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196.松葉杖

誤字報告ありがとうございました。

今後もよろしくお願いします!

 テイルとの通話が終わってから数分、特にやる事も無いのでボーっとしていると、部屋のドアが開き、看護師さんが入ってきた。


「あら、もう起きられたんですか?早いですね。」


「ええ、まぁ。」


「どこかおかしなところはありませんか?気分が悪かったりは?」


「うーん・・・多分大丈夫です。」


「そうですか。では今日はこちらに泊っていただいて、明日には退院といった感じになります。あ、こちらをお貸ししますね。」


 そう言って看護師は俺が寝ているベッドの横に松葉杖を立てかけた。それから自分の足を見てみると、右足首が動かないように固定されているのに気付いた。包帯で巻かれ、ちょっとした金具が付けられている。


「では、お休みください。」


 看護師が出ていこうとするのを呼び止める。


「あの、食事って摂っていいですか?」


「あぁ、そうですね。今お持ちします。」


「ありがとうございます。」


 俺は携帯食を食べるつもりでいたが、食事を持ってきてくれるみたいだ。病院食というやつかな?


 出された食事は結構美味しかった。さっぱりしているものの、しっかりとお腹にたまり、栄養も高そうだ。疲れがたまっていたのか、そのまま眠りに落ちていった



 次の朝目覚めると、ベッドの横に支部長が居た。


「うわっ!勝手に人の部屋入らないでくださいよ!」


「私はギルド支部長で、ここはギルドですから。」


 うん。それはそうなんだけどね?身内でもないのに起きたらベッドの横に立ってるとか、もうただの変態だろ。


「それで、何か用ですか?」


「本当に、申し訳ございません!」


「・・・え?」


 寝起きドッキリかこれは?思考が追い付いていかない。


「私がお手伝いを頼んだばかりに、このような怪我をさせてしまい、申し訳ございませんでした。」


「いやいや、顔を上げてくださいよ。それに、この怪我は俺の不注意ですから・・・」


「そんなことありません。」


「いやいや、俺のせいですから。」


「いやいや・・」


「いやいや・・」


 話し合いの結果、ではなく支部長の押し付けによって、手術代と入院費の負担は無くなり、感謝料と八柱捕縛の特別報酬が渡された。ここまでされると逆に申し訳なくなってくる。



――――――――――――――――――



 一日いただけだが退院ということになった。松葉杖が貸し出され、とりあえず3日後に検査をするのでまた来てくれ、と言われた。恐らく術後経過を見る感じで、3日後に行ったらまた3日後、とか言われそうだ。4日もあれば回復促進(リバイバル)の効果で治りそうなものだが。


 次に俺が向かったのは、自分の部屋だ。鍵を開けて中に入る。と次の瞬間、俺の顔に何かが激突した。


「なっ、何だ!?―――って、ウェズ?」


「クァ〜・・・」


 俺にぶつかってきたのはウェズだった。衝撃が強かったのか、地面に座り込んで目を回している。淋しかったのだろうか。


「ただいま、ウェズ。」


 松葉杖を離して片足立ちになり、床のウェズを抱きかかえる。


「ちゃんと卵、守っててくれたか?」


「クゥ!」


 卵は依然、ちょこんとベッドの上に置かれていた。のはその瞬間までだった。


ピクン!


「ん?今動いたか?」


―――カッッ!


「うわっ!」

「クァッ!」


 黒い光が卵から放たれた。光なのに眩しくない。光というより、闇だ。


「ウェズが孵ったときと一緒だな・・・」


 数秒でその光は収まったが、次の瞬間爆発的に魔力量が増え、卵は闇に覆われた。


「ウェズ、怖かったら中に入ってても良いぞ?」


 俺の後ろに隠れるようにしながら卵を見ているウェズに声をかける。


「クワ、クワッ!」


 ぶんぶんと首を振ってそのままいる。次の瞬間、闇が俺たちをも飲み込んだ。


「うわっ!」


 思わず目をつぶり、背を向ける。


―――ぱりっ


 今の、卵が割れる音か?


―――ガァッ


 鳴き声がした。間違いない。産まれた。


 黒い光が収まると、そこには小さな黒翼の精霊がちょこんと座っていた。


「おぉぉ!孵った!」


「クァァ!」


 とりあえず攻撃してくる可能性があるので一応構える。


「大丈夫、そうか?」


 ゆっくりと手を近づけて、抱き上げる。


―――ガァ


「お前、どうしたい?好きな場所に飛んでって自由に生きるか、ウェズみたいに俺達といるか。」


 少し時間を開けて、精霊は俺の頭の上まで飛んできた。


「よし!そうしよう!今日からお前も仲間だ!」


 頭に乗せながら撫でまくる。こいつにも名前を考えないとな。


 ウェズバニルって名前を付けたとき北欧神話からもってきたし、何かあったかな。―――フレースヴェルグという鷲。世界に風を起こし、死体を飲み込む者である。闇属性だし、良いんじゃないか?

 フレースヴェルグを文字って、フレスヴァーグ、いやフラスヴァーグだな。


「フラスヴァーグ。どうだ?」


「ガァ!」


 フラスヴァーグと俺が光る。これで魂が繋がった、と思う。魔銅板を出して確認する。


――――――――――――――――――


フラスヴァーグ



闇属性、氷属性、風属性


獲得スキルなし


――――――――――――――――――

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