表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
150/430

148.行方不明者

明日か明後日から毎日投稿に戻ると思います。よろしくお願いします。

 ムーディさんから魔法辞典を貰い、部屋を出ようとした時、扉をノックする音が聞こえた。


『スミでございます。今、よろしいでしょうか。』


「あぁ。入ってきてくれ。」


がちゃ

「失礼します。おや、ハルカ様もいらっしゃいましたか。ムーディ様、村からの要請が入りました。」


 村からの要請、というのは村人から冒険者派遣の要請が来た、ということだろう。前回俺がここに来た時も、ゴブリンが出たとかで一騒ぎあったからな。


「何があったんだ?」


「昨日の夜森に薬草採集に出掛けた男性が行方不明だ、と。恐らく、魔物に襲われたとみて良いでしょう。」


 薬草を取りに行って行方不明、か。確かにあの森は、迷って出て来られなくなるような場所ではない。仮に森の奥深くまで行っていれば別だが。魔物に襲われて、殺されたか捕まっているかだろう。


「分かった。すぐにギルドに連絡を・・・するまでもないな。」


 そう言ってムーディさんは俺を見た。まあそうなるだろうな。


「ハルカさん、依頼、受けて頂けますか?」


「はい、勿論。」


「でしたらハルカ様、応接室へお願いします。まだ村人は帰っていないと思いますので。・・・あ、うちの領の村人はロンド家の皆様と同じく、亜人へ特別な感情を持つ者はおりませんので、リーア様も同行なさって問題ないですよ。」


「分かりました。ありがとうございます。」



 応接室へと向かいながら、通話の腕輪で二階にいるテイルとリーアを呼ぶ。


 応接室へ行くと、村人らしき格好の人とグリルさんがいた。二人に事情を説明し、テイルとリーアが合流したところで改めて村人に挨拶する。


 その後、ゴブリンの時に村に向かった道と同じ道を通って村へと向かった。村に着くと前回同様、村長さんの家に招かれた。


「これはこれは冒険者の方々、来ていただきありがとうどざいます。テイルお嬢様まで?ということは、まさかゴブリンの時の・・・」


「はい。ハルカです。こっちは新しい仲間のリーアです。」


「はじめまして。よろしくお願いします、リーアさん。」


「こ、こちらこそ!」


 ペコリ、とリーアが頭を下げる。


「それで、行方不明の男性がいると聞いたのだけれど・・・」


「そうなのです。実は、今の時期、夜間にだけ採れる薬草がありまして。それを採りに行った者が、帰ってこないのです。」


 今の時刻は20時過ぎ。確かに、帰ってこないとおかしい時間だな。


「その薬草が生えているのは、森の入り口からどれぐらいの場所ですか?」


「だいたい、2,30分程奥に入っていった辺りだと思いますけど・・・」


「分かりました。では、すぐに向かってみましょう。」


「よろしくお願いします。」


 村長との話を終えて家の外に出ると、5歳ぐらいだろうか、小さな女の子が話しかけてきた。


「おとーさんはいつかえってくるの?」


「ん?あ、えーっと・・・」


 俺は小さい子の対応は苦手なのだ。言葉に詰まっていると、後ろからテイルに肩を捕まれ、グイッと引かれた。そして、俺と入れ替わるように女の子の前に出たテイルは、しゃがんで目線を合わせた。


「おとーさん、まだかえってこないの。」


「お父さん・・・森に行ったの?」


「そう。きのういってらっしゃいしたの。でも、まだかえってこないの。まいごかな?」


「お父さんは私達が連れてくるから、心配しなくても大丈夫よ。」


「ほんと?おねーちゃんといっしょに、かえってくる?」


「ええ。任せて。でも、少し待っててね。」


 女の子の頭を撫でながらテイルが優しい声で言う。


「うん!まってる!」


 女の子の顔が明るくなった。やっぱりこういうのはテイルが適任だな。というか、魔物と戦っている時と別人のような優しい声だな。

 女の子と別れ、三人で森に向かう。


「こりゃあ、失敗するわけにはいかないな。気合入れていくぞ!」


「えぇ。絶対見つけてみせるわ。」


「で、でも魔物に殺されちゃってる可能性も・・・」


「・・・できるだけ急ぎましょう。」



 森の中は明るいが、木の本数としては多いので、すぐに村への視界は遮られた。さらに丈が高い草や低木も多く、進みにくい。


「ボク、木の上から見てみるよ。」


「分かった。」


 リーアが道を木の上に移した。高い所から探した方が何か見つかる可能性は高い。だが、周りと同じ高さだと、木の葉っぱに遮られるんじゃないかな・・・もっと高い所から・・・そうだ!


「ウェズ、出てきてくれ。」


「―――クァッ!」


「ウェズ、今行方不明の人を探しているんだ。空から、何か変な場所がないか探してくれないか?」


「クァ。」


 コクンと頷き、飛び去っていった。恐らく理解できているだろう。空を飛ぶ魔物もいるので若干怖いが、何かあれば魂の繋がりで気づくことができる。

 何か見つけて帰ってくる時も、魂の繋がりを利用して俺の所まで来てくれるだろう。

感想、誤字報告、ブクマ登録、高評価、お願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ