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24.フルマラソンには及ばない

語彙力が欲しい・・・どなたか分けてください。

「テイル、これ全部歩いて回収するのか?」


「何かがあれば私のスキルで飛べるんだけど、ここまで何も無いと無理ね・・・」


 砂煙の平野は広くて、どこまでも続いていそうだ。ただ、視界を遮るものや丘の様な地形も無いので、目を凝らせば見つかる事には見つかる。・・・テイルの射程外だけど。

 ちなみにチェイスはサボテンの様な見た目で、2mぐらいの大きさなので、ポツンポツンと立っているのが見える。


「ハルカ、とりあえず水筒ちょうだい。」


「もう残って無い。」


「・・・え?」


「さっき誰かさんが飲みまくって、もう中身が無い。」


「嘘でしょ?私今凄い喉渇いてるんだけど。死にそうなんだけど。」


 いやそれは俺だよ。水筒二本持ってきたのに俺一滴も飲んでないうちに全部なくなったの本当に訳がわからない。



「―――お願いハルカ!炎獄(ヘルフレイム)出して!」


「良いけど・・・塊炎(ファイアボール)。」


 おぉ、久しぶりに使ったけどやっぱり凄い威力だな。 

射氷(アイスバレット)!」


 って、テイルさん?何やってるんですか?


「氷は溶かせば水になるわ!」


「いや、俺のだと威力が高すぎて水が蒸発するから無理だと思うけど・・・」


「あぁぁぁぁぁ!・・・じゃあ、貫氷(アイシクルエッジ)出して!」


「先に言っておくけど、テイルの塊炎(ファイアボール)じゃ溶けない。俺の炎獄(ヘルフレイム)だと水蒸気爆発起こしてテイルだけ死ぬ。」


「  」


 どうやらテイルの考えている事が少し俺にも分かってきた。今のは普通の人でも分かるかもしれないけど、何ていうか、感情が流れ込んでくる感覚があるんだよなぁ。


 テイルが脱水で本当に死にそうだから、とりあえず水を出す魔法が無いか調べてやろう。俺も飲みたいしな。



 魔法辞典を取りだして低位魔法の中から探そう・・・と思ったけど、俺字が読めなかったわ。無理だこれ。


「テイル、この中から水を出す魔法を探してくれ。」


「なるほど!その手があったわね!貸して!」



「───これね。塊水(ウォーターボール)塊炎(ファイアボール)と似ていて、渦巻の方向が逆なのと、流れる水をイメージするのよ。」


───塊炎(ファイアボール)に似ているのは危険じゃないか?


「ちなみに、炎獄(ヘルフレイム)に似た水の魔法はあるか?」


「ちょっと待って・・・流波(フラッドヴォルナ)。使用者の周囲に洪水を起こす魔法ね。」


「うん。なら駄目だ。テイル、自分でやってくれ。そして少し俺にも分けてくれ。」


「何でよ!ハルカやってよ!」


「テイルが溺死するのと、平野一面が洪水に巻き込まれるから駄目だって言ってるんだよ。魔力は魔力譲渡(トランス)であげるから。」



 結局テイルは自分でやった。・・・んだが、俺に一滴もくれなかった。俺が脱水症状起こして死にそうだ。もういい。さっさと素材集めて帰ろう。


 移動方法はこうだ。まず見つけたら、その方向に俺が全力で走る。APが高いから運動能力も高く、HPが高いから体力もあるのだ。

で、途中でテイルが遠距離引力(ハイチーフレンツ)で飛んでくる。そして、タイミングを見計らって俺は止まり、テイルは発動をやめる。すると、テイルが何mか飛んでいく。

そしたら俺を引っ張って、また走る・・・といった具合だ。


───


──────


─────────


 俺は視力が良い方だったけど、まさかこんなに遠くの物を探す日がくるとは思わなかった。俺達は5時間・・・俺からしたら2時間半。結構な時間走りっぱなしだった。時間も33時を過ぎて、日が少し傾き始めていた。



「これで8個目!終わったわよ!」


「疲れた~!一個一個が離れすぎてるだろ!」


 実際、それぞれの間隔はテイルのスキル数十回分、軽く3kmは越しているだろう。素材を採る時も、棘に気をつけながら肉厚の葉を切り取って、周りの皮を切り落として中身を回収する。こうなると完全にサボテンだ。


 フルマラソンって今俺が走った2倍ぐらい走るのか。えげつないな。


 そういえば無限収納(スナフ)の中ってそれぞれも隔離されているんだろうか。素材回収用のナイフを適当に入れておいても他の物と当たっていたような跡も無いし、取り出したいものだけが出入り口の近くに来る。不思議なものだ。




 今日の依頼も終わり、ゆっくりとギルドに帰った俺達は、依頼達成報告と素材の売却とかして、部屋に戻ったのは38時。ちなみに今日の報酬は、


黒茸20個で46000シェル、シイタル82匹討伐で28700シェル、スライム70匹と途中で見つけたスライフ7匹を売って690シェル、チェイス8匹分を売って47500シェル、黒茸は20個渡して20個持ち帰るので余った18個を売って36000シェル。


計158890シェル。大儲けだ。チェイスと黒茸の臨時収入が大きかったな。



 俺達は風呂に入り、ギルドの食事処で夜ご飯を食べ、俺は明日も早いから早く寝ようと言ったのだが、テイルが文字の勉強をさせてくるので仕方なく勉強中・・・サボるとテイルに流輝鞭(ルシ・ウィップ)で叩かれるので真面目にやっていたら、いつの間にか隣でテイルだけ寝ていた。ふざけんな。


 と言いつつ「い」「く」「せ」を読み書きできるようにした。そして、テイルをベッドに運んで布団を被せて、さて、俺も寝るとしますか。

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― 新着の感想 ―
[一言] なんか、勇者登場辺りから雲行き怪しくなってきましたね。 まさかですけど、こんなヒモな上にゴミクズみたいな女がヒロインじゃないですよね?
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