3.チート能力なんて
こんにちは。指摘をいただいたので、これまでのも行間を大きくしてみたのですが、読みにくいようであれば言っていただきたいです。
先程から一緒に居るこの娘は、テイル・ロンドという名前らしい。俺と同じ17歳で、昔から冒険者を目指していたという。今回の成人の儀で、【傀儡師】という特別職を手に入れたので、戦わなくても娯楽施設や劇団などで仕事は出来るらしいのだが、憧れだった冒険者になる!と言っている。
さて俺は、最弱の職業【旅人】を手に入れ、冒険者になるしかないのにも関わらず、戦いにおいて弱いとかいう最悪の状況だ。名前はハルカ・タチバナと名乗っておいた。とりあえずテイルの案内で冒険者ギルドへと向かっている最中だ。
「なあテイル、この国では、獣人がいるのは当たり前なのか?」
「うん、この国では、ね。ハルカの出身の国がどこかは知らないけど、亜人を迫害している国もあるわ。」
「そう、なのか。俺は、ここに来るまで、亜人が居るなんて事も知らなかったな。」
亜人の迫害か・・・やっぱり、そういった類の事に関して問題があるのは、お約束通りの様だ。でも、この国はそういった事は無いようだし、治安もよさそうで安心した。
そういえば、俺って転生者だよな?なんか凄い力とか無いわけなの?―――いや、既に最弱職を喰らっているという事は、見捨てられたか。俺にチート能力なんて―――無い。
「ほら、着いたよ。」
俺がネガティブ思考に陥っている間に、いつのまにか冒険者ギルドに辿り着いた。
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ギルドは、少し大きめだが、外見は普通のきれいな洋風建築だったので期待していたのだが・・・まったくその通り。中はもっと凄かった。
本当にここに冒険者が集まっているのかというほどにお洒落で、冒険者の仕事場としての機能だけでなく、食事処、酒場はもちろん、娯楽施設や銭湯、貸し住居まで完備されている。さらに、訓練場や、初心者のための講座もあるらしい。
よし、俺ここの宿に住もう。
即決した。買い物以外は、ここだけで十分に生活が出来るじゃないか。なんだここ。最高だ。
俺が呆気にとられていると同時に、テイルも口を開けてギルドを見回していた。どうやら、中に入るのは初めての様だ。
「ねぇ、ハルカ・・・」
「ああ。凄いな。」
「やっぱり私、冒険者目指して正解だったわ。」
一通り驚いた所で、俺達はギルドメンバーに登録するために受け付けに向かう。
「こんにちは。ご用件は?」
「私たち、ギルドに登録したいのですけど・・・」
「はい。新規登録ですね。―――では、こちらの宝玉に右手を、こちらの魔銅板に左手をかざしながら、ご自身の名前を心の中で3度、唱えてください。」
そういって受付嬢が出したのは、豪華な装飾が付いた台に乗せられた水晶みたいな球と、魔法陣?みたいな形の穴が切り取られた薄い金属板だ。
「それじゃ、私からやるわね。」
テイルが両手をかざして少しすると、球が内側から光り、同時に板にも緑や紫、青といった色の線が描かれていく。そのまま少しすると、光が収まった。
「はい。もう、いいですよ。」
どうやらこれで登録終了のようだ。あの板が、メンバーズカードみたいなのになるらしい。
「これで、その魔銅板はテイルさんに呼応し、変化します。レベルやステータス、獲得したスキルが表示される様になります。ギルドでのお仕事の際は、そちらをご提示願います。」
「これで・・・私も・・・冒険者だぁー!!」
「良かったな、テイル。」
「うん!ハルカも早く!」
テイルは長年の夢が叶って嬉しそうだ。では俺も登録するとしよう。
俺も同じように手をかざして、魔銅板に自分を刻みこむ。光が納まったから、これで登録終了だろう。よし、さっさと依頼を受けて、今日の夜ごはんと宿代を稼ごう。
俺の魔銅板を受け取り、見てみる。ステータスが書いてあるが、テイルより低いのだろう。テイルのも見せてもらおう。
「テイル、それ見せてくれないか?」
「ん?良いよ。はいこれ。」
「ありがとう。」
さて、自分のものと見比べてみるわけだが・・・あれ?・・・ん?・・・俺の眼がおかしいのか、表示が間違っているのか?受付嬢に聞いてみるか。
「あの、これの表示が間違う事って無いですか?」
「いえ、絶対にあり得ません。所持者の魂から直接反映されますので。」
じゃあこのステータス表示はどういう事なのだろうか。
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