140.銀翼の鳥
忙しくてなかなか書けないんです。短くなってしまう・・・
月光の祝福を受けて長い真っ白な毛に金色の目、美しい姿に変わったリーアは、身体能力が尋常じゃなく跳ね上がっている。物体操作よりも凄い動きができるだろう。リーアが攻撃するなら、俺も近接攻撃にするか。魔法は光と闇以外効かなさそうだし。
剣を構えることなく、テイルとアイコンタクトをとる。
「うわぉぉぉん!」
リーアが吠え、銀翼の鳥目掛けて跳び上がった。俺は動かずに地上にいる。さっきテイルに伝えたい事が伝わったみたいだ。倒せないことはないだろうという判断の上で、リーアの強さを見る為だ。
―――クァァァア!
銀翼の鳥は敵が自ら自分の戦闘領域に入って来たとしか思っていないらしく、防御することなくリーアを蹴ろうとする。そういえばあの鳥、鳥のくせに俺がギリギリ認識できるリーアのスピードに合わせているな。
すっ・・・
リーアは少しだけ体をひねって銀翼の鳥の蹴りを最小限の動きで躱す。そしてそのまま、翼に守られていない胴体に攻撃を入れる。
「やっ!はっ!りゃっ!てやっ!」
上手く四連続で攻撃が入った。最後の蹴りで鳥を吹き飛ばし、その反動で地面に結構なスピードで戻ってきた。と同時に、その勢いをバネに最初よりも速いスピードで跳んで行き、重いパンチをもう一発、胴体に入れた。
―――ク・・・ガァァッ!
吹き飛ばされ、よろけはしたものの、バサバサっと翼を動かし、姿勢を戻した。なんだコイツ。本当に耐えるな。でも、Sランクみたいにとんでも無く強い訳ではない。何なのだろうか。
―――クァァッ!
銀翼の鳥が口を開き・・・何だあれ?
「避けろ!」
どん!
塊輝は金色だが、同じように白く輝いた弾を放ってきた。
何だこれ。当たった地面がえげつない程抉れている。
「また来るぞ!」
どぉん!
また同じ攻撃だ。まさか、何度でも撃てるのだろうか?だとしたらこっちの魔法は効きにくい分、遠距離戦は不利だ。
「リーア!突撃するぞ!テイル、俺があいつの近くまで行ったら、頼む。」
「了解!」
「任せて!」
また白い弾の準備をし始めた。グズグズしてはいられない。
少し遠くにいる銀翼の鳥の真下まで一気に走っていき、剣を握り直す。
「物体操作!」
そのままのスピードで真っ直ぐ昇っていく。
リーアはその跳躍力で横を付いてくる。
―――クァッ!
光の弾がテイルを狙って放たれた。しかし、そんな分かりきったことに対応できない程テイルも弱くない。タンッ、と後ろに跳んで避けた。
「おいお前、そんな方見てていいのか?」
「そうだよ!ボク達がいるんだよ!」
ただ、そんなこと言ってもさっきリーアにやられて学習したのか、テイルを狙いながらも意識の片隅に置いていただろう俺達の方をバッと向き、翼で体を守った。
がきぃん!
がきっ!がっ!
俺の剣の一振りも、リーアの連続攻撃も、翼の硬さの前に弾かれてしまった。ただ、バランスを崩すことはできた。地面に落ちていくのを追っていく。
「っりゃぁっ!」
隣でリーアが渾身の一撃を入れた。翼で防がれはしたものの、その威力が高かったのか、スピードを上げて地面に落ちた。
―――ガァッ・・・
背中から強く打ち付けられ、すぐには動けないでいる。
「塊炎!」
炎の直撃は翼で防いだみたいだが、地面が火の海となったので関係ない。
「ちょ、ちょっと!ハルカ!危ない!」
「あ、ごめんごめん。加重!」
鳥の真上に落ちていっていたので、俺は自分の魔法なので効かないがリーアにも危険が及んでしまった。とりあえず力属性の上位魔法ちょっと上の魔法で空間座標を固定して、リーアを空中に残す。テイルが空いているもう一つの手でリーアを炎の外に動かしてくれた。
地面に降りて燃えている鳥に近づく。倒れたかな?
―――っ!
「絶断壁!」
がいん!
燃えながらも光の弾を撃ってきた。こいつ本当に生命力が強いな。ただ、翼を広げ、力が入っていなさそうだ。
「ふぅ、お疲れ様。」
守られていない胴体に剣を突き刺す。一瞬ビクッ、と全身が震えたが、そのまま息絶えた。
「ハルカ?倒せた?」
「あぁ。」
きゅらきゅらきゅら・・・
ん?鳥が消えていく・・・?
いや、普通消えることなどない。だが、事実、倒した銀翼の鳥が光の粒子となって消えていっているのだ。少しすると鳥は完全に消え、炎だけが残った。
「どうなってるんだ?」
「消えた、の?」
「そういう特性の魔物だったんじゃないかしら?」
「うーん、まあそうかもな。」
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