188.会議襲撃
自分の語彙力の無さに失望しています・・・
「喰らいなさい!」
ガん!ガん!
魔力でできた弾が、跳んできた組員たちの体に当たる。魔力銃よ。
自分への攻撃を一度退かせ、天井にスキルを使用して一度この部屋で最も高い部分へ行く。この高さは人間では跳べないでしょうね。祝福を受けなければリーアでも届かないと思うわ。つまりここは飛び道具さえ気を付ければ安全。
仮に貴族を全員逃がしたとしても、私と騎士団長ではこの6人を捕縛するのはほぼ不可能。もしかしたら殺されるかもしれないし、逃げられる可能性だって高い。こういう時は、比較的近くにいる強い人に助けを求めるのが賢いのよ。
ピーっ、ピーっ、ピっ
『もしもし?』
「ハルカ!戦闘が可能な状態で至急王城へ!」
『え?な、なにが?』
「緊急事態なの!会議中にブラッドベムの組員が天井を突き破って侵入、今私と騎士団・・」
ぶちっ!
そこまで言ったところで通話を切られた。恐らく今ここに向かってきてくれているはず。王城の中に入れるかどうか心配だけど、今は城全体が混乱中だから、騎士もまともな警備体制ではないでしょうね。・・・でもこの部屋に辿り着けるかどうかは怪しい所だけど。
「ぐぬぬ・・・!お前ら、この俺がいる場所で、好き放題できると思うなよ!」
数か所に浅い傷を負わされた騎士団長がダガーナイフ相手に大剣を振り回す。まったく、あれだから【戦士】って【職業】は・・・
4人が同時に騎士団長に狙いを定めた。あれ放置したら死ぬわね。
「傀儡操作!」
思いっきり壁まで吹き飛ばし、叩きつける。
「え?え?」
騎士団長は何が起こったのか分かっていない様子だ。まったく、私が居たのに、一人で戦ってると勘違いしていたのかしら。一人だったら死人が出てますよー。
───っ!
地上から小瓶が投げられた。魔力探知でなんとか反応し、体を捻ってギリギリで躱・・
っどぉぉん!
「きゃぁ!」
爆発した!?原理は分からないけど、今はそれどころじゃないわ。爆発の衝撃で、天井にぶら下がっていたスキルを離してしまった。
「やっ!はっ!・・・よいしょっと。」
空中はやはり狙われるわね。流輝鞭でなんとか攻撃を反らして、落減速の効果でゆっくりと安全に地上に降りる・・暇もない!
「解除!」
安全性などと言って、ゆっくり降下していたら的同然。スキルの効果を解除して重力に身を任せて落ちていき、何とか着地する。
「こっち来ないで!」
ガん!ガん!ガん!
前にハルカが入れてくれた魔力量が相当多かったのね。あれから一回も補充していないのに、まったく弾切れを起こさないわ。ただ、この型、連射できないのがこういう時は辛いわね。
・・・なんだか寒い?
「寒っ!」
やっぱり寒いわ!最初は気のせいかとも思ったけど、絶対気温が急激に下がってきてるわ!
この寒さの原因は何なのか訳が分からなかったけど、その後すぐに、文字通り目に見えて分かったわ。
「吹雪・・・?」
部屋の中に入ってきたのは吹雪。建物の中で?あぁ、それなら可能性は一つしかないわね。
「ここか!?」
「ハルカ!」
「ん?お、テイル!生きてるか?」
「凍え死にそうよ?」
「了解。蔓振!」
今度はハルカの足元から太い蔓が勢いよく大量に伸びてきた。私と騎士団長を吹雪から守るように形作られ、ブラッドベムの組員6人は素早い動きで逃げようとしたが、あえなく捕まった。木属性の殲滅魔法、掴捕絡結鹿・・・よりも細かな動きができてるのは、ハルカの魔力運用センスが高いからかしら。
「ふぅ、この6人だけか?」
「この部屋に侵入してきた奴はね。城の他の場所は分からないけど。」
「多分大丈夫だと思うぞ?ここ以外普通だったし。あ、貴族の人たちは全員城の外で騎士たちに囲まれてたぞ。ムーディさんとアイリスさんも、無事だった。」
「そう。それは良かったわ。・・・それで、ハルカ?」
「ん?どうした?」
「そろそろ蔓をどかしてくれないかしら?」
「あぁ、悪い。」
ハルカが右から左へ腕を振ると、私と騎士団長を守っていた蔓と吹雪が無くなった。なんか、ハルカが来ると呆気なさ過ぎて、戦ってたのが馬鹿らしく思えて来るわね。
「あー、えっと・・・あなたは?」
「ハルカと言います。勝手にお城に入っちゃって、すいません。騎士団長の方ですか?」
「エルヴァーと申します。助けて頂き、感謝いたします。」
そう言って騎士団長は頭を下げた。
「あの、エルヴァーさん・・・」
「はい、どうされましたか?」
「俺はここに来なかったという事にしてもらえませんかね?色々と面倒になりそうなんで・・・」
「確かに、そうですね。分かりました。これは私、いや、ロンド卿の手柄としておきましょう。」
え!?私!?
騎士団長一人の手柄にしてもらうよう言おうとしたところで、思い止まる。これを私の手柄にしてもらえば、今後貴族たちに対して有利に動けるんじゃないかしら?
「テイルはそれでいいのか?」
「えぇ。それじゃああとはよろしくお願いします。私は、外に出ますから。」
「承知いたしました。」
そういう事になったので、外に居るお父さんとお母さんのもとへ向かう事にした。二人とも心配しているだろうし、早くいかないと。ハルカとは、また後で合流することになるわね。
「ハルカさん、この蔓は・・・」
「そうですね・・・外すと逃げ出しますしね、こいつら。」
「拘束の魔道具を持ってきますので、それまでこのままにして頂いて良いですか?」
「大丈夫ですよ。」
そんな会話が後ろの方から聞こえてきた。この事はすぐにギルドにも伝わるだろう。
感想、誤字報告、ブクマ登録、高評価、お願いします!