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185.ロンド家次女

最近投稿時間バラバラで申し訳ないです・・・

「いいですか?」


 手を挙げて一応確認する。全員の視線が一気に集まる。


「あ、あの、ベムについてなんですけど・・・」


 さっきと同じ、緊張感で言葉が上手く出て来ない。


 というかなんなのあの人。椅子にもたれかかって天井なんて見て、私の発言なんて聞く気が無いっていうの?

 少しイラっと来たら、緊張が和らいだ。真剣に聞こうとしている人も沢山いる。


「あの、ベムは討伐ランク、つまり倒しやすさがEと定められています。これは、私たちに身近な魔物で言えばゴブリンと同じです。しかし、ゴブリンは知能が高く、複数匹で武器なども使って攻撃してきます。」


「それがどうしたというのだ。」

「結局何が言いたいんだ?」


 野次が飛んでくるけど気にしない気にしない。気にしたら負けよ。頑張れ私!


「そのゴブリンと同じ討伐難易度、つまりそれだけベム単体は強いということです。皆さんも、領地内の村で魔物が出たという時、冒険者を雇いますよね?その時、ゴブリンと戦って怪我を負いながらも討伐する冒険者が殆どだと思います。」


 全てではないが、数人を除いて自分の領地を持っている貴族が大多数のはず。そして、領内の村のために冒険者を雇ったことがある確率はほぼ100%。これぞ、自分の経験で分かりやすくする作戦よ!


「つまり、今のシィ砂漠にその冒険者が行くと、ゴブリンよりも強い魔物が大量にいるので、一瞬で殺されてしまいます。さらに強い冒険者を雇うのは、私たちにとっても痛手ですよね?」


 自分の領内の町や村の店と契約している商人などの護衛も、貴族が手配する。おそらくこの議題を出した人も、それで結構苦しんでいたのだろう。そこにちょうど全領会議(コンフィーシャ)。議題として出さない手はなかったわけね。


「そこで、グルシュ騎士団と冒険者による、一斉討伐を提言します。そのための費用は全貴族家から一様に集めればいいでしょう。どうでしょうか?」


 こんなところでどうかしら?ベム大量発生の危険さをしっかりと提示し、その後で対策の提案。一度適正量まで減らせば、今後持続的に高い雇い賃を払わなくて済むというメリットもある。


「少し待っていただけませんかねぇ。シィ砂漠を輸送ルートに使っていない我らにとっては、費用の払い損では?旅行者も、我の領地に関しては北から来ますからねぇ。メリットが見当たらないですねぇ。」


 ヤバい!それは考えていなかったわ!確かにそうよね。北側の貴族たちのとってははっきり言って関係ない話なんだわ・・・


「それはどうでしょうか?」


 ここで助け船を出してくれたのは、隣に居たお父さんだった。


「これはグルシュ王国全体の経済循環にも関わってくる問題です。先程も話し合いましたように、今この国の経済成長率は伸び悩んでおります。この問題が解決すれば、物流はさらに良くなるでしょう?」


「おやおやロンド卿。ご息女の援護ですか?」


「会議の場において、そういった発言はどうかと思いますよ?それに、私の娘も一参加者です。そこのところをお忘れないように。」


 お父さんから普段感じないような凄い雰囲気が漂ってきている。これくらい強い気持ちで臨まないと、この会議は駄目だという事ね。


「私は賛成です。出費が一度で済むという事でしょう?」


 お姉ちゃんと同じぐらいの歳だろうか、若い男の人だ。


「絶対にそれで終わりとは限りません。まずは減らし、その後に原因を突き止める必要があります。」


「そうですね。」


「それに、早くベムを減らさないと、ベムを捕食する更に強い魔物。例えばレッサーグレイバスやグレイバス、スカラピア。そんなものが増えたら、それこそ勇者でもなければ相手ができません。」


 まあハルカでも余裕なんだけどね・・・


 私のその一言が効いたのか、ところどころから『それはマズいな』『早くどうにかしないと』と声が聞こえてきた。良い感じね!

 

「───それでは、全家から同額を徴収し、一斉討伐を行うという案に賛成の者は?」


 王が確認を取ると、一部を除いてほとんどが手を挙げてくれた。勿論、お母さんとお父さんも手を挙げてくれている。


「それでは、細かい事はエルヴァーに任せよう。」


「承知いたしました。」


 騎士団長が頭を下げた。エルヴァーというのね。


 その時、お母さんが耳打ちしてきた。


「こんなに早く結論が出るのは珍しいわよ。テイルの提示案がよかったからね。」


「そうかな?」


「そうよ。流石、私の娘ね。」


 これで元からあった話し合う内容は全て終わったわね。さあ、ここからが本番よ!・・・と意気込んでみたけれど、議題案を今から出すのはお父さんに任せたわ。本当はリーアの為にも私がやりたかったけれど、成功する確率が一番高いものを選ぶから、仕方ないわね。


「あの、陛下、一つ良いですか?」


「なにか?」


「もう一つ、議題を追加したいのですけれど・・・」


「構わない。では、その内容を。」


「はい。・・・亜人の迫害を、違法としたいのです。」


 ちょっと待てぇぇ!?違法って、強く出過ぎじゃないんですかお父さん!?

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