16.昇格
感想ありがとうございました。今後も分かりにくい事が多々あるかも知れませんが、読み続けてくださると幸いです。
さて、テイルの勝手な決定で何故か魔王討伐が目標になってしまった俺達だが、ニックが模擬戦の前に約束していたDランク昇格を頼んでくれるらしいので、受付に向かうとしよう。
「ちょっとテイル、こっち来てくれないか?悪いニック。直ぐ追いつくから、先に向かっててくれ。」
「ああ、構わないよ。」
「どうしたのハルカ?」
「何が、どうしたの?だよ。なんで俺達魔王討伐することになってんの!?」
「いや、ハルカの力なら余裕かなーって・・・」
「俺はそもそも怖いのも痛いのも嫌いなんだよ!」
「私なんてこんなに非力なのにハルカに付いていって魔王の所に行くって言ってるんだよ?」
俺の背中叩いてダメージ入れてくる奴が非力、ねぇ・・・
「いやそもそも俺魔王討伐に行くとか言ってないし。」
「魔王を討伐したら伝説を越えられるのよ?」
「興味無いし。」
「せっかくハルカ程の冒険者とパーティーが組めたのよ?伝説になりたいじゃない!」
───結局そこだろ!
「と、とりあえず、ニックを追いかけよう。魔王の話はまた今度だ。」
「しょうがないわね。」
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「ご用件は?」
「すまないが、アルバルトさんを呼んでくれ。ニコラス・フォースターと言えば分かる。」
「承知しました。」
アルバルトさんって誰だろう?偉い人なのかな?それにしてもニックの力とカリスマ性は絶大だ。ギルドの中を歩いているだけで、男女関係無く、尊敬の眼差しを向ける者、握手を求める者、俺達(特にテイル)に向かって嫉妬の眼を向ける者。女性はほとんどが目がハートになっている。(その中に若干名男性が居た事はさておき)
「やあニコラス君。今日はどうしたんだい?」
なにやら声が聞こえた方を見てみると、ギルドの職員側から出てきた中年のおじさんがニックに話しかけてる。
「ああ、アルバルトさん。すいませんお呼び立てしてしまって。」
ああ、この人がアルバルトなのか・・・この人どっかで・・・・・・あ!
「二人にも紹介するよ。ここのギルドの支部長を務めているアルバルトさんだ。」
「うん。知ってる。」
この支部長がアルバルトだったのか。いや支部長呼べるってニック凄いな。
「おや、君たちはこのあいだの・・・あの時は、大丈夫だったかね?」
「ええ、ちょっと頭が痛かっただけなので。」
「そうか、それは良かった。」
「あー、知っているなら話は早いです。アルバルトさん、実はこのハルカをDランクに上げていただきたいのです。」
「ほぉ、そりゃまたどうして?」
「僕がハルカと模擬戦をして、負けたからですよ。」
「───は?君が負けた?」
「彼は僕以上の実力者です。Dランクでも、問題は無いのでは?」
「確かに彼は初めての依頼の時にDランクのパウパティを倒してはいるが・・・」
「───は?何ですかそれ。」
「いや、私も報告を受けて驚いたんだがね、Fランクでスライムの依頼を受けているときに遭遇したパウパティを倒して来たのだよ。」
「それは、事実なのか?」
「ああ、本当だぞ。たまたまだったけどな。」
「私が居たからこそ勝てたんですよっ!」
なにやらテイルがアピールしているがほおっておこう。
「それで、Dランクへの昇格、だったな。・・・確かにハルカ君は強いが、まだ冒険者に成りたてで、経験が少ない。ランクには経験の豊富さも反映されるからな。───明日から明々後日の3日間で、Eランクの依頼を7つ達成したら、特別に二人ともDランクに上げてやろう。どうだ?」
「7つですか!?僕でも回り切れるかどうか・・・」
「良いです。それでいきましょう。」
「私もDに上がれるのよね?なら、やるしかないわね。」
「そうか。君たちがやる気になってくれて嬉しいよ。今日はゆっくり休んでくれ。」
それにしても7つか。一日に二つ以上の計算だな・・・あれ?案外辛くないか?まあ明日依頼のリストを見て考えよう。
「それじゃあ、私は行かせてもらうよ。ニコラス君、君も彼らに抜かされないようにな。」
「その、なんだ。案外辛いと思うぞ?Eランク7つは。」
「任せとけって。ニックが頼んでくれなかったら、もっと必要だったって事だろ?FからEが早かったから、それぐらいがちょうど良い。」
「なにしろ、私たちは二人で回るからねー!」
「そうか、期待しているぞ。・・・まだ時間も早いし、レベル上げでもしてきたらどうだ?」
明日以降に疲れを残すのもどうかと思うが、まだ31時(15時半)だ。レベルを上げておくとするか。
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