22.殲滅魔法
書き貯めが欲しいYOPPYです。一日一話書いていく。
塊炎と射氷は俺に効かない!一気に突っ込んでやる!
―――パウパティの腕が勢いよく振り下ろされる・・・弾く!で、突く!
よし!綺麗に決まった。まだこの世界に来てからは短いけど、剣道をやっていたのが良かったのかな。何がいつ役立つかは分からないものだ。
剣を引き抜くと、力の抜けたパウパティが倒れる。スライムやクルモは見た目があれだから良いけど、パウパティはやっぱり猿だから、あまり良い気分はしないな。生物に刃物を突き刺して、血が流れ、相手の命を奪うというのは、慣れそうもないな・・・
「ナイスよハルカ!素材を取って、しまっておいて。」
前回はやり方が分からずにテイルに全部任せたけど、今度は任された。まずは毛と皮だ。わきから刃を入れようとして手を持ち上げると、触り心地の良いさらさらの毛が手をくすぐり、まだ残っている生きていた時の温かみが伝わってくる。───最初のうちは刃を入れると血が噴き出てきたが、最後の方はもう出尽くしたのかほとんど出てこない。皮を剥ぎ終わるとテイルに渡して洗浄で綺麗にしてもらう。
次は骨の周りの肉を削いで骨を取りだしていく。内臓やいろいろ大変なところが出てきて本当に臭い。・・・と、ここで俺は脱落。テイルに任せることにした。─────────
「洗浄!よし、これで終わりよ。ハルカ、クルモを探すわよ。」
ふぅ、どうも刺激が強すぎたな。さっさと黒茸を回収して帰ろう。・・・お?あそこ歩いているのクルモじゃないか?
「テイル、見つけたぞ。あそこに居たやつがあっちに向かって歩いて行った!」
「分かったわ。追いかけるわよ!」
──────────────────
こっちだと思うんだけどな・・・あ、居た!よし、仕留める、か・・・ヤバい。なんでこんなに居るの!?20匹ぐらいは居るぞ!?
「ハルカ!囲まれてる!」
嘘だろ!?前に20、横と後ろに同じぐらいいるぞ。溜まってた場所に入っちゃったか。───って襲ってきたぁ!
「テイル!そっち頼んだ!射氷!」
「ハルカ!そっちお願い!射氷!」
俺達は背中をお互いに預けて魔法で倒していく。最初の方は良いかもと思ったけど、さすがに数が多すぎた。一発で倒せないテイルは魔力を消費していって、もう3回ぐらい魔力譲渡を使っているし、少しずつ近づかれている。
「ハルカ、一回息止めて!流輝鞭使うから!」
いやでもそれだと近くに胞子が・・・
「おりゃぁぁぁぁ!流風!」
あー、そういえばそんな魔法もあったな。鞭で3回ぐらい叩いて倒したら、風で胞子を飛ばす。いいコンボ?なのか?
おっと、俺も気を抜いている場合じゃない。こっち側にはあと・・・2匹!
「射氷!」
終わった!テイルは?
「これで終わりよ!射氷!」
どうやら終わったらしい。魔力譲渡で満タンに戻しておこう。後の回収はテイルの仕事だ。───結局ここからは58個の黒茸が採れた。これ全部ギルドに渡すのもったいないな。少し自分たち用と、残った分は売った方が高い。
さて今の時間は・・・そろそろ28時!?あともう一個の依頼も片づけなきゃいけないのに!
次の砂煙の平野は北だから、直ぐに向かおう。
二人とも携帯食を口に放り込んで北に向かって走る──走る──走る───止まる。
「なんでこんな所に崖があるのよ!」
「そんなに高くないけど・・・降りて行くのはめんどくさそうだな・・・」
平野は目の前にあるのに、6mぐらいか?崖になっている。崖を降りていくか・・・そんなに時間は無いんだよなぁ。
「ハルカ!ここから殲滅魔法で倒すとかは?素材は取れないけど、シイタルの素材は安くしか買い取ってもらえないから。」
「でも殲滅魔法なんて俺達使えないし・・・」
「ハルカが使うのよ!魔法辞典は持ってきたでしょ?」
そういえば家出るときに渡されたんだっけ。無限収納の中を探してみると・・・あ、これか。
「ハルカはセンスがあるからできるわよ!・・・あ、でも威力が上がっちゃうんだっけ。上位魔法ぐらいで良いかもしれないわね。」
「まぁそっちの方が安全だな。」
「じゃあこれ!振動を起こせば直ぐに出てくるから、雷系の上位魔法の双閃雷を使ってみましょう。」
ニックが使ってたやつか。ニックが使ってた時は詠唱破棄っていうスキルで詠唱は無かったけど、あれ勇者専用のスキルらしい。ずるい。
「詠唱は、『空を走り地を駆ける雷が与えし閃光よ。我の元より放たれよ。』よ。」
えっと、まず左右の隅で上から下にジグザグ、で、それらが下の方で交わって二重螺旋を描きながらまた上へ、そこに星みたいな形で、ジグザグ、丸、ジグザグ、こっちいって、こう!
「空を走り地を駆ける雷が与えし閃光よ。我の元より放たれよ!」
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