26.腰のストレッチ
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マンションに住んでいた俺は、庭の草むしりなんてしたことが無い。強いて言えば、小学生の頃に近くの施設の草むしりをしたような、花を植えたような・・・みたいな感じだ。―――ということで、下手です。はい。
テイルはぱっぱと綺麗に取っていっているのに、俺は腰の痛みに耐えながら低い姿勢を保って何とか頑張っているが、途中で千切れて根っこが残ってしまっている。これだとまた生えてきてしまう。
二人で並んで隅から隅まで取っていくのを7、8回ぐらい繰り返せば終わりそうな広さだが、兎に角一回が長い。俺がようやく庭の半分辺りまで来て腰を伸ばそうと立ち上がると、
「ハルカー!休んでないでさっさとやりなさーい!」
テイルはそろそろ一回目が終わりそうだ。速すぎるだろ。
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「ぜぇ、ぜぇ、あと、ちょっと。」
「ハルカ、ちょっと待って、速い、速いから。」
俺はHPにものを言わせて、疲れ切っていたテイルを抜いてそろそろ最後の1レーンが終わる。テイルも少し遅れているけどそろそろ終わる。
「これで・・・終わり・・・」
「―――私も・・・終わった・・・」
何とか二人共終わったが、疲れ切って横になっている。俺は腰が痛すぎる。結局7時間近くあの体制のままだった訳だから、明日か明後日ぐらいまでこの痛みは続くな。
HPと関係ない痛み程辛いものは無い。なにせ、回復薬を飲んでも意味がないからだ。
時刻は23時ちょっと前。そろそろお昼だ。万年緑の方が残っているけど、疲れたし休憩がてらお昼ごはんにしよう。・・・と言っても錠剤を一粒飲むだけなんだけどな。何だか食べた気がしない。
よくよく考えてみると、無限収納の中は時間が止まっているんだから、料理を入れても問題ないわけだ。まあ食べるのに時間が掛かるから今は駄目なんだけど。
「テイル、最初凄い速かったけど、草むしりとかやったことあるのか?」
「ええ。家を出てくるまでは年に何回かやってたわ。勿論、こんなに広くないけどね。」
「そういえば、テイルの実家ってどこなんだ?」
「――――――そ、そういえばハルカ、この雑草ってどうすれば良いのかしら?」
「え?あ、あぁ、依頼内容が処理だから、燃やすなり持って帰るなりした方がいいんじゃないか?」
「そうね。とりあえずはハルカが持っててね。」
おい、押し付けるな。服が汚れるだろ。あぁ落ちちゃった。
「で、万年緑は、どういう作戦で攻略するんだ?」
「そうね・・・ハルカが突っ込むのは?」
「却下。」
「え〜・・・じゃあ、燃やす?」
「周りの被害が大きいだろ。」
「直接無限収納に入れる、とかは?」
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作戦はこうだ。単純に俺が近づいて触ると無限収納に入れる事ができる。とりあえず隔離して依頼だけ終わらせようという事だ。
「ハルカ、気をつけてね!何かあったら引っ張るから!」
「任せろ!」
近づくと攻撃して来るらしいので、俺は剣を構えて少しずつ距離を詰める。まだ動いてこない。
剣道をやっていた頃も、相手の動きをよく見るという事をやっていたので、なんだか懐かしい気がする。ただ今回は、相手が攻撃してくる竹で、俺が防具の無い生身の状態だという事だ。
「ハルカ!上!」
「おりゃっ!」
動き始めた!・・・と思ったけど、一回攻撃してきたら止まったな。様子見ってことか?万年緑は伸び続けるって言ってたけど、これはだいたい5~6mってところだな。あの高さから振り下ろされるしなった竹は強いうえに速い。今もぎりぎり反応出来たけど、腕に強い衝撃が来た。少しずれたみたいだ。基本上を警戒していた方がよさそうだな。
また来た!振り下ろされて・・・横からか!
「ふんっ!」
重い。横からの攻撃は吹き飛ばされそうになるな。・・・また来た!横!
「強攻撃!」
よし、強攻撃を発動したらさっきよりは簡単に受け止められた。おっと、もう振り下ろされてる・・・上!・・・で、・・・横!上!
「ハルカー!大丈夫ー?」
「なんとか大丈夫だ!」
とは言ったものの、このまま攻撃を受け続けるのも馬鹿らしい。一気に突っ込んでみるとしよう。今俺との距離は4mぐらい。走れば一瞬だ。
「おりゃぁぁ!」
上からの攻撃が来たのに合わせて走る。これで先ず避けれた。───横は、弾く!よし!綺麗に当たった。
どくん
俺は反射的に後ろに跳んでいた。なんでかって?何故だろう、何か危険を感じて、反射的に動いたのだ。魔力探知が発動したっぽいな。
俺が居た所は・・・地面から鋭い根が突き上がってきている。嘘だろ!?俺避けなかったら今頃串刺しだったな・・・あんな攻撃もありなのかよ。
それにしても鋭い根だな。俺の貫氷よりも尖っていると思う。───まあそれでも突っ込んでみるか。根の攻撃は魔力の動きが激しいので、地上に出てくる直前には察知できるしな。
「テイル!もう一回突っ込んでみるけど、何かあったら頼む!」
「分かったわ!気をつけてね!」
これだけ厄介な相手なのにただの植物というのが何とも悲しい。植物にも危険度でランクを付ければいいのに。・・・俺はこっちの世界に来てから植物の香りで死にそうになって、植物の根で殺されそうになっている。訳が分からない。
「強攻撃!」
一応強攻撃を発動させておく。これで攻撃を弾いても反動は少ない。根の攻撃は・・・避けるしかないか。よし、行こう!
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