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176.伝説

日本語難しい・・・

 ニックが攻撃を受けないよう細心の注意を払いつつ、戦闘を続ける。


 しかし、どうやったら逃げられないだろうか。あまり長引くと、リーアの邪眼も時間制限で閉じてしまう。

 光線のスピードを持ってしても避けられるという事は、それ以上のスピードで攻撃するか・・・攻撃範囲を広くするかだ。


射氷(アイスバレット)!」

ゴウっ!


 平野一帯に吹雪が吹き荒れる。竜巻の威力を殺し、逃げ場を失ったウィーザラードにも当たった。・・・俺の吹雪ってこんなに威力高かったっけ?範囲もこんなに広くなかった気がするんだが?


「ハ、ハルカー!私たちまで凍え死にそうよ!」


「え、えぇ!?どうすればいいんだろ?」


「知らないわよそんなの!」


「え、えーと、えいっ!」


 うまい具合に魔力を動かして、他の4人に吹雪が回らないように調整する。前はこんなこと無かったんだけどな。どうなっているんだまったく。


───キィッ!


「おっと危ね。」


 吹雪の中、体を半分凍らせながらウィーザラードが攻撃を仕掛けてきた。が、動きが鈍い。リーアによる弱体化やダメージの蓄積、そのうえに吹雪の中なのだ。ここまで遅くなっていれば、避けるのも簡単なのだ。


「吹雪が結構効いてるぞ!今のうちに・・「衝撃(インパクト)!」


 言い終わる前にリーアが攻撃していた。まあ早いに越したことはない。俺も攻撃にうつる。


 テイルは、エスティラさんに痛みを取り除く、簡単な回復魔法を掛けていた。痛々しい姿ではあるが、スッと立ち上がったエスティラさんも戦うようだ。


氷結拳(ヴィーセフィスト)!」


 俺達5人の中では相対的に遅いが、エスティラさんもそれなりに人外なスピードで動けるのだ。今のウィーザラードになら十分に攻撃を入れられる。

 拳は腹に入り、一瞬にして後半身を凍らせた。


「もう一回麻痺でも喰らえ!」

ざしゅっ


 前脚のわきから刃が入った。斬りきることはできなかったが、しっかりと斬撃を入れられたのは大きい。


 相手はSランクのバケモノ。といっても、自分に有利な状況からアウェイ感抜群な状態にされ、このメンバーの攻撃を受け続けたらただでは済まない。飛んでいる姿にも安定性が無くなってきた。


「何回でも叩き落としてあげるわ!傀儡操作(マリオネット)!」


―――キュィィィ・・!キベッ!


 テイルのスキルにすら一切抗えなくなっている。一度上空に持ち上げられてから、凄いスピードで地面に叩きつけられたウィーザラードは、変な声を出して飛ばなくなった。しかし、まだ息はある。


―――キュ!キュ!キュ!


 苦しいような、焦ったような鳴き声とともに、風の刃を突風に乗せて飛ばしてくる。しかしその攻撃は明後日の方向へ向かうだけだ。


 さて、そろそろ終わらせるか。攻撃さえしてこなければ可愛らしい小動物だ。殺すのが若干躊躇われ・・


「はぁぁ!」

ざしゅっ!


ウィーザラードの首が飛んだ。


「・・・え?」


 いきなりの事に一瞬困惑した。終わらせたのはニックだった。目が覚めた瞬間に飛び込んで来たのだろう。というかどんな回復力だよ。

 少し悲しいが、長引くと可哀想になってくるだけだったから、スパッとやってくれてありがたいといえばありがたい。

 ピクリとも動かなくなり、感じていた魔力も徐々に薄れて消えた。


「なんか・・・あっけなかったな。」


 はっきり言って、バリ盆地の墓地でのあの一夜の方が辛かった気がする。まぁSランクを倒したのはただ事ではないが。


「それじゃ、悪いけど後はニック達に任せていいか?成果もニック達のものにしておいてくれ。」


「え?いやいや、Sランクの討伐なんて、それこそ歴史的な快挙だ。伝説のようなものだぞ?手伝ってもらったのにその成果を僕達だけのものにするなんて。」


「そうよハルカ。流石にそれはニック達だって困るわ。」


「そこを何とか頼む。だって、考えてもみろよ。確かに俺達は魔王軍との戦いのときに特別招集されたりはしているが、今ですらCランクだぞ?Cランク。そんなCランクの冒険者達が、あの勇者パーティーと共同でSランクの魔物を討伐した?面倒ごとになるのが目に見えてる。良い方にも、悪い方にもな。」


「確かに、ハルカの言い分も間違っていないかもしれない。だが・・・」


「じゃあ、ギルドへの報告は俺達の名前を入れてくれていい。だが、公式発表はニックとエスティラさん2人の成果。どうだ?」


「ボクは構わないよ。」


「はぁ。少し口惜しいけど、リーアが良いなら私も良いわ。」


「・・・仕方ない。エスティラもそれでいいかい?」


「えぇ。」


 そういうことで話は落ち着いた。俺は目立つのは嫌だし、ニック達なら目立っても問題ない。そもそも俺達がここに来たのはただの通り道だったからであり、Sランクで云々でワーワーで、もとの目的を果たせる気がしない。


「それじゃ、またいつか会おう!」

「それじゃあね!」


「あぁ!じゃあな!」

「ニックー!エスティラさん!あとよろしくねー!」

「さよーならー!」


 それから俺達は2人と3人に別れて反対方向に向かって歩き出した。

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