187.爆発音と衝撃
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今後もよろしくお願いします。
お父さんが提案した多数決は、まぁ最初と比べると内容が軽くなったかしら?迫害に賛成か反対か。時間も時間だし、これで今日のところは収束すれば良いわね。
これで反対が多ければ、王も今後の対応を考えていかなければならなくなるし、意見が数として目に見えるから、言い逃れもできないわよ!
「では、亜人の迫害に賛成、許容する方は?」
迫害公言家に加えて、未公言家からも5~6人、騎士団長と王子が手を挙げた。王は、挙げなかった。
「続いて、亜人の迫害に断固反対だという方?」
残りの全員、この場に居る大多数が手を挙げた。ただその中でも、王はまた手を挙げなかった。手を挙げずに、ただ黙って、険しい表情をしていた。
「反対派の意見の方が多いようですが、陛下はこの現状をどのように受け止めていらっしゃ・・
───どごぉぉん!
お父さんの発言は、爆発音と衝撃によって遮られた。
「なっ、なんだ!?」
「何なに!」
「爆発か!?」
「どこで?」
爆発というよりも破壊音。何かが崩れた音。音は上から。これだけの衝撃があるという事は結構近い。
何かしら?王城の上に空飛ぶ巨大な魔物が降り立ったか、城の中で保管していた何かが爆発したか・・・あとはハルカが城を殴ったかぐらいしか思いつかないわね。最後のは無いと思うけど、これはマズいわ。もし本当に何かあったのなら、これだけの人数が混乱して入り乱れている今の状況は収めきれない!
「皆、落ち着け!何もない!大丈夫だ!」
王が混乱を収めようとして声を張り上げる。が、ほとんどの貴族が立ち上がったり机の下に隠れたり、叫んだり喚いたりでもう滅茶苦茶だ。
───!
ほとんど集中を割いていなかったにも関わらず、魔力探知に強い反応を感じた。急いで反応があった天井の中心を見る。私と同時に、騎士団長も同じ場所を向いていた。
ドガァン!
次の瞬間、天井の中心に穴が開き、円卓の中心に瓦礫が落ちてきた。
一度全員硬直した後、すぐにあちこちで悲鳴が上がる。
「皆さん!落ち着いて避難してください!さぁ、陛下も!」
騎士団長が避難を促し始めた。私と同じで、感じているのだ。未だ瓦礫で起きた砂煙の中に居る、何かを。
貴族たちは、一段と音階が高くなった悲鳴を発しながら、我先にといったようすで部屋から出ていってる。
「お父さんもお母さんも、逃げて。急いで!」
「テイルは?」
「私は冒険者よ。大丈夫。」
「そんな事言わないで、逃げるわよ!」
「良いから!早く逃げて!」
少し強引に二人の背中を押して人の波に乗せ、逃げさせた。さて、天井を突き破ってやってきたコイツは、何者だろうか。
───ざざっ!
一斉に砂煙の中心から何かが猛スピードで発射された。いや違う!発射されたのではなく、これは・・・人間だ!
6人の、黒い服に白い仮面の奇妙な姿をした奴らだ。そしてなにより、こいつらの服には見るのも嫌なマークが入っている。ブラッドベムだ。
グルシュ王国で暗躍する犯罪集団、ブラッドベム。嫌なことにその戦闘力も高く、前に私たちが戦った時は今と同じ6人相手に、今より私たちも弱かったとはいえハルカが大怪我を負い、加勢に来てくれたニックも負傷、何とか取り押さえただけで勝ったとは言いにくい勝負だった。
ここに来たという事は、どんな理由があるかは知らないが、目的は一つだろう。【集まっている王族、貴族を殺す】。ターゲットがいるのか、関係なく虐殺か。どちらにしろ見過ごせない。そして、今この場にある戦力は、私と騎士団長の二人。
「うわぁぁぁ!」
貴族の一人に組員の一人が襲い掛かった。泣き喚く貴族に馬乗りになり、振り上げたダガーナイフを首めがけて振り下・・
「傀儡操作!」
全身を使い、思いっきり組員を後ろ側に倒れこませる。が、貴族は腰が抜けて動けないでいる。
「あぁもう!手間取らせないでよ!えいっ!」
組員を抑え込みながら、貴族を部屋の外まで放り出す。すこし乱暴だが、今はそんな事を言っていられない。いろんな場所で、同じことが起きているのだ。
「傀儡操作!傀儡操作!傀儡操作!」
スキルの同時使用枠が足りず、組員を抑え続けることができない。騎士団長も1/6は対応してくれているので何とか被害者はまだ出ていない。が、まだ逃げきれていない貴族が数人残っている。
よくよく考えたらこの部屋の外が安全とは限らないことに今更気付いたが、外には騎士が大量にいるだろうし、この部屋の中の方が危険なのは間違いない。ということで、また一人、スキルで部屋の外へと放り出す。
「うわっ!」
貴族が少なくなってきたのと、何度も邪魔をしているからか、ターゲットが私に切り替わったみたいだ。2人が同時に襲ってきた。
「傀儡操作!」
とりあえず自分を逃がす。壁や天井、床にスキルの効果先を指定して空中を浮いているかのように飛び回る。が、それにもしつこく喰いついてくる。
「えーと、えーっと、これ!」
腰に付けている流輝鞭を取ろうとしたが、焦って違うものを取った。でも、これでも良い。
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