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142.お呼び出し

昨日投稿できなくてすいまそん。

忙しい・・・

 俺とリーアに一人ずつ、二階に泊まる部屋を用意してくれた。夕飯になったら呼ぶというので、ゆっくりしようと思っていたのだが・・・


コンコン


「ハル兄、ルイルです。」



「ん?開けていいぞ。」


がちゃ

「ハル兄、魔法部屋に行くです!」


「ハルカ、行こう?」


 ルイルの後ろにはリーアもいた。なんだろう。並ぶと5つも違うとは思えない身長差だ。ほとんど変わらないじゃないか。・・・いやそんなことはどうでも良くて、何故リーアが一緒に?


「何かあるのか?」


「ルイルが見せたいものがあるらしくて、ボクも呼ばれたの。」


 仕方ない。付き合ってやるか。ルイルの見せたいもの、とやらが終わったら、ちょっと魔法部屋を借りて新しい魔法の習得でもするとしよう。


「よし、行くか。」



 テイルはヘイルさんの部屋で何か話しているようで、出て来なかった。魔法部屋に来た俺達は、その赤味がかった扉を開いて中に入る。

 中に入った瞬間、少し違和感を感じた。前回来た時と何かが違う気がする。―――しかしそれは、よくよく思い返せばすぐにわかることだった。


「ルイル、こんな本棚無かったよな?」


 そう、入ってすぐ右を見ると、部屋の隅に本棚があったのだ。小さい本棚に、十数冊だけ本が並んでいる。


「あぁ、それはこの間置いたばかりです。魔法に関する資料がほとんどです。ただ、ルイには難しい本ばかりで困っているです。」


「後で借りても良いか?」


「勿論良いです。ちなみに、その本棚と本にも、壁と同じ加工がされているらしいので安心してくださいです。」


 壁と同じ加工というのは、魔法、スキル、直接的な衝撃など、全て効かないようにしている加工の事だ。それをどうやるのかは知らないが、生き物にはできないのだろう。もしそんな無敵加工を受けた人間が居たら、俺以上のチーターとなるしな。


「それで、ルイルの見せたいものっていうのは?」


「そうです!リー姉、ハル兄、これを見るです!」


 そういって俺達より少し前に出、こちらに背を向けたルイルは魔法の詠唱を始めた。


「この世に満ちしは自然の力。逃れまじきは終着点。全てを飲み込む無限の角よ、今こそその姿を見せるがいい!捕絡結鹿然(グラ・エントウィンド)!」


 ルイルの足元から太めの蔓が大量に出現し、物凄い勢いで伸びながら広がっていく。前方の敵は逃がすまいといったように、部屋全体、天井にまで蔓が這っていっている。恐らくあれに触れた瞬間捕まるなり締めつけられるなりするのだろう。そして、ルイル自身は蔓が繭のような形になり、守られている。


「どうです?これが見せたいものです。木属性の殲滅魔法を使えるようになったです!」


 ルイルが嬉しそうな顔をしてこちらに寄ってくる。確かに凄い。前に殲滅魔法を見せてあげてから練習したのだろうか。しかも俺も使ったことのない魔法だ。


「凄いなルイル!沢山練習したのか?」


「結構大変だったです。」


「そうか!よく頑張ったな!」


 そう言って頭を撫でてやる。12歳で頭を撫でられるのは嫌がるかと思ったが、満更でもない様子だ。リーアはというと、呆気にとられたまま動かない。


「そうだ、ルイル。リーアも凄いんだぞ。」


「リー姉です?」


 自分の名前が話題に出てきたリーアは、ようやく現実に戻ってきた。


「リー姉も、殲滅魔法が使えるです?」


「いや、ボクは、というか狼の獣人は、魔力管を持たないんだよ。だから、魔法は撃てないの。」


「あ・・・なんかごめんなさいです・・・」


「気にしなくて良いんだよ!その代わりに、凄い力があるからね。見たい?」


「見たいです!でも、どんな力なんです?」


「よし、それじゃあルイル、外行こう。」


 今の時刻は40時過ぎ。屋敷の周りに高い建物はないから、月光が当たる場所にさえ行けば、ギリギリスキルを発動できるだろう。



 外に出ようと玄関に向かうと、スミさんと会った。


「おや、外に行かれるのですか?」


「そうです。リー姉が何か見せてくれるらしいです。」


「そうなのですか。でしたら、羽織るものを持って行かれたほうがよろしいかと。今、お持ちします。」


 そう言ってスミさんは一瞬でどこかに行き、10秒後には軽く羽織れるパーカーを持ってきてくれた。


「行ってらっしゃいませ。ハルカ様、リーア様、ルイル様をお願いします。」


「はい。俺たちの分まで、ありがとうございます。」


「いえいえ。」


 俺は恒温変移(テイピクル)があるので大丈夫だが、厚意を無下にすることはできない。パーカーを羽織ってから外に出る。

 着てみて分かったのだが、三人とも大きさが丁度良い。測ったわけでもないのに凄いな。


 屋敷の裏庭には月光が届いていた。だいぶ低い位置ではあるが。


「よし、ここなら大丈夫そうだね。」


 ちなみに、外に出るとリーアが見つかる可能性があって危ないのではと思うかもしれないが、そうでもない。近くの灯りは、月の淡い光と屋敷から漏れ出る多少の光だけだ。裏庭の敷地は広く、暗視(ノクター)を使ってようやく隅まで見える。つまり、普通の村人はこの暗さでは見えないのだ。そもそも、こんな時間に村人が来ることもないだろう。

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