21.引き篭もり
ネーミングと戦闘シーン程難しい物は無いと思います。皆さんどうですか?
「ここらへんで良さそうね。」
東の森の北西側は何故か湿度が異様に高くなっていた。でもキノコってじめじめした森の中に生えてるイメージだから、間違っては無いのかもな。
「ちなみに、探してる魔物はどんな感じなんだ?」
「えっとね、クルモっていうEランクの奴よ。スライムの4倍くらいの大きさで、大きな口と手足のついたキノコみたいな見た目よ。かさの色は赤に白の水玉模様で、移動は早くないけど耐久力があるわ。」
つまり一般的に子供が絵で書くようなあれか。大きさが俺の胸辺り、それに口と手足がついている、と。
「あと、攻撃を受けると、人間に有害な胞子を吹き出す【特性】があるから、あんまり近付きすぎないでね。あ、【特性】っていうのは、一部を除いてほとんどの魔物が持っていて、スキルみたいなものだけれど、魔物が意図的に発動できないから別物として捉えられているわ。」
そんなのがあるのか。スライムとパウパティは珍しく持っていない種類ってことか。―――スキルみたいなものってことは、多分魔力を使わないのだろう。俺のチート能力がまだハッキリしてないけど、魔力が使われてないなら無効化される可能性は低いな。
「じゃあ魔法で倒していくか。」
「そうね。」
―――少し歩いていると、あぁ、3つぐらい居ました。木にもたれ掛かって寝ている?のかな。大きめのキノコが。
「ハルカ、ちょうどいいわ。離れた所を同時に狙う練習になるわ。」
よし、実際に放つのは貫氷だけど、俺がイメージするのは射氷だ。
狙いをそれぞれのキノコに向けて、尖らせた魔力、冷たい冷気・・・
「射氷!」
よし!上手くいった!見事に氷の棘が地面から出てきて3匹を同時に貫いた。―――なんかちょっと紫っぽい粉が舞ってるな。あれが【特性】か。
「ハルカのAPじゃ、クルモもさすがに耐えれないわね。」
「それで、肝心の黒茸は?」
「あのかさの根元に生えている事がほとんどよ。」
いや、でも今は特性のせいで俺ですら近づけないんだけど。
「任せなさい!遠距離引力!」
流石テイル!一匹のクルモからまずは2つ回収。
「もう一度、遠距離引力!・・・あれには生えてなかったみたいね。じゃあ最後のやつ!遠距離引力!」
最後のからは1つ。これで3つだ。・・・20個って結構面倒くさいかもしれないな。───あれ?寝てたんだったら倒す必要無かったんじゃ?まあいいか。
クルモは毒素が強すぎるため素材として扱われないそうだ。とりあえず氷も消えたしあのまま置いておけばいいや。
「見つけたら基本的に私は射氷、ハルカは貫氷で倒して、私が回収する。良い?」
―――とは言ったものの、なかなか出てこない。あの後4匹倒して、回収できたのが3つだけ。魔物をおびき寄せる魔法があるなら欲しいと思ったぐらいだ。
「おかしいわね。こんなに出てこない事があるなんて。」
「やっぱり異常なのか?」
「ええ。気候もいつもどおりだからもっと居る筈なんだけど・・・考えられるのは、討伐依頼が組まれていたか、なにかの影響で巣から出てきていない可能性ね。」
魔物の巣があるのか。じゃあそこを攻めればいいんじゃないか?強い魔物の巣に入ると危ないけど、低ランクだし簡単に倒せるしな。
「あ、なんとなくハルカの考えている事は分かるけど、巣の中は毒の胞子でいっぱいよ。」
「じゃあ無理か。」
───テイルは読心術でも使えるのか?
「でももし、討伐依頼があったとしたら、この依頼は個人からの物だからギルド側が拒否すると思うし・・・気候は一緒・・・敵?」
「敵?」
「魔物は基本自分より強い種類がいると、怯えて巣から出てこないわ。」
ここにいて、Eランクのクルモより強いやつって言うと、俺が知っている中では・・・
今俺達の目の前に居る白い長い毛で覆われた猿ぐらいだ。
「またお前かぁ!パウパティ!」
「ハルカ、多分こいつよ。このパウパティがこっちまで出てきたからクルモが居ないのよ。」
「じゃあ倒すしかないな!一気に決めるぞ!射氷!」
エィキッ!
おい、今あいつ氷が作られる前に足元に防御壁使わなかったか?魔力の流れを感じる、みたいなのかな?
───防御壁は壊したけど若干詰まった瞬間に避けられたか・・・というかこのパウパティも魔法が使えるタイプか。俺パウパティ嫌いだわ。
───ギュッキィッ!
次の瞬間、パウパティの掌に炎の塊が現れた。これは試すチャンスだな!俺は一度塊炎を受けている。これで無効化されれば・・・!
「ハルカ!?避けないの!?」
お、熱くない。衝撃もダメージも無い。やった!実験成功!
「ああ、俺は大丈夫だ!もう塊炎は効かない!・・・あと射氷も大丈夫だ!」
射氷もテイルから貰ってるからな。
この勝負、楽勝だ!
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