・・。」
「分かった、私が話すわよ。私たちの名前はさっき言ったわね。二人とも勿論Eランクよ。で、職業なんだけど、私は【魔法使い】で、リリーは【影武者】よ。」
なるほど、ソフィアさんの持っている杖はそういうことか。魔力感知で見てみると・・・おぉ、テイルより凄いな。テイルも職業柄MPは多い方だと思ってたけど、魔法特化の職業はやっぱり違うな。レベルもだいぶ違うと思うけど。
「ソフィアさん、凄い魔力量ですね。」
「あら、見えるの?・・・そうだ、影武者は珍しい職業だから知らないんじゃない?戦闘の時に動揺すると困るから、今能力を見せておいた方が良いんじゃない?」
「・・・分かった。そ、その、ハルカさん、良く見ててくださいね?」
───え!?消えた!?
「ハハハ!面白い顔するね!消えたように感じたかもしれないけど、これが【影武者】の特色よ。そこ、見てみなさい。」
ソフィアさんが指を指した方は、さっきまでリリーさんがいた所の地面・・・?あれ?なんで人の影が?
「そこの影、そこにリリーは今居るのよ。」
「影の中って事ですか?」
「そう。まだ自分の影の中に入ることしかできないけど、いずれは他の影へ移動したりできるようにもなるわ。戦闘中は攻撃をするとき以外影の中に入るから、驚かないでね。魔力探知が使えるなら、感じ取れるんじゃないかしら。」
あぁ、確かに影の部分だけ周りより魔力が高いな。ていうか影武者って影に潜む武者だったっけ?なんか俺の知識と違うんだけど・・・まあ世界が違うからな。───あ、戻ってきた。
「リリーさん凄いですね。それってダメージとか受けないんですか?」
「え、あ、あ、う、受けない。・・・それと、わ、私も17歳だから、その、できれば、リリーって、その、呼んでくれると・・・」
「分かった。じゃあリリーって呼ぶよ。俺の事もハルカって呼び捨てにしてもらって良いから。」
「あ、う、うん、ハ、ハルカ。」
「ハルカ君、私についてなんだけど、勿論魔法で戦うわ。補助魔法や、攻撃は簡単な上位魔法まで使えるから、頼ってくれていいわよ。」
「分かりました。俺も魔法は使えるんですけど、基本剣での近接なので、遠距離攻撃はお願いします。」
「ちょっと待って、もしかしてその剣って魔法適性があるの?」
ん?魔法適性?テイルの流輝鞭みたいなものって事?
「ちょっとよく分からないです。武器屋の中でも適当な雑魚だったんだと思うんですけど・・・」
「掘り出し物って感じかしら・・・ちょっと触らせてもらえる?」
「良いですよ。」
「うん、これ魔法適性あるわよ。ちょっと魔法使ってみても良いかな?」
そういうとソフィアさんは何も無い方に剣先を向けて、
「塊炎!」
剣を通して剣先に魔力が集中して、真っすぐに炎が飛んでいった。まじか。この剣にこんな使い方があったとは・・・そういえば最初に手に持った時ほんのりと温かくなって、妙に馴染んだのは俺が高い魔力を持ってたからか?
「これ最高よ!でも、ちょっとぼろぼろね。今回の依頼が終わったら、うち直してもらうと良いんじゃない?」
確かに俺も少し気になっていた。刃こぼれはしていないものの、ぼろぼろなんだよなぁ。でも、これからはこの剣から魔法が発動できるってことか。
おっと、色々話していたらもう東の森の入り口に着いた。今までは並んで歩いていた俺達は、馬車を囲う様に、前にソフィアさん、左後ろにリリー、右後ろに俺、といった感じに離れた。
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