156.山頂
そろそろ新作を投稿しだすかもしれません。もうちょっと固まってからかなぁ・・・
投稿したらここでも宣伝しようと思います!
そういえばさっきリーアが使ったナックルダスターには闇属性の魔力効果が付与されているはずだが、特に変わったことは起きなかったな。特定の条件下で発動するのか、使い方があるのかは分からないが。
ツノネズミとの一戦から数時間歩き続けているが、まだ上りのままだ。
「はぁ、ふぅ、ちょっと一回休憩していい?」
リーアが近くにあった岩に座り込んでしまった。
「大丈夫かリーア。ほら、水。」
無限収納には3人分の水筒が入っているのだ。そういった点で考えれば、荷物を持って登るよりも俺達はよっぽど楽に進んでいる。
「ありがと。───ぷはぁ・・・威嚇に集中していると、やっぱり体力の消耗が激しくてね・・・」
「辛かった辞めても良いのよ?そこら辺の魔物なんて、簡単に倒せるから!」
「でも面倒だからさ。頑張るよ。でも、少し休ませて。」
「ええ。勿論。」
本当にリーアには感謝だ。ここまで魔物との戦いで時間を無駄にせずに済んだのも、リーアのお陰だ。
ただ、結構登ってきたからか、空気が薄くなってきた。木も少なくなり、地面は石や岩が目立つ。体力がドンドン削られていくのを感じる。
「休憩ついでに、お昼にするか。何だかんだもう25時だしな。」
「もうそんなに歩いていたの?時間が経つのは早いわね。」
よくよく考えれば5時間近く歩いている。そう、テイルもスキルを使わず歩いているのだ。そう考えると、結構体力がついてきたんじゃないだろうか。
携帯食を口に放り込み、少し座り込んで休憩する。岩が多くなってきたので、座る場所ができていい。
「よし、そろそろ行こうか。」
「リーア、もう大丈夫なの?」
「うん!結構回復してきたよ。」
「また辛くなったら、いつでも言えよ?」
「うん。ありがとう。」
休憩を終え、また登り始める。魔物が近くに来ることすらなく、安全に進むことができた。
28時、ついに山の頂上付近にやって来た。もうほとんど植物はなく、岩だらけだ。薄くではあるが霧がかかっており、遠くの方までは見ることができない。
「はぁ、はぁ、私結構疲れてきちゃったわ・・・」
「ボクも・・・なんか息が苦しくて・・・」
「俺もだ。空気が薄いんだろうな。息苦しい以外に、何か体に異変はないか?頭が痛いとか、気持ち悪いとか。」
「それは大丈夫だよ。」
「私も平気よ。」
それなら安心なのだが、こういった山に登るときは高山病とか酸欠とか怖いからな。・・・別に登山なんてしたこと無いから分からないけど。
―――っ!
「ハルカ!テイル!」
「えぇ!構えて!」
俺が感じると同時に、二人も気付いたようだ。何かが空から向かってくる。リーアは威嚇している筈だが、それを気にも止めず突っ込んでくるということは、ツノネズミ並みの知能しかないか・・・いや、このビリビリくる感じは、強い方だ。
―――チュンヤァッ!
上空から霧を切り裂いて襲ってきたのは、地球のスズメに似た鳥だ。ただ、スズメが20cm程しかないのに対して、こいつは身長2mといったところだろうか。翼を広げた体長は4m近い。
「とりあえず霧をどかすぞ!流風操!」
この間見つけた風属性の魔法だ。風を操って空気を動かし、爆発の熱風や毒霧などを防ぐためのものだが、霧をどかして視界を良くするにも使える。
一気に視界が良くなった。これで高くまで飛ばれても視認することができる。
「っりゃぁ!たぁっ!」
リーアが跳び上がり、ナックルダスターをはめた拳を入れる。そのまま空中で体を回転させ、踵落とし。その勢いのまま地面にスズメを叩き落とした。
───ュァッ!
・・・ふっ
すぐに追撃しようとしたが、それはできなかった。何故なら地面に着いた瞬間、消えたからだ。いや、正確にはどこかに居るのだろうが、透明化し、魔力も感じなくなったのだ。よって、全く場所を捉えることができない。
「リーア!あいつの場所、分からないか!?」
「くんくん───いや、においも感じられなくなってるよ・・・」
「じゃあ、集知波!」
テイルがスキルを発動すると同時に、空中にスズメの姿が現れた。魔力も感じる。
「多分、姿を消す、みたいな特性の魔物だと思ったのよ。リーアの威嚇みたいな感覚でね。だったら、私に集中させちゃえばいい訳でしょ?」
「さすがテイル!ここは俺が。闇塊!」
───ピィッ!?
どさっ
闇の光線に貫かれたスズメは飛び続けられなくなり、近くに落ちてきた。近くで見るとやはりデカい。とりあえず無限収納に回収する。ところで、今の魔物は何だったのだろう。魔銅板の魔物討伐数を見れば分かる。
「えーっと、今のは、Cランクのボロビーっていうらしいな。」
「なんかもう、Cランクを弱く感じちゃっている自分が怖いわ・・・」
テイルがぽつりと呟いた。
さっき霧を晴らしたおかげで、周囲を見渡せるようになった。今登ってきた方には、下の方にポツンと円形のナシヤットの街が見える。ではその反対側には・・・山に囲まれた盆地。その真ん中より少し手前の場所に、明らかに異質な色合いの地域がある。あそこが目的地か。方角確申で方向を定め、墓地に向かって真っすぐに進んでいく。ここからは下りだ。
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