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174.ウィーザラード

誤字報告ありがとうございました。

今後もよろしくお願いします!

 いつの間にかウィーザラードは竜巻の前に戻っていた。口を両手で押さえながらキュキュキュ、と笑っている。その仕草は可愛らしいが、明らかに馬鹿にされている今の状況では苛立ちが募るばかりだ。


塊輝(シャイニーボール)!」

すかっ


「無理だぞハルカ。闇雲に撃っても絶対に躱される。」


「じゃあ躱されないぐらい撃てばいいんじゃないかな!はぁぁっ!」


 リーアは文字通り空間を埋め尽くす量の、光と闇の光線を発射した。ほぼ同時ではあるが、外から内へと、ウィーザラードを追い込むような形で放たれた。


「決まった!」


「いや・・・リーア!」


がきん!

―――キュゥ?


 俺は予想していた。一方で、急に背後に現れたウィーザラードにしっかりと反応し、爪に拳を合わせたリーアはやはり凄いな。とか思っている暇はない。


変速(ヴェンジ)!」


 近くに来てくれたお陰で直接魔法を撃ち込めた。今は空間ではなくウィーザラードだけの時間を止めた。完璧だ。


「ハルカ、何というか・・・卑怯に感じてしまうのは僕だけかい?」


「いや、俺も時魔法ってチートだよなって思ってる。」


「本当にハルカは容赦ないよねぇ。」


「なっ!リーアだってさっきの光線!」


 こんな会話をしている3人とも、勇者だったり天使だったり転生者だったりするわけだが、そこには触れないでおこう。


「よし、早速斬るか。」


「ちょっと待って。」


 剣を構えたニックを止め、俺は指でつんつんする。


「・・・何やってんの?」


 リーアが呆れたような声で、いや、若干の怒気を含みながら問いかけてくる。


「もふもふしたいだけだったらハルカの首が飛ぶよ?」


「いや、もう確認したいことは終わったし、もふもふするならリーアでやるから。」


「ところでハルカ、何を確認してい・・「ちょっと待てぇ!?なんで話を先に進めようとしてるの!?ボクはもふもふさせないからね!?」


 何故Sランクの魔物との戦場で、こんなにもコメディチックな会話が繰り広げられているのか自分でも疑問を感じつつ、改めてウィーザラードに向き合う。


 そういえば先程俺が確認した内容についてだが、一つは触れるかということ。一つは魔力を感じるかどうかだ。何故こんな事を確かめたかったかというと、ニックの斬撃やリーアの光線を本当に避けたのか怪しかったからだ。

 どういう事かというと、竜巻の前にいて、攻撃を透かしたアイツは本体ではないのではないかと思ったのだ。


 まぁ結論から言うと、恐らくあれは幻で、俺達が攻撃しているあいだ本体はどこかに隠れていたのではないだろうか。時を止めているコイツは触れた、つまりほぼ100%本体だが、魔力を感じない。一方で竜巻の前で俺達の攻撃をかわしていたアイツからは、Sランク並みの魔力を感じていた。だからこそ攻撃を仕掛けていたわけだが・・・完全に騙されていたのだ。


「よし、とりあえず倒そう。」


「それじゃあ僕が。急所に当てれば必ず相手を倒せるスキルがあるからね。」


 なんだそれ。勇者補正強すぎるだろ。


致死斬撃(デススラッシュ)!」


「なにその怖い名前!?」


 ニックの剣が赤く輝きだした。急所を狙わないといけないと言っていたので、急所に確実に当てるために慎重に剣の位置を調整している。俺にはどこが急所として存在しているのか分からないが・・・ニックには分かるのだろうか。


───!

「危ない!」


 調整も終わり、さぁ止めを刺そうという直前に、俺とニックはいきなりリーアに突き飛ばされた。リーア自身跳んできて、上に乗っかっている。


 最初は文句を言おうとしたが、それどころではなかった。むしろリーアに感謝しなければいけないな。


 俺達が居たところは竜巻に呑まれ、その竜巻の中には青緑に輝く無数の風の刃が舞っている。あのままあそこに居たらタダじゃ済まなかっただろう。・・・ウィーザラードの時間は止めている。つまり、思考もできないはずだ。考えにくい事、というか訳が分からないが、まさかあの竜巻に自我があったりするのだろうか?どちらにしろ仕留めそこねてしまった。


―――どくん!

「あがっ・・・!?」


「「ハルカ!?」」


 いきなり体中が激痛に襲われた。痛みが全身を駆け回っているようだ。すぐに意識が朦朧としてきたが、この痛みを無くす方法だけは何故か理解する事ができた。


「か、解除!」


 時間停止を解除してしまった。と同時に痛みは無くなってくれた。流石Sランク、魔法に抗ってきやがった。


「大丈夫かいハルカ?」


「あぁ。でも、逃しちまった。」


「一筋縄じゃいかないね。」


 ニックが睨む先には、空中を飛びながらくるくると回っている小動物。とんでもない力を持った小動物が俺たちを笑いながら見下ろしていた。


傀儡操作(パペットマスター)!」


 後ろから不意に掛けられたテイルのスキルによって、見下ろしていた小動物は地面に叩きつけ・・・られなかった。


―――キュシャァッ!


 ニックの言葉を使わせてもらおう。Sランクは一筋縄じゃいかない。地面スレスレからとんでもない抵抗力で空中へと戻っていった。それに伴い、少しずつではあるがテイル側が引っ張られている。


「うわぉぉぉん!」


―――がくん


 リーアの遠吠え、正確にはスキル《月の支配者》の中の《威嚇》。対象に月光が当たっているので、リーアとの精神力差分弱体化されるのだ。リーアの精神力も結構強いが、相手はSランク。身体能力が弱体化され、テイルのスキルが上回った。

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