153.味噌汁もどき
誤字報告ありがとうございました。
今後もよろしくお願いします!
「おはよー。」
「おはよう。そろそろ朝ご飯できるぞ。」
「リーアは?」
「朝のランニングに行った。」
今日は俺が早くに起きたので、俺が朝食を作った。リーアは、『ちょっと走ってくる!』といって、まだ薄暗いうちに出て行った。体が冷えてしまわないか心配だが、その為にも俺は、この世界にあるもので味噌汁を再現してみた。テイルやリーアの口に合うかは怖いが、朝に温かい味噌汁は最高だからな。
少しするとリーアが帰ってきた。朝食の用意も終わり、皆で食べる。味噌汁もどきは好評だった。
15時、受付でアルバルトさんを呼んでもらった。連絡から1日半以内で帰ってきたわけだが、何の用だろうか。
「これはこれは、わざわざありがとう。」
「いえ。それで、何かあったんですか?」
「実は、君たちのパーティーに担当してもらいたい依頼があってだね。結構緊急だから、呼び立てさせてもらったんだ。」
「その内容は?」
「これを見てくれ。」
そういって渡されたのは、依頼の詳細が書かれた書類だ。依頼主は集団墓地で墓守をしている人で、墓地があるのはここから南、バルタ山脈を越えた先にあるバリ盆地という場所らしい。普段は悪霊や不死の浄化を一人でやっているのだが、最近急に数が増え始め、不死の戦闘力も急激に上がったという。一人では対処しきれず、助けてほしいとのこと。このままでは最初に被害を受ける街はナシヤットだと予想しているらしい。
「戦闘力と対応力を考慮したうえで、君たちに頼みたいと思っている。どうだ?」
「分かりました。受けさせていただきます。」
「それは良かった!バルタ山脈を超えれば、集団墓地はすぐに見つかるらしいから、よろしく頼むよ。」
早速準備しよう。リーアのスキル獲得はテイルに同伴してもらい、俺は素材を売りに行く。
「すいません、一つ、聞きたいんですけど。」
「はいよ?」
「狼の獣人っていうのは、スキルを獲得することは可能ですか?」
「獣人ねぇ・・・多分、大丈夫だと思うな。実際やってみればいい。今回のお客さんは、そっちの君かな?」
「はっ、はい!えっと、魔力探知?っていうスキルが欲しいんですけど・・・」
「はいよ!とりあえず、魔銅板を見せてもらっていいかい?」
リーアが魔銅板を渡す。
「・・・初めて見るな、こんな魔銅板。まぁいいか。経験値は魔力探知を取れるところまで溜まってるから、早速やっていくか!50シェルな。」
「はい。」
お金は事前にハルカからテイルに渡してあった。魔道具を使い、リーアの魔銅板にスキルの素となる光の粒子を注ぎ込んでいく。
「よし、これで良い。」
「ありがとうございます!」
そこに24000シェルで素材を売ってきた俺が合流する。
「ハルカ、私達も追加しておきたいスキルがあるから、魔銅板貸して。」
「ん?どんなやつだ?」
「遠視っていって、遠くまで見えるスキルよ。リーアには必要ないと思うわ。」
「でも、ボクがそのスキル使ったら、もっと遠くまで見えるんじゃ・・・」
「・・・まぁそれもそうね。じゃあリーアも。」
三人とも魔銅板を出し、相応の経験値と100✕3=300シェルを引き換えに遠視を手に入れた。
リーアがスキルを手に入れられることが証明されたので、次は視覚共有だ。これがあれば、バラバラに分かれて何かを探す、とかも簡単になってくる。
ロビーの机に移動し、無限収納からスキル獲得の巻物を三本だし、一本ずつ二人に渡す。
「これは、視覚共有っていうスキルを手に入れられる魔道具だ。他の冒険者と一緒にダンジョンに行って手に入れたもので、譲ってもらったものだ。ちゃんと譲ってもらった事に感謝しろよ。」
「うん。」
「ハルカ、良い仕事するじゃないの。」
スキルを獲得するには、巻物を開くだけでいい。その時に巻物に触っている唯一の生物が、手に入れられるらしい。仮に二人以上が触れていると上手く手に入らない。・・・ウェズって触れているにカウントされないよな?
「ね、ね、せーのでやろう!」
リーアが提案してくる。
「分かった。じゃあ準備はいいか?行くぞ?せーのっ!」
ばさぁっ!
全員が同時に勢いよく巻物を開く。すると、少し光った後、巻物は消えていった。魔銅板を確認すると、ちゃんと三人とも獲得できていた。ソフィアさんとリリーに感謝感謝。
まだやりたいことはある。武器だ。グルシュ王国でブラッドベムの地下基地から助け出したおじさん。ナシヤットに住んでいると言っていたあのおじさんの所に行きたいのだ。―――ただ、どこかが分からない。
とりあえずいつもの武器屋で聞いてみるか。競争相手に塩を送るようなものだが、まぁあの店のいつもの店員さんなら、俺が行けば快く教えてくれるだろう。
――――――――――――――――――
がちゃ
「いらっしゃいまs・・って!ハルカ様!?また来てくださったんですか!」
「あ、あの、実は今日はこの店に来たんじゃないんです。聞きたいことがありまして。」
「私が知っていることなら何でも!」
「あの、競争相手の事になってしまうんですけど、ついこの間まで行方不明で、帰ってきたばかりの武器職人の方って知ってたりします?」
「行方不明?・・・あぁ!それ多分、うちの店の職人です!」
マジか!こんな偶然があるものだな。まぁここ以外の武器屋がナシヤットにあるかどうかは知らないのだが。
「ちょっと待ってて下さい。今、呼んできます!」
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