159.墓守と傀儡師
読みにくい部分が多々あるかもしれません・・・
国語力が足りない・・・
「まず、今の状況をお話しします。ナーは墓守としてここに住みながら、お墓参りに来た人への対応、墓荒らしや山から来る魔物の撃退、そして墓地から湧いてくる悪霊や不死を浄化しています。しかし最近、発生する悪霊や不死の量が急激に増え始め、対応が厳しくなっているのです。昨日の夜も何体か森の方へ逃げるのを許してしまいました。しかもその量は、日に日にネズミ算式に増えています。」
悪霊や不死が増えているから助けてほしい、というのは依頼内容を確認したときに聞いたが、そんな急に増えているのなら何か原因があるだろう。それを突き止められれば楽なんだけどな。
「それで私たちは、その仕事を手伝えばいいってわけね。」
「そうです。ただ、悪霊や不死が湧くのは夜からですので、それまではゆっくりしていてください。今、飲み物とお菓子を出しますね。」
「あぁ、ありがとう。」
イリーナが淹れてくれた紅茶とクッキーのような甘いお菓子を食べながらいろいろと話す。
「そういえばイリーナってエルフだよな?」
「そうです。えっと・・・あなたは獣人ですよね?」
「あ!まだボク達の自己紹介をして無かったね。ボクはリーア。リーアでいいよ。で、狼の獣人で合ってるよ。」
「俺はハルカ。ハルカでいいぞ。」
「私はテイル。私も、テイルでいいわよ。」
「リーア、ハルカ、テイルね!よろしくお願いします!」
そこでイリーナが、思い出したような顔をしてから話しだした。
「さっき、悪霊や不死の浄化を手伝ってほしい、と言いましたけど、浄化自体はナーがやるので、皆さんには注意を引きつけたり、攻撃して弱らせたりしてほしいんです。」
「そうよね!私もそう思ってたのよ。私達に浄化はできないからね。」
「ん?どういう事だ?」
「浄化は、普通の魔法ではできないんです。ナー達エルフは生まれつき、普通の魔法に加えて光属性っていう属性の、浄化魔法だけ使えるんです。」
「「「あれ?」」」
三人同時に声を上げた。恐らく考えていることは同じで・・・
「もしかしたら俺、浄化できるかもしれない。」
「何でですか?」
「いやだって俺、光属性の魔法使えるもん。」
「・・・は?」
今度はイリーナが変な声を上げた。そりゃそうだ。急に光属性が使えるなんて言われたら、そうなるよな。
「え、ハルカの【職業】って、まさか勇者とか!?」
なんか・・・期待を裏切るようで返答できない。代わりにテイルが答えてくれた。
「ハルカは【旅人】よ。少し特殊だけどね。ちなみに、私は【傀儡師】ね。」
「え?いや、ちょっと頭が混乱してるんだけど・・・。ハルカは多分、【職業】を明かせないような事情があるんだよね。それでテイル、【傀儡師】って言った?」
とんでもない誤解をされているのと同時に、意外な方向に喰いついたな。
あと話の内容とは関係ないが、イリーナから丁寧語が消えてきた。年も近いだろうし、緊張がほぐれてきたか。俺達としても、こっちの方が話しやすくていいしな。
「傀儡師こそ、墓守の誰もが手を借りたがる職業だよー!」
「ど、どういうこと?」
「テイルはさ、傀儡師の本当の能力て知ってる?」
おっと?ちょっと面白そうな話に発展してきたぞ?
「傀儡師っていうのはね、パフォーマーじゃなくて、不死を操る者なんだよ!」
「不死を、操る者・・・?」
なるほど。不死を操る者、かぁ。そもそも『傀儡』というのは木でできた操り人形、もしくはゾンビと捉えてもいいかもしれない。もしかしたら、ようやくテイル・ロンドさん活躍回が来たのかもしれないな。
「引っ張るスキルは持ってる?」
「操るスキルなら・・・」
「十二分だよ!夜になったら、不死を操ってみて!」
「う、うん。分かった。」
イリーナが凄く興奮している。そんなに不死戦において傀儡師が良いのだろうか?
テイルは自分の活躍する姿を妄想しながらお菓子タイムに入ってしまい、リーアとイリーナが楽しそうに話し始めたので、俺は魔法辞典をめくりながら浄化魔法の魔力運用のイメージトレーニングを開始する。
俺の浄化魔法イメトレは、イリーナの大きな声で中断された。
「えーっ!?リーアって17歳だったの!?なんか、もっと年下だと思ってた・・・ごめんね。」
「い、いや、気にしないで!身長もこれから伸びるから!」
まぁその身長なら17歳には見えないよなー・・・。でも、狼の獣人は、小さい人は小さくて大きい人はとことん大きい気がする。ミアはリーアと同じぐらいだけど、イディアさんとかは巨漢っていう言葉が似合うもんな。
「イリーナは何歳なの?」
イリーナの身長もリーアとそう変わらない。一人暮らししていて、魔物や墓荒らしの人間とも戦っているとなると、15か6ぐらいだろうか。
「ナー?ナーは92歳だよ?」
「「え?」」
俺とリーアが顔を見合わせる。ちなみにテイルはまだ自分の世界に入っていて、こちらの話が聞こえていない。
「92っていっても、まだまだ子どもだけどね。あっ!敬語とか使わないで!人間の寿命に当てはめたら15歳ぐらいだから!」
そうか・・・エルフの寿命は長いんだよな・・・。なんだろう、こんな可愛らしい顔して92歳かぁ・・・。自分の世界に入って今の話を聞いてなかったテイルが羨ましい。
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